ずうっと、ずっと、大すきだよ
ハンス=ウィルヘルム作
エルフの ことを はなします。
エルフは せかいで いちばん すばらしい 犬です。
と「ぼく」が語りかける文章で始まります。ぼくとエルフという犬は兄弟のように育ったのです。おそらくぼくの記憶をたどっていくと、最初からエルフは一緒にいたのでしょう。ぼくの兄弟もエルフのことが大好きだったのだけど、エルフは誰のものでもなくぼくの犬だったのです。ぼくが成長するにつれ、エルフも老いていきました。ぼくはエルフに柔らかい枕をやって、「エルフ、ずうっと、大すきだよ。」と毎晩言ってやったのです。ある朝エルフは死んでいました。エルフを庭に埋めてやり、家族皆で肩を抱き合って泣いたのですが、ぼくは皆よりは気持ちが楽だったのです。毎晩「ずうっと、大すきだよ。」って言ってやってたから。 隣の子が子犬をくれると言ったけど、ぼくは断ってエルフのバスケットをあげました。 そしてこの「ぼく」の語りは「なにをかっても、まいばん、きっと いって やるんだ。ずうっと、ずっと、大すきだよ。って」と締めくくられるのです。
ペットを飼っていれば、誰でも経験する「死」というもの。ペットといっても、多くの人は家族の一員として接していると思います。出会いと別れ、悔いのないように愛情を持って生活したいですね。もちろん動物だけでなく、人間とも。幸せに生きることも大切ですが、幸せに生涯を閉じるということも大切だと思います。エルフには「大すきだよ。」という気持ちがきっと伝わっていたでしょう。「ぼく」の朴訥な語りは、多くのことを投げかけてくれます。
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