成長戦略
平成21 年12 月30 日の閣議決定で「新成長戦略(基本方針)」についての発表がありました。 失業率を今後4年間で3%台に低下させ、2020年度の名目国内総生産(GDP)を現在の1.4倍の650兆円程度にすると言います。 日本は、世界に冠たる健康長寿国であり、環境大国、科学・技術立国、治安の良い国というブランドを有しています。 こうした日本が元来持つ強み、個人金融資産(1,400 兆円)や住宅・土地等実物資産(1,000 兆円)を活かしつつ、アジア、地域を成長のフロンティアと位置付けて取り組めば、成長の機会は十分存在する、と言います。 また、我が国は、自然、文化遺産、多様な地域性等豊富な観光資源を有しており、観光のポテンシャルは極めて高いです。 さらに、科学・技術、雇用・人材は、成長を支えるプラットフォームであり、持続的な成長のためには長期的視点に立った戦略が必要である、と言います。 この観点から、我が国の新成長戦略を、強みを活かす成長分野(環境・エネルギー、健康)、フロンティアの開拓による成長分野(アジア、観光・地域活性化)、成長を支えるプラットフォーム(科学・技術、雇用・人材)として、2020 年までに達成すべき目標と、主な施策を中心に方向性を明確にしようとしました。 これに対しては、付け焼き刃のバラ色の物語であり、財源は不明で、実現に疑問符という批判があります。 時期の問題もあります。 予算が策定される前に公表されるべきでした。 また、環境、アジア経済重視といった成長シナリオは自公政権下で策定された成長戦略とほぼ重なる内容で、目新しさはなく、ただ内需喚起に力点を置いていることが異なっているだけです。 財源を手当てするための新規国債発行額は44.3兆円に上り、シナリオは財源の裏付けが乏しい政策の列挙となっています。 高い法人税率、不十分な規制緩和などで日本企業の国外脱出の可能性もあり、雇用が一段と不安定さを増すことが考えられます。 今後どのように実現されていくか、経過を注視したいですね。