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自己成就予言

 芥川龍之介の『鼻』は、大きな鼻を持ったばかりに皆に嘲笑されていた僧侶が腹いせに、奈良の興福寺の近くにある猿沢の池のほとりに「三月三日この池より竜昇らんずるなり」と書いた建札を一本立てたという話である。

 日頃の腹いせに仲間や世間の人をかついで笑い者にしようという魂胆だったのだが、思いがけず池から竜が昇るらしいという噂が評判になった。もとより僧侶の仕組んだ法螺話なので竜が昇るはずもないのだが、「昇らない事もなさそうな気がし出した」。固唾を飲んで池の面を見ているとやがてそれまで晴れていた空がにわかに曇り、雨が降り出した。その雨の中、竜の姿を見る…

 自己成就予言という言葉があるが、まさにそのことを説明するエピソードといっていい。

 楽天主義やポジティブシンキングは好まないが、何事も起こることは起き、起こらないことは起きない。そうそう悪いことばかりが起こるとは思わない。起きることには逃げないで立ち向かっていきたい。

 世界が私に何をするかは決められない。しかし世界に対して私が何ができるかは決められる。



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