春の気
GW中に桜の開花宣言が出た札幌であるが、我が住む南はまだ僅かに赤らむ蕾が本日の午前中までは散見された(夕方出ると花開いた桜が見られたが)午前中近在でやっと見つけた開花した桜である。冬顕著に感じるのが、気象庁の予報の札幌の気温よりもこの地域は4,5度は低い。それだけ空気が澄んでいるのだろうと思うが、暖かくなるとさほど気温の差は感じられず、桜の開花で如実に知ることになる。春の気がすっかり体の何ものかを奪ったようで、臥して本を開く休日が続いた。チョムスキー「言語論」を拾い読みして後、田中英光「オリンポスの果実」はボート部だった高校生の頃から何度読んだか。そして圧巻は「満州国演義ー風の払暁ー事変の夜ー」船戸与一を読み始める。映画「ラスト・エンペラー」においては歴史の教科書の如き満州国を描いて成功した映画であったが、「満州国演義」においては光を浴びない裏であったり、庶民であったり、或いは大陸浪人であったりに光を当てる。文化や人種が混沌とした世界を船戸によって形作られていく、読了していない段階で何事も語れないのだが、「蝦夷地別件」の如き高揚感を持って読み進めている。