海からの風・・・富士山にSteady as She goes!
もちろん、この「ようそろー(ステディ-)」は船乗り独特の専門用語である。「ようそろー」(宜候・ヨーソロー)の語源は「・・せよ」との指示・命令に対して、「・・宜しゅうございます」とか「ある目標に船首をそろえるように・・」と言う事から「宜しく揃え・・」となり、これが「ようそろー」になったという説がある。「ようそろー」とは、その方位に船の針路(船首方向)を保持する事を意味する和語である。現在は自衛艦や官庁船・小型船等を除いて、一般船舶は大略英語のSTEADYという号令を用いているのがほとんどである。・・・・・Steady as She goes!・・・・・船のアンカー「錨」に希望と信頼を託す!本来、この「錨・いかり」という言葉は「定住する」とか「しっかり」という意味合いであり、「碇泊」という漢字があるように「石を使用して定める」からきた言葉。リレー等の最終走者を「アンカー」の言い方をしており、いわゆる「頼みの綱」である。最後の「希望」と「信頼」をその選手に託すという意味合いだ。マリンルックなどでお馴染みの錨のマークは西欧では「希望」の象徴として大切にされてきた。又、錨の起源は古く、最初はロープをくくり付けた石などが使われていた。日本でも沿岸漁船や漁師達は、仕掛ける漁法等によっては石をロープ等で括ったものあるいは石俵を錨の代用として用いている地域が今でもある。船を海底に確実につなぎとめるその重要性は今も昔も変わらない。錨 「Anchor」 の語源となる古代ギリシャ語は「曲がった腕」を意味し、船を力強く繋ぎ止める錨(アンカー)に、古代の人々は目に見えない神秘的なエネルギーや神の加護を感じてきたのだろう。大きな船から小さな船、どんな船にもこの錨が装備されており、「船舶安全法」にもとづく「船舶設備規定」という法律に、船の大きさ(長さ・幅・深さ)や航行海域等によって、錨・錨鎖の寸法、重量、長さ等のギ装数について決められている。ギ装数=船の長さ×(船の幅+船の深さ)+α・・・で求められる。但し、αは船の上部構造物の大きさ等によって決定される。錨(アンカー)を使用して停泊することを一般に「錨泊」というが、一般に錨1個使用する「単錨泊」、2個使用しての「双錨泊」・「二錨泊」等の方法がある。通常の沖錨泊や港外錨泊、悪天候回避の避難錨泊、入港や荷役待機の錨泊離着岸時の操船補助、特殊操船等に錨が使用される。低気圧の接近通過、台風の接近その他荒天による避難時の海気象現象、今後の気象予想、本船との相対位置関係、風向の変化、周囲の地形、他の錨泊船等の輻輳度、本船のコンディション等によって総合的な判断をし、その使用目的や方法を変えている。又、船体の振れ止め防止や離着岸時の操船補助・特殊操船として (1) 錨を引きずって前進行脚を制御する(錨鎖は水深の1.5倍程度) (2) 船首が風下に落とされるのを抑制する(錨鎖の調整・制御) (3) 錨の力を利用して回頭する(回頭舷の錨を使用) (4) 狭い水域で船首の振れをおさえつつ後進する(保針の補助)・・・・・等にも錨を使用する場合がある。錨が海底を掻く力を「把駐力」といい、錨の重さ・錨鎖の重さや繰り出す長さ・海底の底質等によって左右される。底質は極めて重要な要素をもっており、理想的で適正な錨地としては底質が軟泥・砂泥・砂である海域が極めて錨掻きが良い!錨鎖(アンカーチェーン)の1節の長さは、JIS規格の改正があった為に25mと27.5mの二種類がある。