2012/07/17(火)10:13
ミニマムピープル
前日に僕がスズキを釣ったことで、後輩S君が「僕も上越へ行きたい」との意向を示した。このところ、目立った釣果に恵まれていない彼だけに、藁をも掴みたい心境なのであろう。
で、20時間ぶりに前日釣り上げた場所に到着。
ところが、欲望に駆られたS君は、ベストを忘れる始末。ビニール袋にルアーケースを入れ、まるで「弁当買ってきました」のような格好で釣りを始めた。
前日の感触が腕に残る僕は、欲望を前面に打ち出さずにルアーを投げている。釣れても釣れなくてもいい心境だ。言い方を代えると、「余裕」のようなものがある。
なので、ここではノーヒット。場所を代える。
上流域で、S君が正体不明の魚をバラした。「糸が切れちゃいましたよ。くやしいっすよ」と顔を歪めている。おそらく日頃の行いの一端が、肝心なこういう時に顔を出してしまうのだ。
程なく、S君の歪んだ顔にお花が咲いた。「釣っちゃいましたよ」と声を弾ませ、小さな物体を手から下げてやってきた。
これは何という魚か?アジか?「久しぶりのシーバスですわ」とはしゃぐS君ではあるが、あまりにミニマムな出来事に、僕の目頭は熱くなる。
夜、小学校時代の友人と、祇園祭恒例の同級会。
この中で、独身者は2人。いずれも女性である。「できれば、20代の男性と結婚したい」という欲望を露にしている。
そういえば、S君が釣ったシーバス(セイゴ)も20cm台。いわゆる、ミニマムな連中ということで、悲しく共通している。