カテゴリ:本・新聞・雑誌記事
私は幼い頃から手のかからない子だった。
一人っ子の本好き、空想好きで本とノートとクレヨンさえあれば、何時間でも1人で遊んでいる。 あまり静かなので母が心配して何度部屋に確認しにきたことか。 たまには外でも遊ぶけれど、がさつな男の子が嫌だったのでそんなに長くは外遊びしない。だから服も汚さないし、親に心配をかけるようなこともしない。 もっとも小学校低学年まで腰まである長い髪で、母が毎朝結ってくれたので汚すと嫌がったというのもあるが。 小学校からずーと成績は可もなく不可もなく。 私の時は5段階評価だったが、基本が4で5がパラパラ。 それも毎回先生の面談の時に5に近い4なのでがっかりしないでという言葉が添えられた。 頑張れとハッパをかけられるほど悪くはないが、素晴らしい成績でも、何かが突出しているわけでもない。 忘れ物もほとんどないし、宿題や提出物もちゃんと出す。 いつしか周りの大人の評価は「あの子はしっかりしている→何でも言えば1人でできる。→ほっておいても大丈夫な子ども」になっていった。 社会人になっても1度言われた仕事はきちんとこなし、あまり周りの先輩や上司をを煩わすこともない。 子どもの頃家にお客さんが来て、母に「お茶と灰皿出して」と言われてお茶と灰皿を出すと叱られた。お茶にはお茶請けを、灰皿にはマッチをそえるのが常識。 気配りが足りない、血の巡りが悪いと躾けられたので、会社でのマナーもそつなくこなした。ひとこと言えば分かる、そつのない手のかからない社員として。 そして今もそういう印象があるらしい。良く言われる。 今日の朝日新聞朝刊34面「困ったときの掲示板」で「A子さんはほとんど自力で仕事をこなし、B子さんは些細なことでも相談してくる。B子さんが自分の机にくるとA子さんが聞き耳を立てるようになり、2人への対応に困っている」50代男性会社員の相談が載っていた。 ばっかじゃないの!そんな事決まってんだろう!お前がA子さんに頑張ってるね、とか仕事が出来るので助かるよとか言葉で慰労してないからだよ! 自分には何も言ってくれないのに(仕事をそつなくこなしているのに)B子さんばっかりとコミュニケーションとっているので不安になってんだよ。 仕事はミスをしていないけれど、自分よりB子さんとばかり話している。何を話しているのだろう。と不安から聞き耳をたててるの。 自分がそうだったから、すごく分かる。そつがなく何でもする人間て一番ほっとかれるのよ。学校でも会社でも。それでもすごく突出したものがあれば別でしょうけれど。平均以上トップ以下って本当に構われない! だから自分の評価について時々不安になる。 営業職とか結果が目に見える職業ならましだが、私たちの時代は事務職のみだったし・・・ そんなことが累積すると切なくなるし、寂しくなってくる。でもそれを言ったら自分が情けなくなるので誰にも言わないし、言えない。 ただ自分の底深くにしまっておくだけ。でもその気持ちは消えることはない。 そんな自分の気持ちに気づいたのは夫と結婚した後だった。 彼は文化の差もあるが、性格的にも労をねぎらうことを厭わないタイプの人間だ。 コーヒーを入れたとき、料理を作った時、靴を磨いたり彼の身の回りの世話をした時必ず有難うとニッコリ笑って言ってくれる。 最初はそんな当たり前のことでお礼を言わないでと言っていたが、実はその言葉をもらう度にすごく嬉しがっている自分が居るのを感じた。 人に褒められる為にしているのではないが、相手が気持ちを表してくれれば嬉しい。これがコミュミケーションの基本だ。 だから言葉惜しみをしないで、有難う、助かるよ、君は仕事の飲み込みが早いねなどとしっかり伝えればいいのだ。 でもこういったことって日本のオヤジ世代って下手だ。重要性の認識も低いし、教育もトレーニングもされてない。 もうちょっと人の気持ちを真剣に考え、分析すれば良いのに。 この件に関して頭使わなすぎ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年06月02日 01時09分36秒
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