皆さんは「アキレスと亀」のお話を知っていますか。
これは、「アキレスという足の速い人が、ゆっくり歩く亀に追いつくことができない」というパラドクス(矛盾とか逆説)のことを言います。
具体的にはこんな感じ。下の図を見ると・・・

アキレスが亀に追いつくにはA1地点に到達しなければならない。しかしアキレスがA1地点に着いた時に、亀は少し先のA2地点に移動している。さらにアキレスがA2地点に到達しても、亀は再び少し先のA3地点に移動している。そしてアキレスがA3地点に到達したとき、亀はその先のA4へ・・・と無限に続き、いつまで経ってもアキレスは亀に追いつけないという話。
「え?ほんとう?」って思いますよね。この話を考えていくと「確かに、永遠に近づけないよね・・・」と考えてしまいます。
でもよくよく考えれば、足の速いアキレスが亀に追いつくのは直感的にわかりますよね。このパラドクスは、ゴール地点(追いつく地点)までを空間分割し続けているからこういうことが起きるのです。
もう少しわかりやすい図を入れるとこのようになります。

アキレスの足の速さが秒速1m、亀は秒速0.1mとします。アキレスはスタートして1.9秒後に1.9mの地点にいて、亀は1.99m地点(A1)へ。スタートから1.99秒後にアキレスは1.99m(A1)で亀は1.999地点(A2)へ。スタートから1.999秒後にアキレスは1.999m地点(A2)なのに亀は1.9999地点(A3)へ、というように空間を限りなく分割しているのがわかります。
本当は時間の流れで動いているのにです。
まあこれは数学でいうところの微分ですね。つまり科学は基本的に数学を使った空間分割なのでこういうことが起きるのです。我々は直感的に時間を認識しているので、アキレスが亀に追いつくことは容易に想像できます。
このパラドクスのカギは、わかりやすく言えば時間をスナップショットしているようなものです。本来、時間は途切れることなく流れているので、どんなに細かなスナップショットを撮っても、そこに時間の流れは示せないのですね。
これってとても重要な感覚であり、人間は少し離れた視点から物事を分析的にとらえることでたくさんのことを理解してきました。つまりこれが科学です。この「アキレスと亀」の話から、今の世の中の事象を全て科学で解明しようとしても見えない流れがあるということがお判りいただけるでしょうか。
よく教育の世界でも「持続可能な社会に・・・」という風に言われますが、これを科学だけの視点で見ていては達成できないと思うのです。
ここには伝統とか文化という連続的な時間の流れ(直感的な認識)がとても重要になってくるのですよ。