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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.08.23
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カテゴリ:歴史・教育
 昨日、JBプレスでインタビュ-した日下公人氏の近著「日本精神の復活](PHP)の89頁にこうある。

<昭和21(1946)年から始まった猛烈なインフレは、戦争に負けたから起こったのではない。米軍が日本でぜいたくな暮らしをしていて、その経費を日本が払っていたから起こったのである。アメリカにお金を渡すために、日本銀行はやたらとお金を印刷したから、たちまちインフレになった。
 そのことは当時のアメリカ連邦議会でも問題になっていた。「世界で一番豊かな国の兵隊が、世界で一番貧乏な、焼け野原の住人から金を巻き上げて遊んでいる」という理由でマッカーサーが批判された>

 これを読んで、「へえ!?」と首をかしげた人も多いのではないか。「日本は戦争直後の経済運営が失敗して、猛烈なインフレを招いた」というのが通説だからだ。しかも、それを救ったのが米国の経済顧問団だったと言われる。
 1949年2月にGHQ経済顧問として来日したアメリカのデトロイト銀行頭取ドッジの指導で厳しい財政金融引締政策「ドッジ・プラン」を実施。これにより、インフレが急速に収束したというわけ。

 ドッジ・プランによるインフレ収束は間違いないが、これを読むと、日本はそれほどありがたがる必要はない。なぜなら米軍がさんざん贅沢三昧をしたツケがインフレであり、ドッジはその後始末にやってきたのだから。

 日下氏は大げさに書いているのではないか、といぶかる向きもあるだろう。私も若干、そう思っていた。だが、さにあらず。偶然の発見だが、私がもうすぐ読み終わる「アメリカの鏡・日本」(角川oneテーマ21)でも指摘している。
 
 本書を書いたヘレン・ミアーズ女史は日本の研究者で、1946年にGHQの諮問機関「労働諮問委員会」のメンバーとして来日した。本書は綿密な近現代史の研究をもとに、軍事主義国家といわれた戦争突入に到る日本を擁護する議論を展開している。1948年に出版されたが、GHQ最高司令官マッカーサーが「本書はプロパガンダであり、公共の安全を脅かす」として日本での翻訳出版を禁じた「禁断の書」である。全編、衝撃的な事実と論理が展開され、読み手をつかんで話さない迫力がある。その221ページでこう指摘している。

<戦争は日本経済を決定的に破壊した。賠償金、私たち(GHQ=引用者注)の改革計画に必要な膨大な経費、これに巨額の占領コストが加わって、インフレは急上昇した。……アメリカ式に贅沢な占領は最初の3ヶ月で、1930年の年間軍事費を上回るお金を日本に使わせた。以後、占領コストは急増し、1946年7月1日から9ヶ月間の占領軍経費は45億円にのぼっている。これからみると、世界制服に狂奔していた日本陸海軍が23億3500万円足らずの予算を獲得した1940年は「古きよき時代」だ。1947年8月現在の政府予算は1845億円という天文学的数字にのぼったが、その43パーセント以上が占領軍経費に充てられている>

 戦争に負けると、どれだけみじめな思いをするか。改めて、我々の祖父母、父母の世代の辛苦、屈辱がしのばれる。

 マッカーサーは「日本の犯罪に対する懲罰は長く、厳しいものになるだろう」と語ったそうだ。「米軍が温情的であった」という言い伝えが広がっているのは、米国の情報・宣伝戦略が奏功したためと言っていい。

 ただ、米国は懐が深い。一方で、「世界で一番豊かな国の兵隊が、世界で一番貧乏な、焼け野原の住人から金を巻き上げて遊んでいる」とマッカーサーを批判する議員もいた。

 また、ミアーズ氏のように、公平な視点で冷静に米軍の行動と日本の現状を分析する研究者もいた。

 後始末とはいえ、経済顧問が日本のインフレ退治に動いたことも事実だ。
ただし、これにはソ連の影も大きかったと思われる。攻勢を強める共産国家との冷戦に備え、日本を「反共の砦」にするには、いつまでも日本経済を悲惨な状況にしておくことはできない。そこから日本への本格的な経済支援が始まった。

 ソ連=共産主義の攻勢が、朝鮮戦争の勃発とあいまって、日本の戦後経済を蘇らせた。そんな皮肉な見方もできそうだ。
 





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Last updated  2013.08.24 09:00:55
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