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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.05.08
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カテゴリ:生活・人生
先月、コンピューターの将棋ソフトとプロ棋士の団体戦で、将棋ソフト側が3勝1敗1分けで勝った。

 1997年にチェスの世界チャンピオンが米IBM社のコンピューター「ディープブルー」に負けたとき「将棋は相手から奪った駒を再び使えるから、チェスよりもずっと複雑、高度なゲームだ。コンピューターはプロ棋士のひらめきには勝てない」という「期待」があった。


 確かに、コンピューターにひらめきはない。だが、学習する能力を持つ。様々な局面でどの指し手が「勝つ」ために有効なのか。半導体の集積度が飛躍的に上がり、演算能力が高まると、コンピューターは膨大な過去の棋譜の中から瞬時に最適手を探し出すことができるようになった。

 学んだのは、公開されたプロ棋士の過去の棋譜(データ)だ。プロ棋士が選んだ指し手をもとに各局面での最適手を選ぶプログラムを作成、その精度を向上させた結果が今回勝ったコンピューターソフトだ。

 最終局の三浦弘行八段との対局で使われた将棋ソフト「GPS将棋」の場合、東京大学の679台のコンピューターを連結し、1秒間平均で約2億7000万手を読んだという。
 

 プロ棋士の全指し手、全頭脳を集合させた電脳との対戦。つまり、棋士が戦ったのは自分たち自身だったのである。
 
 プロ棋士のひらめきには勝てなくても、そのノウハウを学習すれば勝てる。勝利の時期がチェスより遅れたのは、ゲームのルールがより複雑で膨大な学習を必要としたからにすぎない。


 この結果、もはや人間は決められたルールの中での戦いでは大量なメモリーと超速の演算能力を獲得した現代のコンピューターには勝てなくなりつつあるということが明らかになった。

 俗に心・技・体という。人間はまず「体」にかかわる多くの分野で機械やロボットに勝てなくなった。

 建設や輸送など「力」を使う領域はむろんのこと。1ミリの数千分の1の精度で金型や電子部品を製造する精密機器も人間よりはるかに高い正確さでモノを作る。「体」を担う機械が「技」の領域にも幅広く入り込んでいるとも言える。


 プロ棋士をしのぐ電脳将棋の出現で、人間が優位に立つ「技」の領域はさらに狭められたことになる。


 残るはひらめきやデザイン。感性や心理など「心」の領域に踏み込む能力だ。あるいは正解のない問題について、進化した「解」を提供できる解決能力である。


 だが、人間でも多くは既存の知識を学び、技術を身につけて、それを仕事に応用しているだけだ。真に独創的な技術やデザイン、発想を生み出せる能力を持った人間は少ない。

 とすると、進化を続けるコンピューターやロボットによって長期的に人間はどんどん仕事を奪われて行くことになる。


 それでも良い。面倒な仕事はコンピューター、ロボットにさせて自分たちは好きな趣味やスポーツの世界に遊べば良い、という考え方もできる。

 だが、電脳に勝てなくなった囲碁や将棋に興味を持てるだろうか。音楽や絵画、俳句、和歌の世界でも一流のプロの能力に学んだ有能な電脳が出現し、人間を超える書画、音楽を生み出して、人間のヤル気を奪うかも知れない。

 スポーツの世界も同様だ。野球やサッカー、テニス、ゴルフ、ボクシングなどで有能なロボットやアンドロイドが開発されて、試合に出るようになったら、スポーツの興味も失われるかも知れない。

 外人力士が横綱、大関など上位を占めるようになって大相撲に興味を失ったという元相撲ファンが少なくないが、それと同様のことが起こらないかどうか。

 むろん、ボクシングなどに体重別で試合をする重量制があるように、ロボット、コンピューターを参加させない人間だけの試合に限るようになる可能性は高い。


 しかし、人間そっくりのアンドロイド同士の試合をする興行は現れるかも知れない。プロ野球なら時速300キロを超える直球を投げる投手、そのボールを場外に高々と打ち上げる4番打者、フェンスぎりぎりで取ったボールを超スピードで捕手に返球する外野手などを配置すれば、人気を呼ぶだろう。

 すると、そこまでスピード、長打力のない人間同士のプロ野球は次第に人気を失うかもしれない。

 人間のやるスポーツや将棋はただ、素人同士が楽しむだけのものになり、人間同士のプロの試合は観戦市場が減少して行く。でも、それだと素人が自分でやるのもつまらなくなるかも知れない。

 そうしたら、人間は何をして楽しむのだろう。こう悲観的になる反面、遠い将来、そういう世界が実現したら、必ず何か別の楽しみを見い出すようになると、楽観できるようにも思える。

 コンピューター将棋から導き出した未来の人間世界への予想図。ヘボ将棋の読み筋だなと思われた方は、納得の行く将来、あるいは斬新な未来を創造(想像)してみてください。





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Last updated  2013.05.09 14:53:54
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