海外旅行紀行・戯言日記

2005/02/09(水)15:12

海外で活躍する日本人-雑誌「Agora」

Books(209)

JALの雑誌「Agora」11月号の連載記事「われら地球人(Cosmopolitans)」にメキシコシティ郊外ティオティワカンの近くにある国際トウモロコシ・小麦改良センタ所長である岩永勝氏52才の活躍ぶりが紹介されていました。 「昨年7月、公募によって第6代所長に就任しました。アジア人として初の所長であり、国際的な農業研究機関の中でも初めてです。」 研究者出身の岩永だが、国際研究機関の長として求められるのは、研究実績では無く、強い指導力と経営手腕である。英語が公用語の国際研究機関では欧米人が中心で、他地域の人間がトップとなる例は少ない。 岩永はこれまで、ペルー、コロンビア、イタリア、ナイジェリアの研究センタで家族を伴って、渡り歩いて来た。 「発展途上国では農業が上手く行かないと、貧しさから反政府的な動きが出てきて、社会は平和にならない。食糧問題の解決は人々を飢えから救い、世界平和に繋がるのです。」 国際トウモロコシ・小麦改良センタは世界でもトップレベルで、嘗て小麦の収穫量が三倍になる新種を発表し、南アジア・中南米の食糧危機を解決したことで「緑の革命」と呼ばれ、開発者ボーラグ博士は1970年ノーベル平和賞を受賞しています。 彼は「奇跡の小麦は元々日本にあった品種を改良したものです。日本には狭い耕地で効率よく作物を育てる研究と経験があります。だから、日本の農業は食糧問題を抱える国々への大きなヒントとなります。岩永が所長として多くの難しい問題を解決する指導力に期待しています。」と語っています。 「技術や研究に優れ、世界的に評価を受ける日本人は大勢います。しかし、国際組織のトップとして指導力を発揮できる人は未だ未だ少ない。これが今、日本人に最も欠けているもので、組織のリーダになれる人材が多くなって貰いたい。」と述懐しつつ、次のように普段の努力を怠らない。 「私の様に、大学院時代から英語を使って生活、研究してきた場合でも、英語を母国語とする人に較べて、仕事効率が20~30%劣ります。それを補い、更に人の上に立つには、彼等より50%は多く努力しなければならない。これは国際分野で生きる日本人に、不可欠なことではないでしょうか?」 岩永勝氏は1951年長崎の炭鉱町に生まれ、炭鉱閉山を目の当たりにし農業しか再生の道は無いと思い、大阪府立大、京都大大学院に進み、アメリカ・ウィスコンシン大で植物遺伝学の博士号を取得、ペルー、コロンビアで研究員として務め、2000年農水省国際農林水産研究センタにて勤務、2002年に国際トウモロコシ・小麦改良センタの所長に就任した経歴の人です。 因みに、国際トウモロコシ・小麦改良センタ(CIMMYT:シミット)は1966年創設された、独立した国際研究機関。その使命は、痩せた土地や乾燥に強い穀物を作り上げ、発展途上国の食糧問題の解決に寄与することにあります。 主な出資機関は、アメリカ政府、世界銀行、日本政府などが主な出資している世界最大の農業研究機関です。 この前の文化の日に文化勲章を授与された緒方貞子女史を含めて、多くの方々が国際組織のリーダとして活躍しています。何れの方達も立派な方々だと思うのですが、日本国からの多大な国連分担金、海外援助(ODA)での巨額な資金提供がその発端となっているような気がします。 そうは言っても、1970年までは海外に行くことも自由で無かった時代でしたし、実践的な英語教育もなかったので個人としての制約があっても仕方がありません。 しかし今後は、NGO、NPOを通じて日本国内的な組織だけでなく、他国のネットに乗っても国際的に連帯し飛躍できる人材が望まれているだと思いますが、今時点では飛躍し過ぎでしょうか。

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