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カテゴリ:政治・行政
移民促進論が再び、政府内で高まっている。もともと政府・自民党内には、少子高齢化による人口減少という構造問題の解決策として議論されてきたが、リーマンショックによる不況、失業率の上昇で一時下火になっていた。
景気回復と復興予算、公共投資の拡大に伴い人手不足が広がり、またぞろ移民論が頭をもたげてきた、ということだ。 今、経済財政諮問会議では年20万人の移民を約50年間受け入れようという意見が出ている。、計1000万人と日本の人口の1割近くを移民にすることで、減り行く人口を補い、労働力を保とうという算段だ。以前から自民党内でも1000万人受け入れを主張する勢力があった。 結論から言えば、私は移民の大量受け入れに反対である。優れた外国人の受け入れなら賛成する。技術や経営、文化、芸術、教育、スポーツに長けた外国人の来訪は歓迎したい。だが、1000万人もの単純労働者を大量に受け入れれば、ドイツやフランス、オランダなど欧州で起こっている深刻な社会問題が広がる懸念が大きい。 日本の国益、日本人の繁栄と安定にとって憂慮すべき事態が発生する公算大なのだ。 優れた外国人はこれまでにない技術や事業を日本にもたらし、日本人の雇用を拡大する。知的で刺激的な外国人、熟練労働者との交流、生活は日本社会を活性化するテコにもなる。それでいて、そうした人材はそれほど日本に来ない、せいぜい数十万人程度で、社会問題が起こることは考えられず、日本社会に好影響を与えることの方がはるかに大きい。だから、その受け入れは大いに賛成する。 だが、単純労働者を中心に年20万人もの外国人が来日したらどうなるか。 ドイツやフランス、オランダではすでに人口の7~10%以上を移民が占めており、イスラム系が多数を占めていることから、宗教的民族的対立により内乱に近い問題が起こっている。 日本は今、介護福祉関係の労働者をインドネシアやフィリピンから年間数百人単位で受け入れている。彼らは優れた熟練労働者で、職業倫理の意識も高く、高齢者介護施設で活躍している。 だが、こうした熟練労働者でさえ、十数万人規模に膨れ上がったら、どうなるか。故郷から家族を呼び寄せ、イスラム教など独自の宗教に基づく生活を定着させ、閉鎖的な地域社会を形成することは十分考えられる。 言葉も生活様式も異なる閉鎖社会は今でも中国系、朝鮮・韓国系、あるいはブラジル系などがあちこちで形成している。日本社会と融和せず、犯罪を引き起こしている例も見られる。 ただ、今は人数が少ないので、それほどの問題にはなっていない。日本社会と平和的に交流している例も少なくない。 だが、日本の人口の1割に近づくようになったらそうは行かなくなる。欧州の実例がそれを示している。 下層社会を形成し、その不満から上層にいる日本人に恨みをいだいて犯罪を引き起こすことがふえるだろう。 また、自分達の生活向上のための市民運動も展開するだろう。それは自然な欲求である。日本側も彼らの文化的な生活への向上に応える義務もある。だが、その結果、日本の社会が不安になり、日本人の雇用が悪化する不安も大きい。 まず移民が大量に入ってくると工場や飲食、介護などの下積み労働の多くを移民労働者が担い、彼らがいないと社会、経済が成り立たないという事態が広範囲に起こってしまう。 積極的で生活力の旺盛な移民労働者が、単純労働ならできるという消極的な日本人を職場から追いやり、日本人失業者がふえる危険があるのだ。 以前から大量移民労働者の受け入れに反対してきた西尾幹二氏はこう書いている。 <日本のような民族国家が受ける最大の被害は、社会が移民の受け入れで変質することである。固定した階級のない、移動性の高い柔軟な社会体質が日本の特徴である。外国人の定住化で、下層カーストや「国内国家」型集団が生まれると日本人の側は受け身になり、防衛的になり、日本人社会が知らぬ間に階層化し、保守的に固定化し、自由な流動性を失いはしないだろうか。 <人口減少が進んでいる時期に外国人を入れると、不思議なことに減少を加速する力にこそなれ、増加させる力にはならない。近年フランスは思いきって気前のいい額の助成金で若干の出生率の上昇をみたが、助成金の恩恵を受けているのはもっぱら移民労働者の家庭で、純粋なフランス人の人口は増えていないとも聞く> 「人口が減少し、人手不足でこのままでは経済成長が難しいから、移民に頼る」というのは安易な考え方なのだ。 日本には働けるのに働かず、生活保護を受けていたり、引きこもっている若者はたくさんいる。彼らが働くことに喜びを感ずるようにする教育や職業訓練などをもっと充実させることが先ではないか。 高齢者も元気なうちは少しでも働いて年金などの安易に頼らないことが重要だ。また、ロボットや無人機械の開発を進め、単純労働の一部をロボットに代替し、外国人に依存しなくとも済むようにすることも欠かせない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.05.12 03:50:35
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