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今年の日本経済はどうなるか。世界的なデフレ、ギリシャ危機に揺れる欧州、ウクライナ問題、中国の不動産バブル崩壊など日本を取り巻く経済環境は厳しい。
国内に目を転じると、昨年4月の消費増税後の個人消費は実質賃金の低下もあって冷え込み、4-6月期、7-9月期と二4半期連続のマイナス成長。製造業の海外移転・空洞化で大幅な円安なのに輸出は伸びない。アベノミクスの第2の矢である公共事業も人手不足と資材高で息切れしている。 第3の矢の成長戦略も法人税改革、農業など規制改革、行政改革で目立った進展は見られず、湿ったままだ。 と悪材料を書いてきたが、ここで明るい材料を整理しておきたい。 第一は今年の春闘では上場企業の春の賃上げが期待できそうだ。安倍首相の要請ということもあるが、過去最高水準の高収益達成が最大の賃上げ要因であるのは間違いない。 海外移転で製造業の輸出はあまり伸びないものの、海外子会社からの配当収入やノウハウ提供料の円換算額が円安により大幅に拡大している。これも賃上げを促すだろう。 第2に、その製造業も国内回帰のうねりが高まっている。2011年秋の1ドル=75~80円水準に比べ5割前後も円安となれば、この動きも当然だろう。 すでに国内工場を休止し、海外企業に生産を委託した製品の国内回帰が広がっている。自分で海外に工場を新増設したわけではなく、単に生産を委託しただけなので、為替相場の変化に伴ってすぐに国内に戻せるからだ。 続いて本格化しているのが、海外工場を築いたが、円安に伴ってその新増設を抑止し、増産分について、国内の遊休工場再開で対応する形だ。さらに当初予定していた新製品の海外生産を中止し、国内に切り替えるという形態もふえている。 生活雑貨、携帯電話や自動車関係の電子部品、テレビ、冷蔵庫、エアコンなどの家電製品、さらに国内ではほとんど消えかけていたアパレル製品の製造復活も一部で見られる。 円安で日本の賃金や家賃、部品、原材料の相場が相対的に安くなる一方、中国などの賃金も上昇しているからだ。もとより全面的な回帰は考えられず一定以下にとどまろうが、シャープ、TDK、パナソニック、ダイキン工業など大手から中小企業まで様々な企業、業種で見られ、地方の雇用拡大に役立っている。 第3に、外国人の訪日観光客の拡大がある。円安に加え免税拡大、ビザ発給用件緩和が貢献しており、政府観光局によると、2014年の訪日客は1340万人で前年比3割増。10年前の2004年比では2.2倍だ。 台湾から283万人、韓国276万、中国241万人。合計800万人で全体の6割を占める。消費額は2兆600億円。内訳は買い物35% 宿泊30% 飲食20%で、訪日客の消費は名目GDPの0.4%。国内の観光業を加えると、すでに自動車産業を上回るという。 2000年に訪日観光客2000万人という政府目標は射程距離に入っており、小売業やホテル、旅館、飲食業を潤すことは確実だ。 第4に、大幅な原油安がコスト削減という形で経済成長を押し上げる。 政府の実質成長率の見通しは2014年度がマイナス0.5%と5年ぶりのマイナス成長に落ち込むが、2015年度は1.5%成長を見込んでいる。満足行く水準ではないが、以上の好材料を見れば、達成は難しくないだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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