プロローグプロローグ “「よっしゃ!でかしたスコット!」” “「よし、脱出だ!」” “「クロウ、キット・・・よし入ったな」” “「もう追いつきやがったな!」” “「早く入れネイオ!」” “「扉を閉めろ!」” “「よし走れ!」” “「くそ!」” “爆音” 動画が途切れ、画面が砂嵐状態になる。 「ふ~ん・・・これがリッカーか・・・」 モニターを見ていた男が呟いて、座っていた椅子を回転させた。 そして資料を取り目を通した。そして資料をおくともう一度モニターに向き直った。 「これは<アンダー>の跡地に残っていたというテープだったな・・・」 そしてパソコンをいじり、一つのファイルを開いた。 ファイル名は「ウイルス」・・・いかにも怪しい。 パスワードを打ち込むと、さらに多くのファイルが表示された。 「父さんの残してくれたファイルは・・・これか・・・」 そのとき、部屋に女が入ってきた。眠っている5歳あまりの子供を抱えている。 「あなた・・・実験の方はどう?お義父さんの残してくれたファイルは復元できた?」 「なんとなくだが・・・データを基にそのウイルスを作ってみた。見てくれ・・・」 男は引き出しから注射銃を取り出して、中身を見せた。 なにやら赤い液体が内部にあるのが見える。 「この液体がウイルス?」 女が注射銃をまじまじ見ながら質問をする。 「ああ、この液の中にウイルスが入っている・・・数億個くらいな」 「ねぇあなた。この子はどうする・・・?」 突然女が、手に抱えている子供を前に出した。 「この研究に手をかけなきゃいけないし・・・この子はさすがに育てられないわ」 「いや、我々で育てよう」 男はきっぱりと言い張った。 「この子には・・・デレックには我々の遺志を継いでもらわないと」 「本当にウイルスで生物兵器が?」 女がまた話題を戻して質問した。 「話題をいちいち変えるな。・・・で、それがつくれるんだ」 男は部屋のブラインドを開けた。 ガラスで仕切られている向こう側には、ベッドに固定され横になっている人間が見えた。 性別までは特定できないが・・・人間である。 すると、静かに眠っていたと思わしきその人間はいきなりうめきだした。 「どうしたのよ!?」 女が一人わめきだした。が、男の方はいたって冷静だった。 「さっきのウイルスを人間に接種した・・・あのウイルスは人間の細胞を死滅させ・・・いや、細胞を乗っ取る、という表現が正しいかな。生きているものを死滅させ、その細胞が乗っ取るんだ。その後は食べるという本能でしか行動しない」 「確かなの?」 怯えたように質問をする。 「・・・確かだ・・・・・・で、このウイルスを・・・かねがね・・・放とうと思ってる・・・地上に」 男は静に告げた。 そして発狂した人間はベットの固定を解き、立ち上がると見ている男達から見て 奥の壁が開いて、上に向かう階段が現れた。 その後は何故か沈黙が続いたが、女の言葉で破られた。 「私達は・・・?」 「俺たちは地下にいるから安全だ。サンプルもな・・・ウイルスも・・・」 女は何も言うことがなったようだ。満足なのか、そうじゃないのか。 「デレックには・・・このウイルスのことを叩き込んで・・・私の野望を告がせる」 男は子供―デレックを受け取った。 その瞬間、発狂した男は開かれた通路に向かって歩き出した。 標準時刻、2030年7月4日であった。 |