普通の映画では主人公や脇を固める登場人物の伏線的ストーリーが花を添えたりほっとさせてくれたり、という気分転換の場がありますが、これには全くありません。
とにかくイラク戦争が間違っていたわけはこんなところにあったんだよ、どうですか?あなたはどう考えますか?与えられた情報を鵜呑みにすることは怖いと思いませんか?と聞かれているようでした。
大量破壊兵器は存在しなかった、それを隠したり情報操作したのは政府の中枢部にいる人間だった。それを知った特殊部隊のミラーが真実を突き止め、命令を無視して信念を貫くために危険にさらされ、、というストーリー。
『インペリアル・ライフ・イン・ザ・エメラルド・シティ』という本にヒントを得て制作された映画だということですが、アメリカならではです。ここまで政府を皮肉っている映画を世に出し、他国にまで売り出すことを許すなんてある意味太っ腹な気がします。
それと、戦争放棄したわたしたちが新聞やテレビでしか得られなかった非日常的なできごとは恐ろしく過酷だということを映画で知ることも必要かと思います。 10代20代の若い世代の人たちはゲームや映像を見て別の考え方をするかも知れませんが、少なくとも映画館での映像や音声はは作りものでありながら真実を模していると思えます。
そういう意味では見て損はないかも知れません。
映画を娯楽のため楽しみたい、と思う人には不向きです。
どうも辛口の評価が続いていますが、わたしは「マット・デイモンが出ているから見たい」という単純な理由で見に行ったにもかかわらず、スクリーンに釘付けでした。
「アメリカ軍」「イラク国民」と文字で読むのと映像で見るのでは、たとえ作り物でも雲泥の差があります。
重要人物で大勢のSPに守られてきた男が、あそこまで銃弾をかいくぐって逃げられるような体力があるのか?というところだけ少し突っ込みたくなりましたが。
必要以上のあり得ないスタント(それが楽しみで映画館へ足を運ぶ人もいるでしょうが)がなかったところはよかったです。
終盤で、ミラーが守りきった将軍が思いがけず一市民であるミラーの同行者(通訳がわり)に撃たれる、という展開には驚きました。
そういう筋書きも効果的だったかな、と思います。
映画はある程度事前情報を得てから行くのですが、今回は全く情報なしで行きました。真っ白なまま見るのもいいかも。
監督が求めていたものは何か知りませんが、わたしとしては戦争と軍隊、軍隊とは関係ない一般市民、危険にさらされた人たちの葛藤を映画で厚いフィルター越しに知ることができたような気がしました。
それにしても銃撃戦は見ていてツライです。
それと、最近の映画館は寂しいものですね。小さい劇場で、客はたった5人、その中でエンドロールが終わるまで客席に座っていたのはわたしひとりでした。
映画を見る側の気持ちとして、エンドロールが終わるまで見るのがわたし流の礼儀です。トイレに行きたい、という人もいるでしょうけど、、なんだかそれも寂しいな。
この映画にはエンドロールの続きはありませんでしたが、ときには最後に残っている客へのごほうびが残っている場合だってあるんです。
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久々に映画館へ行ったのでついでに気になっている3D映画に必要なプラス300円について質問してみました。
あの3Dメガネが自宅にあるのだけど、次に3D映画を見るときにあれを持参すれば300円の追加は必要なくなるのかどうか。
すると係員の女性はこう答えました。
「あれはメガネの値段ではありません。次いらしたときにもメガネを提供しますし、持参されても300円は作品の鑑賞に必要な値段ですので」
つまりどうしたって3D映画はレイトショーにも、レディスサービスディにも、追加の300円が必要だってことらしいです。