5月句会
講釈が薬味替はりや冷奴 間去留冷奴が兼題であった冷奴の薬味はショウガ ネギ ミョウガ 大葉 わさび 柚子胡椒 鰹節などいろいろあるが奥さんは「この冷奴の大豆は何で 値段はいくらで あそこのスーパーよりこちらのスーパーのほうが5円も安く」なんていう講釈をつけて出してきた 夏は冷奴でさっぱりするが講釈が過ぎるとかえって熱くなる わたしの家なんかは愚妻の手抜きで冷奴が続くときがある 「いい加減料理に工夫したらどうだ」と言ってやったら次の日に冷奴に鰹節がかけてあった 冷奴崩してをみな横座り 碧雲プレバトの大将なら「どうだこの句なんか艶っぽいだろう」というかも知れない冷奴をを崩す頃になると正座をしていた夫人も痺れが来るのであるそうすると正座も冷奴も崩れるのであるそのあとは…… 荒波や尾ひれくねらせ鯉のぼり 寂如熊野かどこか三重県の南のほうで鯉幟を何百と海に向かってあげてあると聞いたことがある荒波に向かってこれからの門出を祝うが如く鯉幟を上げている子供の成長を荒波に向かう鯉幟にかけている句である「尾ひれくねらせ」の措辞が絶妙である 休校やタブレット開け梅雨曇 沙夢休校中のオンライン授業であろうか ゲームであろうか 子供も難儀であるが留守を守している爺さんばあさんも毎日となると憂鬱である その気持ちと梅雨曇りという季語がマッチする私の孫も2歳であるがスマホのゲームを覚えてしまった 春疾風父の出船や夜明け前 久庵聞くところによると農業から漁業から何でも一人でやられるお父さんであったらしい90を超えていると聞いた 娘として怪我をしないかとつねづね心配されていたが この俳句を作ってから急に亡くなられその後片付けとかで今日の句会は欠席だった疾風ののごとく逝かれたのであるご冥福をお祈りします 老鶯の声の降るなり摩崖仏 酔桜老鶯は夏の季語で声に張りがなくなった鴬のことであるが実際は春より里に近いところで鳴くので声は高いという摩崖仏はそそりたつ岸壁などに彫った仏像のことで津市の郊外にも多くの摩崖仏があるそこでの吟行句である老鶯の声が摩崖仏に降り注いでいるのであるこんな光景の中にいればコロナも忘れるはやくワクチンを開発してほしい