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October 31, 2014
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カテゴリ:カテゴリ未分類
深作欣二監督「里見八犬伝」を、新文芸坐で観る。

荒唐無稽な設定。波乱万丈のストーリー。美男・美女の主人公とヒロイン。強烈な個性に彩られた悪役たち。――「笛吹童子」や「紅孔雀」など、伝奇ロマンと言われるジャンルが、かつての時代劇には存在した。

その伝奇ロマンの元祖である曲亭馬琴「南総里見八犬伝」を、鎌田敏夫が翻案した小説「新・里見八犬伝」が原作。深作欣二監督は、失われた伝奇ロマンの再生を目指している。

100年前、里見家によって滅ぼされた蟇田家の玉梓(夏木マリ)、元藤(目黒祐樹)母子が、妖怪となって復活。魔力によって、里見家を滅ぼし、館山城を攻略する。

ただ一人生き残った里見の娘・静姫(薬師丸ひろ子)は、逃亡の途中で、犬山道節(千葉真一)、犬村大角(寺田農)に助けられる。二人は静姫に、里見家の危機を救う「八犬士」の存在を告げる。道節、大角はその「八犬士」のメンバーであった。

蟇田一派が立て籠もる館山城の内部は、スティーブン・スピルバーグ監督「インディ・ジョーンズ」に登場する古代遺跡のようなデザインとなっている。千葉真一は、「里見八犬伝」について、あれは、『インディ・ジョーンズ』」と、ハッキリ語っていた。

時代考証は、完全に無視。玉梓、元藤の衣装は、豪華絢爛にしてグロテスク。真田広之、志穂美悦子、そして、千葉真一率いるJACによるアクションは、ワイヤーをも導入し、派手さを増している。

伝奇ロマンの再生にあたって、これら現代的な要素を盛り込む一方で、深作欣二は、過去の時代劇からの引用・参照を行っている。

死者を蘇生させるなど、怪しげな医術(?)を用いる幻人を、東映時代劇の名バイプレーヤー・汐路章が怪演している。目黒祐樹の悪役ぶりには、父・近衛十四郎のそれが投影されているだろう。それにしても、目黒祐樹は近衛十四郎に似ている。クライマックスでは、父親譲りの豪快な太刀捌きで、薬師丸・真田コンビを苦しめる。

老臣と侍女にかしづかれたお姫様が男装し、彼らの犠牲によって逃げ延びる。この設定は、黒澤明監督「隠し砦の三悪人」。静姫の足を露わにした衣装と、ムチャクチャ気の強い性格は、「隠し砦の三悪人」におけるお姫様=上原美佐そのもの。

黒澤時代劇については、「七人の侍」からの引用が著しい。

親兵衛(真田広之)は、百姓の老爺に拾われて育った捨て子だ。粗暴な野性児で、腕っぷしだけはやたらに強い。「犬士ではない」という理由で、最初は静姫一行から除外される。

このキャラクターは、明らかに「七人の侍」における菊千代(三船敏郎)を下敷きにしている。菊千代は、戦に巻き込まれて両親を亡くし、孤児として育った。百姓の出身で、「侍」たちから疎外され、それでも勝手についてくる。

館山城に攻め込むときの親兵衛のコスチュームは、腕と足を露わにしており、これも、「七人の侍」におけるクライマックス=野武士との死闘における菊千代の衣装と似ている。

「里見八犬伝」のラスト。戦死した7人の犬士の墓に、生き残った親兵衛が水をかけている。「七人の侍」のラストでは、生き残った勘兵衛(志村喬)ら3人の侍が、死んでいった菊千代ら4人の墓に手を合わせる。

喪の感情、という「七人の侍」における重要なモチーフを、「里見八犬伝」は継承した。

7人の死者たちの声に励まされ、親兵衛は静姫と共に旅立つ。勝四郎(木村功)が百姓の娘との恋を諦めたのとは対照的だ。未来への希望を託したフィナーレは、深作欣二監督の実質的な遺作「バトルロワイヤル」にまでつながっている。





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Last updated  October 31, 2014 07:04:55 AM
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