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日常・・・

日常・・・

第六章 【ようこそ”SSF”へ】


銀河統一軍の本部は宇宙空間にある。しかもまさに宇宙艦隊といったものである。
所詮特殊部隊のSSFの<マザー>とは規模が違った。外側に配置された砲台や強大なシールドはさすがに軍、トップレベルだ。内部も違う。SSFは非番や帰還した隊員たちが比較的まったりと過ごしているが、軍は戦地に派遣されると1年以上は帰還してこれない。また普段艦隊にいるものもきびきびとした態度で、常に戦争を意識しているのだ。
そんな軍の本部で、機体を整備している1人の男がいた。
あのアール1、撃墜されたシャトルの護衛機で、唯一生き残った機体のパイロットである。



―1時間前



衛星オリアからの避難シャトルが撃墜され、それを撃墜したファイターを捜索する統一軍のファイター部隊は
自慢の操縦能力を駆使して今も近くに潜んでいるはず・・・のそれを捜索していた。
『くそ、こんな何もないようなところをこれだけ探したんだ。もうどっかに逃げてるぜ』
通信機から呆れたような隊員の声が聞こえてくる。
捜索範囲は首都惑星リカルアから第3衛星オリアまでの空間。企業の宇宙船団くらいしか浮かんでいない。
アール1のパイロットはため息をついた。
このアール1は撃墜されたシャトルの護衛機で唯一生き残ったのだ。そして、今は捜索隊と合流している。
「もう見つかりませんかね。とりあえず、明日に捜索専用ソナーを搭載したシャトルを・・・」
アール1のパイロットはふとファイターから外を見た。
するとあることに気付き目を凝らす。遠目すぎて分からなかったのか、対象物をモニターでピックアップする。
そうだ、アステロイド・ベルト・・・リカルアの付近には特徴的な重力域が常に発生している。
そこに小さな岩や廃棄された宇宙船などが集められてくるのだ。
リカルアから最も遠い第7衛星の近くだが、宇宙空間で隠れるとしたらそこしかない。
「捜索範囲外になりますが、アステロイド・ベルト・・・最後に行きますか?今この捜索隊で見つける最後の穴場です」
アール1のパイロットがマイクに向かって提案する。
『分かった。なら第7衛星ジャイヤー付近のアステロイド・ベルトに向かう』
隊長機、カイザ1の一言で、10機の捜索隊はアステロイド・ベルトへ向かった。


『このあたりだ』
第7衛星ジャイアーをすぐ近くに、砕けた岩や廃棄物が大量に漂う場所がある。それがアステロイド・ベルトだ。
もちろん、危険なので近づくものは滅多にいない。近づいた所で自らがその一部となる事は目に見えている。
『よし、ここを最後に捜索だ。』
隊長機のカイザ1からのメッセージがスピーカーに響く。
「了解しました。とりあえず、自分はこれから方位XXZの当り・・・」
アール1パイロットがそう呟いたとき、自分の機体の斜め後ろにいた機体が突然火を噴いた。
『おい!くそ・・・・・・・』
回避行動を試みようとした機体だったが、あっという間に爆発してしまった。
「なんだ!」
アール1パイロットはファイターを急上昇させる。捜索隊は一瞬で四方八方に散った。
『くそ!やばいぞ!』
カイザ1のパイロットが叫ぶ。アール1から、隊長機がちらりと確認できる。
『隊長!撤退です!撤退!!!』
恐らくカイザ2であろうパイロットが、完全にパニックになりながら叫ぶ。
「落ち着けカイザ2、アステロイドを上手く利用してだな・・・」
『やばいやばいやばい!!!くそぉ!何が起きてる・・・・・・』
その瞬間、カイザ2のパイロットの声が途切れた。
アール1のパイロットは、たった今宇宙を漂うゴミに激突し消滅した味方ファイターを捉えた。
「くそ!誰も激突しろとは言ってないだろうが!」
そう叫びながらアール1の機体はアステロイドを上手く避けながら、大きく旋回した。
そしてこの岩石とゴミの漂う空間を、巧みな操縦で脱出を目指す。その時、彼の機体の脇をレーザーが通過した。
「!!・・・くそ!」
レーザーは正面の廃棄船に命中した。アール1はそれを避けると、機体を上昇させる。
しかし、レーザーの方は周到に迫ってくる。
「隊長機!カイザ1!こちらアール1、何者かに追われている!」
『・・・そういわれても、アステロイド・ベルトだ。確認は難しいんだぞ!とりあえず各員、アステロイド・ベルトを脱出しろ!』
したくてもできねえよ、アール1パイロットは心でそう呟くと、後部のモニターを見た。
何者か知らないがちょうどいい位置に来ている・・・それを確認すると彼はとあるボタンを押した。
その瞬間に、ファイターの下部から、後部へ向けて一発のミサイルのようなものが発射された。
しかし、それは漂う岩によって阻まれた。
「くそ!何でこんなとこに!・・・」
その時、唐突に岩とゴミの密集地から脱出した。ただっぴろい宇宙空間にファイターが飛び出してくる。
「今だ!!」
彼はこの瞬間を待ちわびていた。瞬時に操縦桿をひねり、ファイターを急停止させる・・・それと同時に回れ右をした。
当然、彼を追ってきているはずのファイターは、それに間に合わず前進を続ける。
彼は真正面からぶつかってくる謎の戦闘機に射程を定めると、トリガーを引いた。


―現在


彼は機体の整備を続けた。1時間前にあの謎の機体を仕留めて以降、軍の本部に帰還するなり報告もせずに整備ばかり続けていた。
「おいスペンス、聞こえてるのか、スペンス・・・スペンサー・デイ!」
突然の脇からの声に、彼はしばらく気づかなかったが、大声を出されたので慌てて声の主に振り返る。
相手はいかつい顔にしわのできた、しかしどこか優しげなそんな中年の男だった。
「マッケン少佐、しくじりましたよ」
彼、アール1パイロットのスペンサー・デイはしわ顔のマッケン少佐をみるなり持っていたタオルを冷たい床に投げつけた。
「まぁ力むな。撃墜した敵ファイターを仕留めたのなら、お前のミスは帳消しだ」
マッケンは慰めるように言ったが、スペンスの心は静まらなかった。
何せ自分が援護していた住民達の乗った避難シャトルが撃墜されたのだから、無理も無いだろう。
「俺は軍に入ってから一度もミッションをしくじった事が無かった。で、最初のミスがこれだ。情けないです」
スペンスはそういって整備していた道具をしまい始めると、マッケンに言った。
「俺は絶対、反乱分子どもを許さない。絶対にです。もし派遣者が決まらなかったら、俺に言ってください」
スペンスはそういってその場を立ち去った。
プライドが高く、自分のミッションを忠実に遂行する、そして平和も守る・・・それがスペンスという男だ。
その男の後姿をマッケンは眺めた。軍のお偉いさんの補佐をしているマッケンは、彼の恩師といっても過言ではない。
だから入隊以来ずっと目をつけて見守っていた。しかし、彼がここまで闘志を燃やしているのは、初めてだった。




ロイは夢を見た。
自分はSSFの一員として戦地に立っているという夢。立て続けに撃ちつけられる砲弾、所々で起こる爆発、上空を飛ぶファイターからの地上攻撃、その強力なレーザー弾に吹き飛ばされたところで、ロイは夢から覚めてベッドから起き上がった。
「・・・はぁ・・・・・くそ、タイミング悪い夢見ちゃったな・・・」
彼は周りを見回した。広いホールに、210人の入隊希望者が所狭しと並べてあるベッドの上で寝ていて、ホール内もまだ薄暗かった。かすかにホールの外から明かりが届き、にわかに声も聞こえるが気になるほどではない。彼は時計を見た。現在は午前5時、起床時間は6時だったはずなのでもう少し寝ていられる。
結局、昨日の20時からの説明会は50分遅れてはじまった。現在、政治に反発する反乱分子勢力が、リカルアの衛星の1つ、オリアに攻撃予告を出しているという事。
そのために軍とSSFが総力を挙げて対策をうとうとしていること、謎のファイターも発見された事・・・
どうやらいろいろと最悪の時にSSFに入隊しようとしていることを実感してしまい、どうも気が乗らない。やはり試験当日に辺境の地元から出てきたのが悪かった、1週間くらい前に来てここの空気に慣れておくべきだった。
しかし後悔しても始まらない。とにかく今日の実技試験に全力をつぎ込むと決意した。
そのためには6時きっかりに起きて朝食を食べ、10時からの試験に備えるのだ。そして今は寝る!
田舎の星から出てきた青年は、ほんの少しステップを登った。




「それっ」
メリルは格納庫に収容された<クラッシュ>の自室で、紙飛行機を飛ばしていた。
決して広くない部屋の壁に貼られた的に、紙飛行機はぶつかった。
「・・・75点か」
メリルはにこやかに頷くと、再びベッドに腰掛けると的に向けて狙いを定めた。
彼女が再び投げようとした時、外から小さなブザーが鳴った。チャイム代わりのブザーだ。
慌ててベッドから飛び降り出入り口の扉に向かう。扉脇の開閉装置に触れると、扉が勢いよく横にスライドした。
「よお、メリルちゃん」
立っていたのはザックだった。普段なら適当な理由をつけて追っ払う所だが、今回ばかりはそうはしなかった。
この緊急事態、心のどこかに不安があったからだ。誰でもいいから話し相手がほしい状況にある。
「寝てると思ったら起きてたのか」
ザックは何も言わないメリルより先に口を開いた。自然にメリルはそれに答える。
「はい、いつでも出動ができるように」
「それでこそSSFだよ、どうだ、一緒にレインさんのとこにでもいかないか?」
ザックは自分より11歳年下の女性を誘う。
「はい、いいですよ」
メリルはなんともあっさりOKを出した。ザックは心でガッツポーズをすると、顔がにやけないよう後ろを向いてそそくさとバーに向かった。



「なるほど、それで呼び出しを受けたのか」
そのころ<クラッシュ>内のバーのカウンター席に腰掛けているアイザックが冷静な面持ちで呟いた。
彼の隣には、さきほどの集会の事を説明しに来たエクスも座っていた。
「ああ、反乱分子はもしかすると、圧倒的科学力をもっている、という話だ」
エクスが静かに言うと、アイザックは手元の酒を口に含んで、一つ間隔を置く。
「・・・もし無人機なら、人員を減らさず、間接的に攻撃・・・とまでは行かずとも、偵察くらいは容易なわけか。」
「そういうことだ。どこまで技術力を持っているか知らないが、今の段階では事実上、オリアの避難シャトルを
撃墜したのはその無人機って事になってるらしい。確実なのは統一軍のパイロットを数機撃破したこと。相当のものだろ」
エクスが我が物のように語る。その言葉にはあらわしたくはない不安が伝わってきた。
アイザックは酒を飲み干すと、席を立った。
「とにかく、いつ、どんな方法で、奴らが襲ってくるか分からん。いつでも動かせるように、調整しておかないとだな」
アイザックはトレンチコートを着込むと、バーを出て行った。
残されたエクスは同じく残された小さなグラスの酒に目をやった。
カウンターテーブルの向こう側でグラスを拭いているレインがエクスを見つめる。
「何か不安なことでも?」
レインがおもむろに言うと、エクスは立てていた肘を下す。
そして静かに語りだした。
「今回・・・さっきベンにも話したんだが・・・とても嫌な予感がするんだ。いままでなら、こんな追い込まれた状況、
この部隊・・・少なくとも俺は逆に吹っ飛ばしてやろうってなったさ。だけど今回は違う。
展開を予想すると破壊、壊滅、死・・・こんなことしかでてこないんだ。状況が状況だけに仕方ないが・・・にしてもなぁ・・・」
エクスはそこまで言うと、最後に一つ付け足した。
「エチゴフレーツを」
エクスの言葉にレインは素早くグラスを用意して後ろの棚から酒の原液を取り出す。
それに氷を入れ、別の液体を入れてエクスの前に差し出す。
「ロイカ割りよ。どうぞ」
レインがそう言うと、エクスはさっとその酒を飲む。
「この時間にお酒はきつくないんですか?。今はやすまないと」
「いいさ、俺もこれから仮眠する」
エクスはそうだけ言って酒の入ったグラスを持って、ザックとメリルと入れ違う形でバーを後にした。




夜が明けた。

「全員集まったな!」
SSF母船<マザー>の一角にある擬似屋外戦闘シュミレーションルームに、入隊希望者が集まった。
とてつもなく大きい球体である母船<マザー>のスペースを最大限に発揮したスペースで、そこはまさにジャングルであった。
木々が多い茂り、天井は特殊なホログラム投影で青空と太陽を映し出している。
とても船の中にあるとは考えられない。
ここでまずはランニングから試験が始まる。広大なこの部屋を10周してタイムを測るというものだ。
シンプルな体力面のテストゆえ、上下がはっきり出やすい、そんな内容である。
ロイはしっかりと支給された専用のジャージに着替え、スタートラインで屈伸をしていた。
周りにいるのは100名の同志達。もう100名の同志達は別の試験を受けているのだが、
この100名と今後の人生を左右する戦いをしなければならないのだ。
「それではいくぞ!3,2,1・・・」
と同時にスタートを告げるブザーが鳴り響く。
ロイはスタートラインを踏んでから走り出した。



「始まったな」
多目的ホールにある大きなスクリーンを見てザックは言う。映し出されているのは入隊試験、今始まったばかりの20キロ走の中継映像である。
初々しい若者が走る姿は、先輩の隊員たちからみれば爽快である。・・・というのが従来の事。
今年はそんなどころではないのだ。しかし、このザックと言う男だけはしっかりと例年の如く楽しんでいる。
「おいおい、最初からとばすとばてるぜ」
早速スクリーンに向かって野次を飛ばす。そしてオレンジジュース片手にコネクトを取り出した。
『はい』
相手はアダムだ。彼の声を聞いたザックはテンション高めにしゃべりだす。
「おい、試験が始まった。一緒にみようぜ。場所は中央多目的ホールだ。もし良かったら、俺が何か注文でも・・・」
『ああ、スマンが今リーナの新しい武器開発に付き合わされててだな・・・抜け出せるのなら抜け出したい・・・』
その時ザックはコネクトの向こう側で「発射!」というリーナの声を聞いた。途端に響く小さな爆音。。。と、液体の飛び散る音。
『うわぁ!』
それに驚いたようで、アダムは情けない声をあげてしばらく黙り込んでしまった。
「お~い、アダムさん、起きてますか?」
おどけて質問するザック。いつもの事かと思い通信切断しようとした矢先、アダムの声が戻ってきた。
『くそぉ・・・生卵詰め込み爆弾なんて馬鹿だろ・・・とにかく、俺はいけない・・・メリルちゃんでも誘っておけ。入隊試験を他人の立場で見たことないだろ・・・頑張れよ・・・』
アダムとの通信が切れた。
頑張るのはお前だよアダム・・・そう思いながら、ザックはメリルに通信を回した。
しかし、メリルとは夜な夜な語り合った後である ―結局、あのあと語り合ったのだ・・・10分と満たなかったが。
ザックはさすがにしつこいと思われると予想してコネクトをしまいこんだ。意外と冷静である。
とりあえずザックは、エクスからの「伸びが期待できる隊員を・若さ溢れる隊員を」の2つの条件を元に、優秀そうな入隊希望者を探し始めた。
そのとき、懐にしまいこんでいたコネクターが鳴り響いた。相手はメリルちゃんならいいが・・・
そんなザックの期待は打ち砕かれた。発信者の所に「エクス隊長」と表記されている。
「はぁ・・・はい、ザックですが」
『ザック、すまないがこれからバトルシミュレーターを使った実践訓練を行うことになった。
30分以内に、アーマースーツに着替えてレベル52、96ブロックの模擬シミュレートルームに集合だ。』
エクスのからの通信をきると、ザックは仕方ないなといった具合に立ち上がると
「ふぅ、、、やるっきゃないか」
といって訓練に向かったのである。




あと1周・・・1周でこのランニング試験ともおさらばできる。ロイは現在、先頭をひた走っている。自称ヴァーノンが誇る、運動神経最優良児はここが違った。
加えて、彼の故郷ヴァーノンは、この首都惑星リカルアが基準となっている標準酸素濃度より、酸素濃度が微妙に薄いのだ。彼にとって、標準酸素濃度に設定されているSSF本部<マザー>内部は、天国と言ってもいいのではないだろうか。
そしてロイは、このランニング試験をトップでクリアした。ゴールラインを踏んだ時、傍らで見ていたドルジ・パーソン試験監督が声をかけてきた。
「おお、トップ通過おめでとう。終わった者から、こちらの部屋に移動するように」
ロイはドルジに促され、どでかい擬似屋外戦闘シュミレーションルームを出た。どうやらトップ通過者は、試験監督直々の応対が待っているようだ。


続いての部屋はオーソドックスな射撃場だ。区切られた射撃スペースが50ほどあるだろうか。ロイは直感した・・・まぁ誰しも分かる事だろうが、ここでは単純に射撃訓練を行う。こちら側の射撃スペースから数十メートルはなれたところに的がある。よく見ると、紙や壁ではなく、電子ホログラムが的として投影されていた。
これはまさに戦うものとして必要な訓練だ。ロイは1番ブースに入った。
「休む暇を与えられずにすまないな。だが、戦争と言うのは休む暇もない。疲れたまま、敵と戦わねばならない。これで実力を測る。」
ドルジはそういうと、ロイに標準的なブラスターピストルを渡す。
銃か・・・ロイはそう思うと静かにそれを受け取る。そして的のほうに身体をむけ、銃を構えた。
ロイは感覚を研ぎ澄ました。ヴァーノンの射撃場で練習した日々を思い出す。
「よし、撃て!」
ドルジの一言でロイは引き金を引いた。とたんに青いレーザーが発射される。
そのレーザーは、的の中心部へと吸い込まれた。
ロイは自然と銃を降ろし、装填する。この試験ではエネルギー式の連射可能なブラスターは提供されず、一発一発装填型の旧式が何も言わずに渡されるのだ。それに気づくかどうかも、試験の結果に影響するらしい。そんなことは既に学習済みだ、とロイは得意げに銃を構えなおした。
ドルジはそんなロイを、腕組みしながら神妙な面持ちで見ていた。既に持久走が終わった他の入隊希望者が、試験官に促されてぞろぞろと射撃試験を始めだしている。しかし、この弱冠17歳のロイ・モースという少年は、そんな面々とは少し違う。ただ戦いたいからと言う理由でここを希望しているのではない・・・何か他の理由があるかもしれない。そんなことをドルジは考えていた。
我にかえると、ロイは10発目のレーザーを発射している。また真ん中だ。どんな訓練を、誰から教わっていたんだ・・・ドルジは思ったが、口には出さなかった。
「よし、次は説明どおり基礎体力テストだ。第3体育館に向かえ!」
「はい!」
ドルジの言葉に、ロイは威勢よく返事をして、第3体育館へ向かった。
ドルジはさてさて他の希望者は、とロイの次に第1ブースに入ってきた希望者の後ろに回った。
そんな希望者の一発目は、中心を大きくそれた。




「突撃だ!ザック」
エクスの言葉で、ザックはいつもどおりジャングルの葉を掻き分け前方宙返りをして敵の中心に躍り出た。
「ははぁ!俺を見くびるなよ!」
ザックはそう叫びながら、ブラスターライフルを乱射する。途端に中に浮かんでいる敵・・・コントロール式バトルボールが4個落下する。それを確認したザックが腕のマイクに向かって叫んだ。
「クリア!」
そして続々と第21小隊の面々が流れ込んでくる。アダムだけはいない。最後に出てきたエクスが声を張り上げた。
「フォーメーション・005!どの方位からの射撃にもたえられるようにしろ!」
「「了解」」
21小隊のほかの3人は同時に返事をした。そして4人で円になると外側を向き、各方位のバトルボールをにらみつけた。
そしてその1秒後、バトルボールから青色のレーザーが発射される。
「撃て!」
エクスの言葉で、全員がそれぞれ撃ち始める。中に浮かんでいる無数のバトルボールは木陰から狙いをつけようとしているが、先に第21小隊の放った銃弾に破壊されていく。
最後の一体をメリルの銃弾が貫いた所で、ジャングル一体に声が響いた。
『さすが我らが21小隊。では、これはどうかな?』
「何でもきやがれ!」
ザックが叫び、銃を装填する。それを聞いた声を主は声が弾む。
『おおう、ザック・ペリー。言ってくれるな、ならば起動といこうか』
この声はアイザックである。21小隊の面々はブラスターをさらに強く握った。



「ならば起動といこうか」
アイザックはそう言うと、傍らに座るナリを見た。
ここはシミュレートルームで模擬戦を行っている第21小隊の面々を見ることができる、いわばコントロールルームだ。
スクリーンに奮闘する面々が映し出されている。そして彼らの模擬戦をコントロールするのは<クラッシュ>乗組員一同である。戦時中のサポートの練習も兼ねて、ロックとナリ、ジュリアは彼らのオペレートを行っている。椅子に座りそれぞれキーボードとスクリーンに向かっている。
そして模擬戦の司令塔、アイザックはナリに言った。
「ナリ、”バトルシミュレーター”を5体ばかり起動と行こう」
「了解」
ナリはアイザックの言葉に頷くと、キーボードをささっと連打する。
「"バトルシミュレーター”、第1から第5世代起動」
ナリに続いてジュリアがキーボードをいじった。
「メインウェポンはプラズマメーサー、サブは近距離戦対応のためライトカッターなんてどう?」
「おい、それじゃあまりにも危険すぎるぜ!」
ロックがジュリアにむけていうが、ジュリアは気にせず武器をアップデートする。
「大丈夫よ、威力は下げておくから」
「そういう問題じゃないだろ」
ロックはそれ以上追及せず、椅子を回転させるとスクリーンに目を向ける。そして近くのマイクに顔を近づけた。
「皆さん、模擬戦とはいえ、下手すると死ぬぞ、気をつけろよ。」
しばらくするとコントロールルームにエクスとザックの声が響く。
『おい、ロック、一体どういうことだ?』
『まさか、俺様はショックモードのレーザーごときじゃ死なないぜ』
2人の声に応答したのはアイザックだった。
「ふん、我々はそう一筋縄じゃいかないって事くらい、分かってるだろうな」
アイザックは小さく笑うと、全員に聞こえる声で言った。
「"バトルシミュレーター”、起動だ」



アイザックの合図で、ジャングルの地面が開いた。5箇所だ。下から何かが上昇してくる。
現れたのは頑丈そうなシルバーの太い金属の骨格で創りあげられ、人の格好をしている戦闘用ロボット、
無愛想な顔部分は目がライトで光り、胸の部分には動力源を備え、両腕はそれぞれ発射口とカッターになっている。
そして5体のバトルシミュレーターは両足の真下についているジェットを作動させると、
「任務 第21小隊との戦闘」
「「了解」」
なんていっぱしの部隊のような声を発して、木々を切り裂きながら彼らのもとへと向かったのだ。



一方、第21小隊の面々は円陣を組みながら、どこから来るか分からないバトルシミュレーターを警戒していた。
「あのアイザック艦長の言い分だと、相当な武器を装備してきますよ」
メリルが呟く。
「ああ、それぞれ警戒しろ。ベン、お前はチェーンガンの準備を」
「了解だ」
ベンはエクスの指示でごつい腕で背負っていた大きな銃を両手に持ち、腰に備えていたエネルギーパックを装着した。
それから数分、何も変化は見られない。エクスが引き金から手を離しながら呟く。
「・・・おかしいぞ、何かあっちも作戦があるようだな。」
「上空からか?アダム、アダム応答しろ、上空から何か見えるか?」
ザックはそういって、腕の通信機に話しかける。しばらくすると、アダムから返答が帰ってきた。
『いや、何も見えないぞ。』
アダムは命令どおり、上空に浮かび、偵察及び狙撃を行う予定だ。
「でもアイザック艦長たちのことです。多分フェイントでもかけて・・・」
メリルがそこまで言った時、茂みから何かが飛び出してきてメリルに飛びついた。
「やりやがったな!」
ザックがメリルに飛び掛ったバトルシミュレーターにライフルの照準を合わせた瞬間、彼の視界に青い光が見えた。
それに対応し、ザックは後方宙返りで身をかわすと、今までザックのいた場所に青いメーサーが浴びせられた。
「くそ、たまったもんじゃない!」
「全員散らばれ!このままじゃ袋のねずみだ!」
ザックの歎きもままならず、エクスの指示が飛び、全員がそれぞれ茂みの中へと飛び込んだ。
もちろんバトルシミュレーターも対応する。
メリルは未だにバトルシミュレーターともみ合っていた。
彼女が右手でブラスターピストルを掴んで、照準も合わせたがバトルシミュレーターの左腕に装着された
黄色い光を発するカッターに銃口を切断されてしまった。
「うそ!?・・・」
メリルが呟いた次の瞬間、対人メーサーが装備された右腕で頭を殴られる。こいつら無機質の金属製のため、殴られるととてつもなく痛い。
痛みをこらえ、顔を上げると、今度はカッターを向けているではないか。
「やめてよ!」
メリルが必死の抵抗で無愛想な顔面にパンチを入れるがそこは無機質の体、むしろメリルの拳にダメージが加わった。
その痛みに顔を歪ませて無愛想な顔としばしの間にらみ合った。
その瞬間、その無愛想な顔、光り輝いていた目から光が消えた。胸からは煙が出ている。
メリルが慌てて押しのけると、念のためブラスターを拾いなおし何発か力なきバトルシミュレーターにブラスターを食らわせる。
『無事か、メリル』
腕の通信機に響いたアダムの声を聞き、メリルは上空を見上げた。案の定、アダムがスナイパーライフルを構えて浮いている。
「大丈夫です。援護感謝します。アダムさん、そこから何か・・・」
その時、アダムはメリルに向けて引き金を引いた。
メリルが驚いて回避行動をとる、しかし、命中したのは背後でメリルを切り刻もうと潜んでいたシミュレーターだった。
胸に命中したらしく、力なく崩れ落ちる。
『いやいや、困ったときは助け合うのが部隊の仲間だ』
アダムがそれっぽく言うと、メリルは安心した表情で頷いた。
『まぁ、訓練でこんな言葉を使うとは、思っても無かったが』
全く同意だ、とメリルも頷かざるを得なかった。
一方、そのころザックはジャングル内を逃げ回っていた。二体のバトルシミュレーターに追われている。
時々青いメーサーが周りの植物を焼き払っていくのが見える。ザックはそれを見てさらに悲観的になる。
「くそ!こんなに辛いなんて聞いて無いぞ!」
ザックはそういいながらも、振り返るとブラスターライフルを連射した。
しかし二体とも腕についているカッターで見事にはじき返した。唖然とするザックだが、名案を思いついた。

遠距離でダメなら、近距離で攻めればいい。

「化け物かよ・・・この訓練用ロボットがぁ!!」
ザックはそう叫ぶと、逃げていた足を止め、振り返り二体のバトルシミュレーターに向かって飛び掛った。
一体のそれに馬乗りになり、まずは左腕を踏みつけ右腕をブラスターで焼き払う。そして最後に胸に一発ぶち込んだ所で横転する。
タイミングよく、もう一体のカッター攻撃を交わし至近距離でライフルをぶちかました。
その弾はすべて急所である胸に命中すると、残ったシミュレーターも煙を上げて倒れこんだ。
「はは!みたか、ザック様の力を!」
調子に乗ったザックが叫んだ所で、彼は後ろから殴り飛ばされた。
顔から思い切り地面に叩きつけられると、後ろを振り向く。案の定、さらにもう一体のバトルシミュレーターがたっていた。
「・・・なんで俺ばっか3体もあいてにしなきゃいけねえんだよ!」
ザックはカッターで攻撃しようとしてきたそいつを蹴り飛ばすと再びブラスターを構える。
しかし、今度の対応は素早く、ザック自慢のブラスターライフルは、素早いカッター攻撃で切り刻まれてしまった。
「うそでしょ!!」
間抜けな声を発するザックが、慌てて横転すると、腰につけたブラスターピストルで何とか応戦する。
しかし、威力の数段下がるブラスターピストルでは、胸に当たろうとも装甲で跳ね返されてしまう。
バトルシミュレーターが右腕を突き出した。メーサーを発射するぞ・・・ザックは直感し右に跳ぶと、次の瞬間後ろから声が響いた。
「無機質の塊!こっち向けよ!」
このごつい声はベンだ、ザックは直感すると近くの茂みに隠れる。
そのとおりでバトルシミュレーターが視界に捉えたのはチェーンガンを構えたベンの姿だった。
「くたばりな!」
ベンが引き金を引くと、銃口のガトリングが回転、赤、緑、黄、青、鮮やかなレーザーが次々発射される。
驚くべき連射力と威力を備えたチェーンガンは、ごついベンでないと扱えないだろう。
そしてその鮮やかなレーザーは、次々にシミュレーターの胸に命中していく。ついには煙を上げ、最終的には大破した。
それを見届けると、ベンはチェーンガンを下ろし、茂みにいたザックに声をかける。
「お疲れだったな」
「全くだぜ、アイザック艦長は俺達を殺す気か?」
ザックが立ち上がりながら、アイザックへ聞こえるよう通信機のスイッチを入れて言った。
「とにかく、俺たちが三体やった、あと二体か」
『ザック、俺が二体やったから多分クリアだ』
アダムが通信機を経由してそれを伝える。ザックは「承知した」と返すと、ベンと共に辺りを見回した。
アダムが上空からこちらを見つけて、ジェットパックを巧く操り降下してくる。メリルもアダムに誘導されながら2人と合流した。
「見事だな」
アダムが近くに崩れ落ちている3体のシミュレーターを見て呟く。
「俺が2体、ベン少尉が1体、お前らは?」
ザックの問いかけに、答えたのはメリルだった。
「アダムさんが2体狙撃で。私は結局何も出来ませんでした」
「いいさいいさ、抵抗しただけさすがだよ」
アダムの言葉に、メリルは頷くと、ベンが誰しも気にしていることを言った。
「そういえばエクスはどこだ?」
「そういえば見てませんね、隊長?いまどこです?」
メリルが通信機に向かって言うと、しばらくして応答が返ってきた。なんと茂みをかき分けて本人が現れたのだ。
「うわ、びっくり」
ザックが呟く。エクスは崩れ落ちている3体のシミュレーターを確認する。
「・・・なんで俺のところには一体も追っ手が来なかったんだよ!」
エクスは叫ぶと、ベンがなんともいえない表情で慰める。
「いやぁ、別にいいじゃんか」
次の瞬間、ジャングル中にアイザックの声が響き渡った。
『見事だったよ、訓練は終了だ。お疲れさん』
アイザックの言葉で青い空がドーム状の丸い屋根に切り替わった。そして近くにいるシミュレーターを回収しに技術班が駆けつける。
「派手にやりやがったなぁ」
技術班の一人がそう呟くと、ザックが嫌味っぽく返す。
「そうでもしなきゃ、お前達が回収するのは無機物の残骸じゃなくばらばらの肉片だぜ」
そういい残して第21小隊はシミュレートルームを後にした。実に有意義な訓練だった。




ついに最終試験だ。
戦闘実技でジャングルめいた部屋でロボットを倒したり、暑さと寒さが一定時間で変わる部屋に1時間放置されたりと
さまざまな試験があったが、これで最後を迎えようとしている。
ロイは心を落ち着かせると、案内された部屋にやって来た。
200数名、入隊希望者全員が集まったこの部屋は、映画館のようで、席に座らされスクリーンがある。
なんか歴史の映画でも見せられるのか?それに、これは試験内容として一般に公示されていないはず・・・
ロイがそう思っていると、スクリーンの前に髭がむさい試験総監督ドルジ・パーソンが現れた。
「えぇ、諸君、今までご苦労様。これが最終試験となる。紙もペンもライフルも要らない、ただいるのは心構えだ。
これから一本の映画を見せる。君達には胸に貼ったシールで感情の変化を読み取らせてもらう。それが試験内容だ。
もちろん気分が悪くなって退室するなりしても0点の評価がつくだけで、とりあえず即不合格にはならないから安心するように。」
「それでは。」とドルジはスクリーンの前から消えると、ロイは手元に配られたシールを直接胸に貼り付けた。
どうやら心拍数や心の安定具合を計れる万能シールらしい。これがどこからか送信されて首脳陣のもとへと伝わるのだろう。
そんな推測をしていると、部屋は暗くなり、スクリーンに映像が流れ始めた。
『こちら第321中隊、これよりミッションを開始する!』
隊長と思わしき人物がそう叫ぶと、その部隊が乗っていた輸送機か何かの扉が開き、全員が一斉に飛び出した。
カメラもそれを追う。舞台は砂漠だ。生々しい爆撃が遠くで響いている。
それだけでロイは直感した、これは本当の戦場で撮られた映像である事を。
『進め進め!岩場まで進め!第1チェックポイントを・・・・』
隊長らしき人物がそう言ったところで、カメラと隊長らしき人物との間に爆風が起こる。
カメラは吹き飛ばされ、スクリーンの映し出されている映像が乱れる。
「(すごいな・・・)」
落とされたカメラが映し出していたのは血まみれの隊長の顔と、恐らくカメラを回していた隊員の苦痛に歪む顔だった。
『大丈夫か!』
画面奥から2人の兵士が駆け寄り、撮影者と思わしき隊員を担ぐ。カメラも隊員が拾ったようで、3人の兵士が必死に撤退する様子が映る。
ガンシップが見えた次の瞬間、担いでいた1人の隊員が倒れこんだ。赤い光弾に貫かれたのだ。
『くそったれ!』
負傷した兵士をひとまず降ろし、カメラを持っていた兵士はカメラを投げ捨てた。
もちろん映像は大きく空を映し出して、地面に落下すると、うまい具合に先ほどの2人の兵を映し出す。
『くそ!』
ブラスターライフルを放ちながら隊員は叫ぶが、次の瞬間すさまじい数の弾の前に吹き飛ばされた。
負傷した隊員は何とか逃げていくが、背後から光弾に撃ち抜かれてしまった。その隊員が倒れこむと、しばらく3分ほどそのままの映像が続く。
「(・・・何なんだ・・・?)」
ロイがそう思っていると、画面が切り替わった。今度は若い男が自分にカメラを向けているようだ。男がどアップで映る。
『こちら第2回収班。これから任務にはいる』
そういって男と、数名の仲間がガンシップを飛び出す。先ほどとは打って変わって今度は静かな砂漠だ。
しかし、場所は変わっていない。先ほどの戦場となっていた砂漠だ。
その証に砂が焼け焦げている箇所があり、いたるところに残骸が残されている。
『これは酷いな』
カメラを構える回収班の男がそう呟く。
そしてカメラはあるものに寄った。先ほどの爆風で吹き飛ばされて死亡した隊長の死骸だ。
レーザーの熱に直接やられたらしく、絶対に18歳未満は見てはいけない代物である。
「(うお・・・)」
ロイは一瞬目を背けそうになった。資料で目を伏せながら我慢してみていた死体とは違う。
これが戦いと言うものなのか。
さらに映像は他の兵士達の死体を映し出していく。中にはとても見ていられないようなものも映し出される。
「ぐはっ」
近くの席で誰かの声が上がる。当然だろう。既に何人かが退室し、周りにも伏目がちに見ているものが大勢いる。
その中でロイを含め、何事も無いように見ているような入隊希望者は少数派であった。
「(・・・これが戦争の現実だ)」
なんてことをロイは思っていると、次第に胸の高まりはなぜか収まってきた。
どうしてだろうか?覚悟がついたのだろうか?
そして8分間、ただただ残酷な映像が流れ終わると、不意に部屋に明かりが灯された。
再びドルジ・パーソンがスクリーンの前に現れる。
「これで試験は終了だ。現在のところ不合格者はなし、全員今この瞬間から”SSF”の隊員となった。」
ロイ含め、周りは何も反応できない。あまりにも突然の事で実感がわかないにもほどがあるのだ。
たしかに定員を大きく下回っていて、ロイのいままでのパフォーマンスから言って不合格になることは無かったのだろうが・・・
今から突然、ヴァーノン出身の田舎者の少年は、宇宙が誇る特殊部隊”SSF”の一員となったのだ。
しばらくして、わずかだが喜びがこみ上げてくる。
「順位はこのスクリーン含め、各所のデータバンクに配信する。確認はそれぞれ行え。本当の所だったら
明日以降なんだが、今回は緊急事態と言う事もあり、本日21時から部隊配属の通知が行われる。
知っていると思うが、数あるSSFの部隊がお前らを死に物狂いで部隊に取り込もうとして来る。
最終的には抽選で振り分けられるのだけど、どの部隊になっても文句は言わないように。
21時以降は割り当てられた宿舎にいるように。そして部隊の配属命令、そしてその部隊の担当がきたら
お前達はその場で所属する部隊が決まる。そして、下手すれば明日・・・いや、今夜から任務に入るものも出るかもしれない。気を引き締めろ」
ドルジの言葉に、どんどんロイは実感がわいてくる。そしてスクリーンには順位が表示された。
“ロイ・モース”を探す・・・みつけた。
“ロイ・モース 入隊試験総合第2位”
各希望者が順位を確認した時、退室際にドルジは呟いた。
「ようこそ”SSF”へ」



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