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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.11.20
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カテゴリ:政治
 消費増税の延期と解散が決まった。「増税延期は国際社会の日本への信任を低下させ、財政を悪化させる」「大義のない身勝手解散だ」と批判が強い。
 
 私も増税延期、解散には批判的だ。安倍首相は厳しい経済が続いても、ここは増税を断行し、「財政再建を確実にし、後世の負担を軽くするのが現世代の責任。そのために、がんばりましょう」と国民に訴えた方が良かったのではないか。真摯な姿勢が評価され、今後景気が悪化しても支持率を支持できるのではないか、と思っている。

 だが、政局とはそんな簡単なものではないようだ。「このままでは支持率がじりじりと下がって、来年以降、辞任に追いこまれる危険が高い。ならば、今のうちに解散した方が得策だ」というのが官邸の読み。

「政権の継続を確実にする」ことこそ、安倍首相の念頭にあることなのだろう。総理大臣とはそういうものだ。改めて、そう感じたのは週刊文春11月27日号に載ったコラム「飯島勲の激辛インテリジェンス」を読んだときだ。飯島氏はこう書いている。

 <今度の選挙に大義がないとか論争になっているけど、はっきり言わせてもらうぜ。四十三年間の永田町暮らしの経験から見て、間違いなく自民党は現有議席から上積みするよ>

 理由は民主党の準備不足や他の野党の四分五裂、知名度不足。一方、友党である公明党は来年4月の統一地方選との日時を開けたいので、今の時期はもろ手を挙げて賛成する。閣僚の「政治とカネ」にまつわるゴタゴタ、スキャンダルも今のうちに解散ですっきりさせたい。

 というわけで、景気の足元の明るい今選挙せずにいつやるか、といった調子である。

 来年はほかにも原子力発電所再稼働問題や集団的自衛権の行使容認に向けた安全保障法制の国会審議もあり、世論の逆風が見込まれる。米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利解除が早まることによる市場の混乱、中国経済のバブル崩壊、失速リスクもある。


 総理としては「今のうちに」という判断が正しいのかも知れない。少しでも政権維持のためになるように行動する。それが政治、政局というものなのだろう。

 選挙民も、アベノミクスや原発政策、外交などにいろいろ不満、不安はあっても、「少しでも日本の安定、反映に結びつく内閣を」と望む。そう考えると、今は安倍政権より良さそうな内閣は考えづらいだろう。

 大義が乏しく、争点も弱い今回の選挙の投票率は低めだろう。しかし、飯島氏の言うように議席を上積みするほど強気に見れるかかどうかはともかく、政権を離脱しなければならないほど、議席を減らすことはないだろう。


 問題はその先である。安倍首相はアベノミクスを堅調な形に保てるか、逆風に抗して「日本を取り戻す」政治を進められるか。





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Last updated  2014.11.26 06:47:28
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