218308 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

日常・・・

日常・・・

プロローグ


プロローグ

“「よっしゃ!でかしたスコット!」”
“「よし、脱出だ!」”
“「クロウ、キット・・・よし入ったな」”
“「もう追いつきやがったな!」”
“「早く入れネイオ!」”
“「扉を閉めろ!」”
“「よし走れ!」”
“「くそ!」”

“爆音”


動画が途切れ、画面が砂嵐状態になる。
「ふ~ん・・・これがリッカーか・・・」
モニターを見ていた男が呟いて、座っていた椅子を回転させた。
そして資料を取り目を通した。そして資料をおくともう一度モニターに向き直った。
「これは<アンダー>の跡地に残っていたというテープだったな・・・」
そしてパソコンをいじり、一つのファイルを開いた。
ファイル名は「ウイルス」・・・いかにも怪しい。
パスワードを打ち込むと、さらに多くのファイルが表示された。
「父さんの残してくれたファイルは・・・これか・・・」
そのとき、部屋に女が入ってきた。眠っている5歳あまりの子供を抱えている。
「あなた・・・実験の方はどう?お義父さんの残してくれたファイルは復元できた?」
「なんとなくだが・・・データを基にそのウイルスを作ってみた。見てくれ・・・」
男は引き出しから注射銃を取り出して、中身を見せた。
なにやら赤い液体が内部にあるのが見える。
「この液体がウイルス?」
女が注射銃をまじまじ見ながら質問をする。
「ああ、この液の中にウイルスが入っている・・・数億個くらいな」
「ねぇあなた。この子はどうする・・・?」
突然女が、手に抱えている子供を前に出した。
「この研究に手をかけなきゃいけないし・・・この子はさすがに育てられないわ」
「いや、我々で育てよう」
男はきっぱりと言い張った。
「この子には・・・デレックには我々の遺志を継いでもらわないと」
「本当にウイルスで生物兵器が?」
女がまた話題を戻して質問した。
「話題をいちいち変えるな。・・・で、それがつくれるんだ」
男は部屋のブラインドを開けた。
ガラスで仕切られている向こう側には、ベッドに固定され横になっている人間が見えた。
性別までは特定できないが・・・人間である。
すると、静かに眠っていたと思わしきその人間はいきなりうめきだした。
「どうしたのよ!?」
女が一人わめきだした。が、男の方はいたって冷静だった。
「さっきのウイルスを人間に接種した・・・あのウイルスは人間の細胞を死滅させ・・・いや、細胞を乗っ取る、という表現が正しいかな。生きているものを死滅させ、その細胞が乗っ取るんだ。その後は食べるという本能でしか行動しない」
「確かなの?」
怯えたように質問をする。
「・・・確かだ・・・・・・で、このウイルスを・・・かねがね・・・放とうと思ってる・・・地上に」
男は静に告げた。
そして発狂した人間はベットの固定を解き、立ち上がると見ている男達から見て
奥の壁が開いて、上に向かう階段が現れた。
その後は何故か沈黙が続いたが、女の言葉で破られた。
「私達は・・・?」
「俺たちは地下にいるから安全だ。サンプルもな・・・ウイルスも・・・」
女は何も言うことがなったようだ。満足なのか、そうじゃないのか。
「デレックには・・・このウイルスのことを叩き込んで・・・私の野望を告がせる」
男は子供―デレックを受け取った。
その瞬間、発狂した男は開かれた通路に向かって歩き出した。
標準時刻、2030年7月4日であった。


© Rakuten Group, Inc.