きざし昇の雑記帳

　本日の朝鮮日報の記事に、「日本が核武装化に拍車」というのがありました。
引用元：　http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/05/25/20050525000022.html
　短いですから、全文掲載します。
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「日本が核武装化に拍車」北の放送が主張
北朝鮮の朝鮮中央放送は24日論評を通して「最近、日本が米国の黙認・庇護のもと、核武装化の実現に拍車をかけている」とし、日本が既に4000余の核兵器を作ることができるプルトニウムを保持していると主張した。

　この放送はまた、日本は先月20日、フランスから124の高レベル放射性廃棄物を青森県・六ケ所村村の放射性廃棄物貯蔵管理センターに（1995年以降10回目に）搬入するなど、日本の核武装の動きが北東アジアの新たな不安定要因となっていると懸念した。

　これに先立ち北朝鮮は18日付の労働新聞の論評をはじめ、中央放送、平壌（ピョンヤン）報道などで日本の核武装の可能性について相次いで取り上げ、米国と日本を批判した。

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　「日本が既に、4000余の核兵器分のプルトニウムを保持している」という内容に、正直「まさか！」でした。

　さっそく調べてみると、
　原爆が造れる軍事物質のプルトニウムを、０３年時点で既に４０トンも貯めこんでいるとか、使用済み核燃料の再処理で供給されるプルトニウムは、核爆弾５万発分以上に相当するとか（大袈裟な！！）。。。という記述がありました。

　何でこんな物騒なものを、再処理をして取り出しているのかというと、もともと使用済燃料の再処理計画は、新型転換炉と高速増殖炉用の燃料を供給するものだったのです。
　計画では、２０００年以降、毎年約７００kgのプルトニウムが消費されると見込んでいましたが・・・
　ところが・・・・新型転換炉は、経済性が悪く電力会社から拒否されて中止になるわ、高速増殖炉の方は、実証炉の前段階の「もんじゅ」がナトリウム火災事故によって停止しているわで、思い切りプルトニウムが余っています。

　さて一番の疑問ですが、発電用燃料のプルトニウムが兵器に使えるものでしょうか？

　再処理で得られるプルトニウムは、原爆の原料には不適であるそうです。
　燃料用のプルトニウムは、プルトニウム２４０が多く含まれていて、原爆用のプルトニウム２３９と分離するのが難しいらしいです。

　無理をして、２４０が多いプルトニウムを原爆の原料にしても、２４０から発生する中性子がコントロールできないので、勝手に核反応を始めたり、小さな爆発力しか得られないとのことです。（小さな威力といっても、腐っても原爆です。威力は相当なものでしょう）　
　燃料用のプルトニウムで核兵器を開発しても、保管などの問題を考えたら、わざわざ保有するメリットはないみたいですね。

　もし、本気で日本が核兵器開発をするなら、北朝鮮がやっているように、最初から兵器用プルトニウムの生産用に既存の原発を使うことは可能です。
　しかし、今の日本の電力需要を考えると、原発の転用は無理な話でしょう。

　そこで仮定の話です。
　使用済燃料の再処理で、プルトニウム２３９の分離・濃縮の技術が開発できたとするなら・・・
　日本の軽水炉がフル運転で生まれる、燃料用のプルトニウムが年間１０トン。
　稼働率８０％として、年間８トンのプルトニウムが確保されます。
　この内６０％が、プルトニウム２３９です。収率７０％なら、約３・３６トンの兵器用プルトニウムが計算上では得られます。

　長崎型原爆は８ｋｇのプルトニウムを使いました。
　すると、３・３６トンのプルトニウムは、約４２０発分の兵器用プルトニウムに相当します。この分量が毎年確保されます。
　燃料用プルトニウムが４０トン備蓄されているなら、長崎型原爆２０００発分の兵器用プルトニウムをまかなえる分量に相当します。(あくまでも計算上ですが）

　北朝鮮は、兵器用プルトニウム確保に苦労しているようですが、日本は北朝鮮が騒ぎたくなるような量を潜在的に持っているということですね。
　何しろ、北朝鮮の推定核爆弾保有量５～６発分とは桁違いですからね。
（参考）http://www.jiyuu-shikan.org/store/book/zasshi/04.03.html


　日本は、スーパーコンピューターも自国で造っていますから、核爆発の開発シュミレーションが可能です。
　それに液体燃料より制御の難しい、固体燃料ロケットの技術も持っています。
　こんなことを考えると、アメリカの「日本は３年で核保有が可能だ」という発言も納得できます。
　
　なるほど。。。確かに、日本の極端な右傾化を周辺国が警戒するのも理解できます。

　でも、単純に核兵器万能なんて思えない時代になっていますし、廃棄される原子力発電所施設や、すでにお荷物になっている核廃棄物質などの処理コストは、近い将来大きな負担になることは充分予想できます。
　いまさら、核兵器を保有するメリットがどれだけあるのか不明ですね。