カテゴリ:Paintings
2012年に逝去したヨルク・シュマイサー(Joerg Schumeisser)の回顧展が町田市立国際版画美術館で行われていましたので行って来ました。
ヨルク・シュマイサー(1942-2012)は世界を舞台に活躍したアーティストです。ドイツに生まれ、日本に学び、オーストラリアを拠点に制作を行いました。「旅する版画家」と称されるように世界各地を訪ね、その経験を版に刻みました。その足跡は欧米、中東、アジア、そしてついには南極にまで及んでいます。 回顧展で注目したのは日記シリーズで、細かい文字で綴った日記とエッチングを融合させた作品で、細かさは兎も角、文字と絵の融合は、光悦と宗達の巻物を思い起こさせるものでした。 III. 日記と「小さなもの」 / Diaries: The Record of Change 画面に流麗な文字でテキストを書き込んだ「日記」のシリーズは、シュマイサー独特の表現として高い評価をうけています。 この章では「日記」の中から、貝や植物など彼の身近にあって、繰り返し描かれたものに関わる作品を取上げ、日常において記録し続けた変化に目を向けます。 又、原版数枚を画面に配置し、変化の様子を1枚に合成した手法は、時間経過を鑑賞者に思い起こさせる画期的方法で、平安時代の絵巻物からヒントを得たのでしょうか? V. 変化を創る / Creatiing Change ドイツの正統に連なる版画制作を行うと評されることが多かったシュマイサー。しかし実際には、優れた技術を持つ者だけに許される自由奔放な制作を試みていて、1990年代半ば以降は、その傾向を明確に示す作品を発表していきます。 旅の印象を多面的にとらえた『冬の旅』シリーズ、版画にドローイングや手彩色を加えることで、刻々と変化する風景をとらえた『イルパラ海岸のかけら』連作などの作品群。南極の氷山が崩壊していく段階を追った『Big Changes』連作は、版の展開に注目した手法の集大成といえます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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