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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2015.07.01
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カテゴリ:政治
評論家の加瀬英明氏が「日本国憲法の精神だけで国を守れるのか」と題し、日本の敗色濃厚となった第2次大戦末期の「高松宮日記」を紹介している。

「如何ニシテ戦ニ勝ツカ 精神力ヲ以テ物量ヲ圧倒スト云フ 無形ノ精神力デ例ヘバ敵ノ戦車ヲ破壊シ得ルカ 今ノ戦況ハ押シマクラレテヰルデハナイカ今後如何ナル精神力ガ蔵サレテヰルカ 精神力ヲ物ノ如ク扱フ考ヘ方デハ納得出来ヌ 信念デ現実ノ力ニ対抗出来ルモノナラバ 兵器ハイラヌ筈デアラウ」

大和魂があれば、米国の物量に負けないと言っている軍部を批判しているのである。これは今の憲法9条で平和が保てるというのと同じではないか、と加瀬氏は指摘する。

一方は精神力で勝てると言い、他方は「憲法9条の精神さえあれば、戦争に巻き込まれず平和が保てる、侵略されない」と言っている。一見違うようだが、確かに「信念デ現実ノ力(中国の軍事力など)ニ対抗出来ル」と言っている点では同じである。

他国の軍事力の増強ぶりなど現実の国際情勢を冷静に判断できず、精神論だけで議論するのは日本人の特性か。

さすがに、自衛隊を全否定する非現実的な9条論者は減ったが、憲法が認めるのは個別的自衛権までで集団的自衛権はダメだというのが昨今のリベラル左派の特徴だ。

だが、この中途半端は自衛隊を全否定できない「後ろめたさ」から来る自己欺瞞以外の何者でもない。自衛権に個別的と集団的の区別があろうはずがない。

自分ひとりで守れれば個別的だが、それでは無理な場面がありうる。敵国が強大な武力を持っていては、対抗できない。その時は同じ志、利害関係と持つ仲間を募って軍事同盟を結び、共通の敵に当る。これが国連憲章51条に書かれた自衛権で、個別的も集団的も両方、認めている。

問題は防衛的であるか、攻撃的、侵略的であるか、の違いだ。攻撃的、侵略的であってはならない。過剰防衛も慎む必要がある。

つまり線引きするのは適切な自衛か過剰防衛かであり、個別的か集団的かではない。安倍政権の「切れ目のない対応」とは個別的、集団的で分けずに、適切な防衛ができるかどうかで区分けしたいからだ。一国の運命を担った国家の最高責任者なら、当然の判断だ。

米国がアジアで圧倒的な武力を持っていた冷戦期はともかく、中国の軍事力の増強が著しい今、これまでの内閣法制局の「集団的自衛権は行使不可」の考え方では非現実的で対応できない。そう考え、行使容認の方向に舵を切ったのである。

だが、過剰防衛か否かの判断は容易ではない。それこそ内閣の判断力が問われる。自衛隊員が死傷するリスクが高まることもありうる。そこを国民に丁寧に説明するのに難しく、安倍内閣も今、悪戦苦闘している。

しかし、国難にどう対処するかはつねに難しい判断を要する。朝鮮戦争時、ベトナム戦争時や湾岸戦争時の米大統領、フォークランド紛争時のサッチャー英首相。いずれも戦うべきでないか、どこまで戦うか、どこで撤退すべきか、と悩んだに違いない。そして、100点満点の評価はありえない。当時の世論も、歴史の評価も。意見は分かれる。

それでも政治のリーダーは決断を下さなければならない。国民はその時、最適と思われる政治家に政権を委ね、その判断に待つしかない。判断が間違っていれば、選挙によってリーダーを替えるだけのことである。

話を元へ戻すと、精神力だけで国の防衛ができないこと、安全保障が得られないことだけは確かであり、物理的な軍事力を整備し、適切にそれを活用するしかない。適切かどうかの線引きをするのは時の政権であり、憲法で画一的に決めることはできない。








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Last updated  2015.07.03 10:38:08
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