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カテゴリ:生活・仕事
どうでもいいような話を一つ。
大変残酷なことだが、世の中に迷惑だと思われる不要なものが二つある。

ひとつは、やる気はすごくあるのだが能力のない奴。
あとひとつは、善意から出ている余計な御世話。

これらの両者は、本人達がいたって真剣である場合が多いので、一層厄介である。
また、それを断ると大抵の場合冷たい奴と思われたりする点でも、両者は共通している。ひどい場合には、逆恨みされたりもする。

だが、人には向き不向きがあったりすることは、残念ながら事実であるし、いくら頑張ってみたところで無理な場合、早く諦めて違う道や可能性を模索するということは決して悪いことではない。
しかも、相手が若者だったり学生だったりした場合、能力の有無やその道の向き不向きを指摘してあげることは、教育に携わっている者ならば、本来極めて重要な責務であるはずだ。
だが、時に人は「本人がこんなにやる気を出して頑張っているのだから、そこを評価してあげるべきだ」という言葉に、ついつい騙される。
頑張ったことを評価してあげるのはいいが、能力がないのならば、とっとと諦めて違う道を探すべきなのだ。
その方がよっぽどその人にためになるはずだし、逆に、変な期待を持たせてズルズルとその道に留まらせてしまうことの方が、後々やり直しがきかなくなる可能性が高くなってしまうという意味で、無責任な対応なのだ。
また、その本人のやる気だけで周りの者達が振り回され、大きな迷惑を被るような例なども存在している。

そして、あと一つ厄介なのが、「良かれと思って」善意で行われる大きなお世話だ。
この種の善意は、実はある共通点がある。
それは、大抵の場合、事前に当事者への承諾がない、という点だ。
「彼または彼女のためのを思って」「世のため人のためを思って」為される行為のうち、その少なくない部分が、行為の対象である当事者への事前承諾のないまま為されている。
その結果、それは本質的に誰のためでもなく、ただただ己の自己満足のためだけに為されているということに、行為の主体は気付いていないことが多い。

ただ、この問題の難しい所は、その動機が善意であれ何であれ、行為の結果が実際に有益であったりする場合も数多く存在しているということだ。
例えば、ボランティアでなされる公園の清掃や、混み合う電車での席の譲り合いなどは有益で、立派な行為であるだろう。

やる気も善意も、それ自体に何の罪悪もないし、人間行為の自然な感情であるだろう。その意味で、両者は決して無くなることはない。
だが、それらのものは、帰結の正しさを必ずしも意味するものではない、ということに我々は自覚的である必要がある。
時にそれはある種の逆説や悲劇を生み出すことがあるということだ。


能力が伴わないやる気だけで、多くの人や組織が迷走し、混迷に陥ったり停滞したり没落してしまう悲劇や、社会を守りたい善意だけで、紛争や独裁体制を熱心に支えて延命してしまう悲劇の現実を、我々は目撃していないだろうか?

「地獄への道は、善意で敷き詰められている」というかの有名なマルクスの台詞は、実は真理であるのだ。





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Last updated  2009.05.12 00:31:28
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