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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2012.06.03
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 
 昨日(6月2日付け)の本ブログの最後に次のように書いた。

 <戦後の花形だった電子・家電産業の衰退は日本の産業全体の衰退を思わせるものがある。ただ、私は必ずしもそうは思わない。 今は過渡期なのである。雇用形態の仕組みを変える一方、行政改革や規制緩和を通じて新たな産業、事業を起こせば、雇用の場は用意され、活力は維持されると思っている。要は、国全体のやる気である>

 その点をもう少し具体的に書きたい。

 たとえば、徳島県上勝町には有名な「葉っぱビジネス」がある。徳島市中心部から車で約一時間の山の中。過疎化と高齢化が進んで、人口は2000人未満、、高齢者比率50%だ。

 1980年代、上勝町は人口が下降線をたどり、主産物の木材や温州みかんが輸入自由化や産地間競争の激化により伸び悩んだ。1981年には異常寒波が襲来、みかんの年商が半減し、農業は大打撃を受けた。 

 これを乗り切るための施策の1つは、軽量野菜や椎茸の栽培で、椎茸は年商5億円となるなど成功している。もう1つが二人に一人という高齢者が活躍できる「つまもの事業=葉っぱビジネス」で、1987年にスタートした。

 葉っぱは山中どこにでもあり、基本的に只。軽くて、女性や高齢者でも扱える。日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜という点を武器に全国に販路を拡大した。中には年収1000万円を稼ぐおばあちゃんもおり、今では全国でも有数の地域活性型農商工連携のモデルとなっている。

 おばあちゃん達は情報端末を駆使し、全国の市場情報を収集して自らマーケティングを行い、葉っぱを全国に出荷する。 情報端末を見ることで自分が町で何番目の売上を上げているかの順位も分かる。それがが刺激になって、高齢者の活力を高めている。

 この例から言えることは次の点だ。

 まず、国や自治体に頼らずに自分たちで消費者の求める商品・サービスを探し出し、自らアイデアを実践して稼ぐ。高齢者だからと言って年金にばかり頼るのではなく、自活する道を進む。年金財政は改善されるし、若者への負担は軽くなる。一石三鳥、四鳥の効果がある。

 電子産業だけが日本の産業ではない。今は過渡期と言ったのはそこだ。
葉っぱビジネスはやり方しだいでは世界に輸出もできる。葉っぱビジネスの里を訪ねる観光産業にもなり得、現に観光業も伸びている。海外の観光客を呼び込む道だってある。

 青森県の五所川原では地吹雪が住民の冬の生活を厳しいものにしているが、世界には雪を見たこともない人もいる。地吹雪なんて、スリリングなことを体験してみたい。そう考える観光客のために地吹雪ツアーを広げている。

 雪道に詳しい町の専門家がエスコートして観光客の安全を確保しながら、ほかでは味わえない地吹雪の「魅力」を満喫させる。マイナスをプラスに変える発想の転換だ。大事なのは自立したビジネスを創造することだ。

 それは大震災に見舞われた東北各地でも言える。確かに国の支援は欠かせないが、最も大事なのは、自ら再建策を考え、実行することだ。でなければ長続きしない。

 何もないところから「葉っぱビジネス」が生まれ、生活を脅かすマイナスの資産だった冬の地吹雪が観光資源に生まれ変わる。

 活路はあちこちにある。政府や自治体がすべきなのは、古くからの規制を盾にして、そうしたアイデアの道を閉ざすことだ。自由な発想を行かせるように行政改革や規制緩和が今、最も望まれる。





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Last updated  2012.06.03 12:57:21
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