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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.04.20
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カテゴリ:科学
 小保方晴子氏の研究不正騒動の核心は、「STAP細胞の作成を再現できるか否か」である。

 小保方氏は記者会見で「第3者がインディペンデント(独立)に再現した」と明言。でも、「それがだれであるかはこうした公の場では明かせない」と
弁明した。

 さらに、「STAP細胞の作成にはコツがあって、簡単にはできない。いずれその方法も論文としてまとめたい」と述べた。
 
 拙ブログで「それはおかしい」と批判した。「今一番重要なのは再現できるか否かなのに、再現した人間の名を明かせないとはどういうことか」と。

 最近出た週刊誌と月刊誌の記事を参照しつつ、この点をさらに掘り下げたい。

 まず、理化学研究所は今後1年かけて、STAP細胞の作成を再現できるかどうか検証すると発表している。なぜ、そんなに時間がかかるのか。

 理化学研究所がSTAP細胞の成果を大々的に発表した時、小保方氏の上司で共同発表者の一人である同研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長は、「補足解説」と書いた資料で、京都大学の山中伸弥教授が作ったiPS細胞よりも短時間かつ効率的に作成できると強調した。

 <資料には、STAP細胞作成にかかる期間は2日から3日、作成効率は30%と書かれている。一方、iPS細胞は、作成期間が2週間から3週間、作成効率は0・1%。iPS細胞と比較して短期間に効率よく創ることができる、ということを協調した内容だった>(WEDGE5月号)

 でも、iPS細胞の作成データは8年前のもの。現在では7日間で100%作成できることが示されており、山中教授の指摘を受けて、理研も「誤解を招く表現だった」と謝罪している。

 それはともかく、最初は2~3日でできると言っておきながら、今になってSTAP細胞の再現に1年もかけるというのは、当初の発表がいかにいい加減だったかを示している。

 笹井氏はSTAP細胞発表当時、理研のホームページに「STAP細胞の作成は、発生生物学におけるコペルニクス革命のようなものだと言っても過言ではない」と書いた。

 そこまで自信をもって、自分たちの成果を誇るのなら、事前に実験が正しいかどうか、十分に確認してから発表するものだろう。

 <(「コペルニクス革命」とまで言うのなら)「研究成果を発表する前に研究室の責任者などが、別の研究者に同じ条件で実験をやらせて再現できるか何度も確認するのが普通」という声もある。実際、山中氏は何度も実験を繰り返して徹底的にデータをとり、確証を得てからiPS細胞の発表を行ったという>(WEDGE5月号)

 <若い研究者を主導する立場にあった笹井氏が、実験を小保方氏一人に任せきりにして一切同席しなかったのは理解に苦しむ>(同)

 むろん、だからと言って、小保方氏の杜撰な研究の罪が許されるものではない。STAP細胞作成法の公表すら拒んでいるのは理解できない。

 <(小保方氏が「私は200回以上STAP細胞の作成に成功しています」と記者会見で発言した点について、ノーベル化学賞受賞者の根岸英一教授は疑念を呈す。「ならば公衆の面前で実験してみせればいい。私なら現場に出向き、(再現実験ができないという人が)出来るまで何度でも指導します。どんなに複雑な実験であっても、再現できない実験だったら公表することは許されないのです」>(週刊文春4月24日号)

 <(実験内容を秘密にする小保方氏の態度に)宮川剛・藤田保健衛生大学教授が呆れる。「論文作成の基本ルールは、再現に最低限必要な情報をすべて記載することです。当然、(論文掲載誌の)ネイチャーの投稿規定にも明記されています。こんな基本ルールすら知らないとは……>(同)

 しかし、若いころから「天才」と謳われ、数々の輝かしい実績と経験を持つ笹井氏はルールを熟知しているはずだ。ライバルである山中氏にノーベル賞を受賞され焦っていた笹井氏は魔が差したのか――。といった推測は多くの雑誌に書かれている。小保方氏との不適切な男女関係の噂とともに。

 そして、もう1つは私も指摘している野依良治理事長はじめ理研幹部の責任追及である。
 
 野依理事長は小保方氏の論文不正調査を急がせたといわれる。特定国立研究法人の指定を得て、理研の予算を多く獲得しようと思っていたからだ。このため調査は不十分で、小保方氏の「反撃」を食らうことにもなった。

 結果、理研の権威は地に堕ち、法人指定も先送りとなった。

 <「本来、(小保方氏などの)実験ノートの管理は研究機関が行うべきで、京大の山中伸弥教授のチームでは、知財部が定期的にチェックしています。理研はそのあたりを問題としてとらえていない。これは組織の問題ですから、野依さんにも責任はある」(科学ジャーナリストの緑慎也氏)>(週刊新潮4月24日号)

 <榎木英介・近畿大講師もこう断じる。「今後、笹井さんら上司はもちろん、神戸の研究所のトップである竹市雅俊センター長の処分も必須でしょう。これだけ世間を騒がせ、世界において日本の科学の信頼を失墜させた組織のトップとして、野依さんの進退が問われてもおかしくない。……野依さんが自ら引責するなど、処分がなければ、さらに信頼回復の道は険しくなる」>(同)

 信賞必罰なくして、組織は活性化せず、科学も行政も経営も進化しない。


  





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Last updated  2014.04.20 17:14:02
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