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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2015.06.07
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カテゴリ:政治・経済

今日7日の日本経済新聞1面の企画記事「収益拡大 持続の条件 上」はいろいろと考えさせられた。概略はこうだ。
 
<2015年3月期は実質国内総生産(GDP)の伸びがマイナスにもかかわらず、上場企業の経常利益が7年ぶりに最高を更新した。日本経済は1955年度以降に7回、マイナス成長に陥ったが、その年に企業収益が増えるのは法人企業統計ベースでは前年度が初めてだ。

その原動力は海外事業。人口減少、少子高齢化で国内需要が縮小する中で、海外事業の比率を高め、海外の出資先などからの配当金・受取利息などを増やしてきた。円安の追い風も海外収益をかさ上げした。

しかし、円安だけに頼ってきたわけではない。原価低減を進め、効率的に稼ぐ力をつけた。売上高経常利益率は今期6・7%と連結決算が本格化した2000年代以降で最高になる。>

これを雇用の面で言うと、製造大企業を中心に日本企業は海外に工場を移転し、国内事業を空洞化させた。国内では徹底的なコスト削減も進めたので、製造業を中心に日本人の雇用の場は縮小している。

非製造業も生き残りをかけて合理化に注力し、正社員は中核部門にとどめ、単純作業は非正規社員に委ねる経営を徹底させてきた。

確かに景気回復に伴い、失業率は減少しているが、雇用で主に増えているのは非正規のパートやアルバイトであり、正社員は減少傾向にある。

2009-10年のリーマンショック後に比べると、新卒の雇用は増えて若者の就職状況は改善している。だが、定年退職した高齢者や子育て退社した女性社員はパート、アルバイト、契約社員、派遣社員として再雇用される例が多く、正社員の窓口は構造的に狭くなっている。

若者でも、フリーターやバイトなど非正規型の雇用は小売・外食・サービス業を中心に未だに多い。正社員の場合でもブラック企業スレスレの長時間労働が目立ち、その割に月給やボーナスは大手の製造業やIT、金融機関に比べて少ないという構図だ。

高度成長期でも業種や職場による格差はあった。しかし、全体的に所得水準が少なく、格差は今ほどではなく、しかも明日は今日よりも所得が増えるという希望があった。

今はそれが乏しい。若者でも非正規社員の場合や、正社員でも給与の少ない中小サービス業などでは「所得が少なくて結婚して子供を作る自信がない、このままでは持ち家も持てない」という不安が広がっている。


これを解消するにはどうするか。企業の行動は合理的である。グローバル競争を勝ち抜いて収益を高めるにはコストの安い海外に生産や販売の拠点を移し、国内の正社員は中核メンバーに絞り、残りは非正規社員にして利益率を高めざるをえない。


とすれば、政府や自治体で公的な支援をするしかない。北欧のように、失業手当てを厚くして失業不安をなくすとともに、職業訓練の機会をふやす。ただし失業手たては4年間ぐらい出すが、1年目より2年目、3年目、4年目と減らして行き、極力就業させるようにする工夫は欠かせない。

子供が生まれたら、父親や母親が休職しても生活に困らないような子育て費用を出す。2人目、3人目と多くなるほど子育て補助を増やせば、出生率の改善にもなる。

以上を実施するには消費税を増やさざるをえない。日本の消費税率は今8%だが、北欧では25%と高い。所得税の累進税率や資産課税も高め、富裕層の負担をふやす必要もある。

北欧ほどに高負担、高福祉にするかどうかはともかく、方向として北欧型の福祉経済を進めざるをえないだろう。


ただし、国内においても生産性を高めるには行政改革や規制改革を進め、農業や医療など既得権にあぐらをかいたビジネスの改革を進めることは不可欠だ。それは税金のムダ遣いを減らすことにつながる。北欧でも市場競争は徹底している。だから、スウェーデンの衣料品チェーンH&Mのような国際企業が生まれるのだ。





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Last updated  2015.06.07 17:17:31
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