トランプ大統領の場当り主義の行き詰まり
トランプ大統領の「米国を再び偉大に!(Make America Great Again)」のスローガンに則った関税政策は行き詰まり状態となっています。米国株はトランプ氏の大統領就任時点から11%下落したままで、世界貿易を根本から変え、経済成長に急ブレーキを懸け兼ねないかねない関税方針をめぐり、ホワイトハウスが絶えず方針転換と矛盾した発信を繰り返していることがあると報じられています。トランプ氏は政権の看板である関税政策でまたも方針転換しつつあり、場当たり的な手法がすでに経済に深刻な打撃を与えたとの懸念が再燃している。トランプ氏は、ウォール街の悪夢となっていた二つの重要な問題について立場を軟化させた。対中関税の緩和に前向きな姿勢を示唆し、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を解任する「考えはない」と表明した。だが、この唐突な姿勢の変化は、ホワイトハウスに端を発する混乱が米国のみならず、他国の経済まで景気後退(リセッション)へ追い込む可能性を改めて浮き彫りにした。関税そのものより深刻なのは、ホワイトハウスが生み出した不確実性で、米ブルッキングス研究所の上級研究員は、「方針がぶれている状況は終わっていない。今回も新たなぶれにすぎない」と指摘した。ここ数週間の落ち込みの後、米国株は5月22、23両日に急騰した。145%の対中関税は持続不可能との経営者や側近の警告に大統領が耳を傾け始めた、という安堵感がウォール街に広がった。トランプ氏はパウエル氏への攻撃を手控えた。米国株はトランプ氏の1月の大統領就任時点から11%下落したままで、世界貿易を根本から変え、経済成長に急ブレーキを懸け兼ねないかねない関税方針をめぐり、ホワイトハウスがほぼ絶えず方針転換と矛盾した発信を繰り返していることがある。ファクトセットのデータによると、株価は最近反発しているものの、S&P500はわずか2ヶ月前の過去最高値から7兆ドル以上の時価総額を失った。トランプ氏が関税を撤回したり、FRBの独立性を守る数十年来の慣例を尊重したりする兆しが少しでも見えれば、少なくとも一時的にはウォール街にとって勝利となるだろう。ミシガン大学のウォルファーズ教授はCNNに対し、「市場はトランプ氏が愚かなことを仕出かすのではないかと恐れているし、ヘマをしなければ大喜びする」と指摘した。