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鎌倉橋残日録 ~井本省吾のOB記者日誌~

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外交

2016.04.10
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カテゴリ:外交
約10年前の2006年7月に発刊された「大地の咆哮」(PHP)という中国観察記と対中外交論がある。著者の杉本信行氏は、いわゆる「チャイナスクール」の外交官だ。


杉本氏は2006年、末期癌で57歳で病死。本書はその覚悟のもとに書かれている。それだけに中国の反応を気にせずに書かれた内容は率直で、チャイナスクールとは思えないほど相手の問題点についての洞察は深い。幹部の汚職と腐敗、深刻な水不足問題、搾取される農民、反日運動の背景、靖国神社参拝問題の政治的背景、格差拡大など、深刻な問題の真実をえぐっている。

私は史実を捏造、歪曲し、世界に宣伝する中国や韓国に対抗するために外務省が全力を上げて取り組むべきだと、当ブログで繰り返し提唱してきた。それをやらずに沈黙を通してきた外交官を無為無策、面倒な仕事をやりたがらず怠慢だと厳しく批判してきた。

だが、実際には一生懸命やっているまじめな外交官も少なくない。杉本氏はそうした良心的外交官の典型だろう。氏は日本のODAが十分に生かされるよう、日本のODAを活用した地方の農村で小学校建設などに注力してきた。それが長期的に日中友好に役立つと信じてのことだ。

ここにこそ良心的外交官の限界がある。杉本氏は中国の腐敗、汚職、非民主的な地方での経済運営と、それによる人民の貧しさ、苦闘を見聞きし、肌身で感じている。一党独裁のこの国で、格差拡大、腐敗・汚職を廃絶することなど容易ではないこともわかっている。

中国政府の幹部が国のためでなく、私利私欲、自己保身のために備えていることを、杉本氏は良く知っている。

<(幹部の)子弟たちの多くは海外留学に出ているが、将来、中国人民共和国のために働くというより、共産党の支配体制が崩れた場合に備えているといったほうが正しいのではないだろうか。海外留学生たちの多くが中国に帰らず、そのまま留学先にとどまり、そこでの永住権を得る例が多いことがそれを物語っているともいえる>

これだけ、実態を正確に把握しながら、杉本氏は中国と距離を置こうとしない。

<中国は日本にとって、時としてやっかいな隣国である。しかし、だからといって日本は引っ越すわけにはいかない。中国が日本にとって好ましい存在になるように全力を尽くすのが外交の要諦だと考える。少なくとも中国の失敗のつけが日本に回ってこないよう賢明に立ち回ることが大事だ>

日中友好第一なのである。この考え方こそが、日本の外務省の間違いであり、日本の国益を害してきたといえる。

杉本氏の元同僚で、元外交官の岡本行夫氏は本書を激賞する解説を寄せている。その最後の方にこんなエピソードがある。

<二年前、病気が発覚する直前に、杉本氏と共に、彼が研修した瀋陽の遼寧大学を尋ねた。暮れなずむ大学のグラウンドを見ながら、彼は「日中は必ず理解しあえます」と静かに、しかも自信をもって断言した>

なんとも甘い! 杉本氏も、美しい描写で杉本氏を評価する岡本氏もそうい言わざるをえない。

「人間同士には友情があるが、国家間には友情はない。あるのは共通の利益だけだ」。こう言ったのは2013年2月から2014昨年11月までオバマ政権の国防長官を努めたチャック・ヘーゲル氏である。

また、「スピーク・ソフトリィ ウィズ ビッグ スティック(棍棒片手に優しく語りかける微笑外交)」が外交の要諦なのだ、とも昔から言われる。
こうした冷徹な認識こそ欧米での国家関係、外交の常識なのだ。

ところが、日本外交は友好第一。対象国と溝が生じるのはいけない、と考えてしまう。だから、相手に舐められるのだ。「日本は第2次大戦で謝罪していない」『賠償も不十分だ」などと言われると、多額のODAを出したり、支援金を支払う。

中国には過去数十年で何兆円ものカネをばら撒いてきた。国富の流出である。だが、外務省はそれが良かれと思っている。支払うのは国民の税金であり、自分のカネでないから平気なのだ。

「良心的外交官」ながら、彼らは国富をドブに棄ていているようなものである。日中国交正常化以来、何兆円も中国に振り向けながら、対中関係は少しも良くならないどころか、軍事的緊張が高まっている。日本の巨額の援助金が日本を圧迫する中国の軍事費に化けている事を彼らはわかっていない。

友好第一に弱い日本の外交を見抜いて「友好」を殺し文句に、日本をさんざん利用してきたのが中国だろう。「日中友好」という錦の御旗を掲げれば、日本は譲歩し、中国の主張を飲むと思って政略、戦略として活用してきた。

「歴史を鑑に」「歴史を直視せよ」というのも、日本が「過去の侵略、犯罪」に弱いと思っているからだ。何度でも使えると思っている古証文。韓国が「慰安婦問題」を繰り返し持ち出すのも同じである。


「日本の犯罪」を口にすれば、いくらでもカネを出すことを知っているのだ。日本がそれに援助金で答えても少しも感謝しない。「日中は必ず理解しあえます」などと、青臭いことを良く言えたものだ。

2004年春、上海総領事館員が中国公安部より強迫され、「このままでは国を売らない限り出国できなくなる」との遺書を残し、自殺に追い込まれる事件があったが、その際の上司で上海総領事が杉本氏だ。厳しく言うだが、そうした中国の酷薄な手口を理解しているとは思えないのだ。

「近隣国家で、お互い引越しできない。だから仲良く」も良く言われる事だが、「だからどうした」と言いたい。近隣国家だろうと、淡々と付き合うことはできる。相手が武器を出して来ることに備えて「棍棒片手」で臨みながら、それでいて常に「やさしく語りかける微笑外交」が平和維持のために大事なのだ。それが大人の常識なのである。

日本の外交官には、この自覚が乏しいのである。






Last updated  2016.04.13 18:53:54
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2016.04.07
カテゴリ:外交
簡単に態度を変える韓国が「恥を知らない」外交なら、歴史改ざんを恥とは思わず、自分たちの権力基盤の拡大になるのなら、ウソ、捏造、何でも押し通すのが中国である。

その姿勢は徹底しており、史実は小さなものから大きなものまで、これでもかこれでもかと捏造に注力する。

雑誌「WiLL」4月号の九段靖之介氏のコラム「永田町コンフィデンシャル」に、次の記述がある。

<中国には「上海ユダヤ人難民記念館」があって、(リトアニア駐在の外交官として多数のユダヤ人を救った)杉原(千畝)を「日本のシンドラー」として紹介するコーナーもあった。ところが、昨年9月、「「抗日戦争勝利記念日」を機に、杉原に関する展示は大半が撤去された。代わりに、日本が上海がの日本人居留地に設置した「無国籍難民隔離区」において、「日本軍がユダヤ難民に残虐行為をおこなった」とする展示内容にした>

実際は、1942年にドイツがユダヤ難民の虐殺を迫ってきた際、日本軍がこれを拒否、その翌年、同「隔離区」を設けて、ユダヤ難民をここに保護したのだ。ところが、中国は日本を貶めるだけでなく、何鳳山という人物を「中国のシンドラー」と称して宣伝しているというのだ。

日本を貶め、ユダヤ人救助という手柄を自分たちのものにしようと歴史を改ざん、捏造する中国の図々しさとふてぶてしさ。そうした情報宣伝外交がここ数年、目に余るようになった。

ここは外務省が徹底的に史実を調べ、中国の歴史改ざんを叩くべきだ。いまや史実を世界に伝え、中国が夥しい捏造をやっていることを伝えることが、重要な外交だからである。

中国ははるか昔から、その重要性を知っていて、あらゆる手段を駆使し、ウソと誇張、歪曲によって自らの「正当性」を世界に宣伝してきた。それを本当の史実によって反駁し、壊滅させる。今や歴史情報の広報宣伝戦が外交の重要なな戦術となっていることに、外務省は気付かねばならない。

<まずは「隔離区」を設けた日本人居留地の生き残りや家族を探せ。何鳳山なる人物がユダヤ人に何枚のビザを書いたか、何人が国境を越えたか、ウィーンで取材せよ。例によって愚図愚図していると、南京、慰安婦の二の舞になる。国費を頂戴する身なら、少しは国のために働け>

九段氏は外務省の体たらくに苦吟し、焦慮を覚えている。それほど、彼ら外交官は面倒なドブ板仕事をいやがるからだ。

日本の外務省の弱点、欠陥がそこに集約される。






Last updated  2016.04.07 17:53:01
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2015.12.29
カテゴリ:外交
日本と韓国が協議していた「従軍慰安婦」問題が(一応)決着した。決着へと導いた原動力はいくつかある。最大なのは、米国の強い意向だ。中国の軍事力が拡大し、GDPも世界第2となる中で、韓国の中国傾斜が強まり、東アジアでの米国の安全保障、自由主義陣営の結束が危うくなっている。北朝鮮の脅威も高まっている。

米国としてはなんとしても韓国を自陣につなぎとめ、中国や北朝鮮との対抗力を強めたい。それには日韓の離反、反目を解消させ、関係改善を進めねばならない。歴史的に中国、ロシア、日本と、その時々で力のある国家になびくコウモリ外交を展開してきた韓国を自陣につなぎとめることが米国にとって不可欠と見ているのだ。

その際、つなぎとめるコストは最小限にしたい。はっきり言えば、日本に韓国の面倒を見させたい。自分は極力、韓国から手を引いて、在韓米軍も早々に撤退したい。

しかし、慰安婦問題などで日韓がぎくしゃくして、それがうまく行かない。昨年までは日本は「お詫び」でも「償い金」でも支払って、何でも譲歩して韓国と関係を改善せよ、と日本側にほぼ一方的な譲歩を要求していた。

米国にとっては、日本の名誉や過去の日韓国交正常化時の「完全かつ最終的に決着した」事情など基本的にはどうでもいいことなのだ。

ところが、日本側の説明を聞くうちに、外交条約上、日本の言い分に十分な理屈があることがわかってきた。しかも、韓国は米中双方から「こちら側の陣営に加われ」という要求を突きつけられ、その板ばさみに困っていた。

そこで韓国は米国の要求を受けられないのを日本のせいにした。「日本が慰安婦問題で誠意ある態度を示さないので、日米間の安全保障の枠組みに入っていけなのだ」と。例えば、北朝鮮情勢をめぐる情報共有を密にするための日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に踏み切れないのも、日本が非誠実だからだ、と。 

実際には、中国から「日米との関係を断ち切り、中国側に付け」と要請されて、困っているからなのだった。

米国はある時期から、その辺の事情を読みきり、いつまでも慰安婦問題にこだわる韓国に「いい加減にせよ」と最後通告をした。

一方で、中国の脅威が高まったことから、日本は集団的自衛権の行使容認に踏み切り、日米関係が急速に緊密化した。

また、中国は経済の失速と環境汚染の悪化から、日本との関係改善に舵を切ってきた。結果として、気が付くと、韓国が孤立化していた。

おまけに、ウォン高と、最大の貿易相手国である中国経済の悪化が加わって、韓国経済も厳しさを増している。90年代、2000代と韓国に金融危機が発生した際日本は韓国を金融支援した。だが、それを「日本は冷たかった」「十分支援してくれなかった」として、恩を仇で返してきた。今年2月には「もはや金融支援はいらない」とばかり日韓通貨交換協定を打ち切った。

だが、韓国経済の悪化を懸念する韓国の財界人は「イザという時また通貨スワップを実施してほしい」というのがホンネだ。韓国政府も「恩を仇で返した」過去をコロッと忘れ(忘れたふりをして)日本に協定の再締結を求めそうな雰囲気になっている。

要するに、またしても、日本は韓国に譲歩して「慰安婦」問題の妥結を余儀なくされた、というのが実情なのだ。重ねて言えば、その最大の背景は米国の「韓国と仲良くしろ」という要求にある。

日本は今のところ、この要求を呑まざるをえない状況にある。なぜか。日本の国防力が脆弱で、米国の軍事支援に頼らざるをえないからだ。したがって、現状では今回の合意は日本にとってやむを得ない、一定程度妥当な決着というべきだろう。

だが、そうした中でも日本の主張を貫ける余地はある。例えば、韓国との通貨交換協定は最大限、日本側の要求を受けれさせる形で実施することだ。「恩を仇で返すような事を言ったら、即廃止する」という具合に。

長期的には韓国なしの日米同盟だけで、東アジアの安全保障を保てるように日本の軍事力を増強する。それを米国に認めさせ、アジアで最も頼りになるのは日本であることを米国に示す。すでに、そういう条件が整いつつある。

日本は、コウモリのような外交行動をとり、約束をすぐ破り、また言論の自由や民主主義に難のある韓国はそろそろ見限った方が良い。

今回の日韓合意では「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認」『慰安婦少女像の扱いは、韓国政府が関連団体との協議を通じ解決に努力する」となっている。だが、おそらく過去もそうだったように、韓国政府は簡単に手のひらを返してくる懸念が強い。冒頭で「慰安婦問題」が(一応)決着した、と「一応」をカッコ書きしたのも、そのためだ。

いろいろ屁理屈をこね回し、「日本に誠意がないから、最終決着できない」とか「少女像は関連団体との協議がなかなかつかない」とか言ってくる公算大である。

こうした韓国には極力関係を持たず、相手を見限ることが肝腎なのだ。学者やメディアの世界では「一衣帯水の韓国とは関係を断てない。日本は引越しできない。仲良くするしかない」という声が多い。

だが、関係を最小限のものにとどめて、日本に困ることがあるだろうか。過去の歴史を考えれば、日本は韓国との関係を深めて大いに迷惑を被った方が多い。

日本は韓国との関係を薄くしても経済的、安全保障面で何の支障もない。こちらが手を切れば、向こうからすり寄って来ると考えて間違いない。福澤諭吉が「悪友(中国と韓国)との関係を謝絶せよ」と脱亜論を唱えた卓見に従うべきである。

最近では筑波大学大学院の古田博司教授が「韓国を助けるな、教えるな、関わるな」という「非韓三原則」を唱えているが、賢明というべきだろう。


日本は、中国や韓国、北朝鮮は悪友なのだと、米国に粘り強く説得する必要もある。重ねて言えば、中国や韓国に嫌気が差しつつある米国政府は、日本のそういう説得を受け入れる用意が整いつつある。








Last updated  2015.12.29 16:55:42
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2015.06.20
カテゴリ:外交
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は11日の米紙インタビューで「(慰安婦問題の日韓協議で)相当な進展があった」と述べた。

18日の日本経済新聞が、その言葉の裏について概要を書いている。


日韓協議で、韓国は日本は「安倍晋三首相による元慰安婦への謝罪や責任への言及を含む声明」と「元慰安婦への財政支援」を求めている。

これに対し、日本政府は「ソウルの日本大使館前や米国にある慰安婦像の撤去」や「米国など海外での慰安婦をテーマにした市民団体の反日キャンペーンへの後押しの停止」を求めている。また、慰安婦問題は今回の朴政権で最終解決し、以後は一切、蒸し返さないと保証することを要請している。


韓国政府が最も重視しているのは、慰安婦問題について、日本政府が国家としての責任を認め、慰安婦に財政支援するること。安倍首相が慰安婦問題については日本の責任を認める発言をすることが特に大事だ、という。

要するに韓国政府は「朴政権が国民に対して面子が立つようにすれば、慰安婦像も撤去するし、二度とこの問題を蒸し返さないから」と言っているようだ。

これって、いつか来た道ではないか。日本は相手の求めに応じ、何度も謝罪した。1992年、宮沢首相が訪韓し謝罪。93年、細川首相が訪韓し、謝罪。98年には小渕恵三首相と金大中大統領が日韓共同宣言を出し、小渕首相は過去の歴史について反省とお詫びを述べた。これに対し金大中大統領は「謝罪は一度でいい」と述べて、二度と過去の問題を蒸し返さないと述べた。

李明博大統領も当初は「未来志向で」と言っていたのに、謝罪を要求し、竹島に上陸する有様。

今回も同じだ。韓国はウォン高などで経済状況が悪化、日中会談成立や米議会での安倍首相演説の成功などで外交的にも孤立化しつつある。おまけにセウォ号沈没にMERS(中東呼吸器症候群)の発生とその対応不備で、朴大統領の支持率は急落している。

「何とかして!」と日本に泣きつきたい状況なのだ。

「慰安婦問題に誠意ある対応をしない限り日本の首相とは会わない」と突っぱねてきたのに、このところ「政治と経済は別」と政経分離路線を取りだしてきたのも、経済や環境・社会問題などで日本の資金や技術、ノウハウを借りたいということが大きい。外交的孤立を避ける狙いもある。

つまり、日本は別に焦る必要はないのだ。困っているのはアチラであり、こちらではない。韓国は元慰安婦の個人請求権がなお残っているとして日本の法的責任を明確にすべきだとしてきたが、日本は1965年の日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」との立場で、法的責任を否定している。

この路線を堅持すべきなのだ。日経によると、韓国政府関係者は「慰安婦への財政支援について日本の政府予算を使ってくれれば『日本政府が国家の責任を事実上認めカネを出した』と韓国国内に説明できる」とか、安倍首相が首相声明で「実質的に日本が責任を認めたと受けとれる表現をしてくれればいい」などと、虫の良いことを言っているようだ。

日本の政治家や官僚はここまで来ると、「少しは認めてやってもいいのでは……」と安倍首相周辺に言い出すだろう。ここ数日の首相の日誌を新聞で見ると、その影がちらついている模様だ。

例えば19日午前、森元首相と河村建夫衆院議員が官邸を訪れ、安倍首相に会っている。河村議員は日韓議員連盟の幹事長である。

むろん日韓の交流を円滑に進めることは必要だろう。だが、外交の原則を曲げれば、禍根を残す。実際、その歴史だった。二度と過去を蒸し返さないと言いつつ繰り返す。一度決着した日韓条約さえひっくり返そうとしている。国際常識が通用しない国だ。

韓国は自国の調子が良いときは日本に居丈高になり、厳しい状況になると日本に甘え、たかってくる。「こちらが下手に出れば日本は必ず譲歩してくる」と舐めているのだ。

そういう態度を助長してきたのは日韓議員連盟をはじめとする日本の政治家であり、それと癒着して来た外務省関係者、経済人だ。

この負の歴史こそ、今断たねばならない。相手の要求は呑まず、一方、慰安婦像の撤去、反日活動への関与停止は求めていく。そのくらいでちょうどいい。そうした突き放した姿勢が、韓国との関係を成熟した先進国の常識を伴ったものに変えて行くと期待したい。

日韓経済関係の悪化懸念? そんなことは起こらない。それは、これだけ外交関係が冷却していた過去2,3年でも多大な貿易交流や共同事業が続いていることが証明している。

韓国経済は日本なしではやっていけないのだ。もとより日本も関係企業との関係を必要としている。夜郎自大になってはいけない。だから、お互い必要とする関係だけをクールに続けていけばいいのである。

韓国は「日本に譲歩するように言ってくれ」と米国に泣きついてくるだろうが、「日韓条約を覆すなど、外交の原則ははずせない」と、外交常識をきちんと説明し、日本の立場を強調することが肝心だ。

油断すれば、韓国は何度も日本にとりつき、日本から利益を得ようとする。過去の経過を考えれば、用心するにしくはない。






Last updated  2015.06.22 15:58:01
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2015.06.09
カテゴリ:外交
安倍晋三首相の外交力は歴代の総理大臣の中でも最高水準にあるのではないだろうか(少なくとも今のところ)。

4月の米議会での演説をはじめ、安倍首相の外交の多くは成功している。今回の主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも、ウクライナ危機についてロシアを批判しつつ、「対立は対話をやめる理由にならない。プーチン大統領との対話は続けていく」と意欲を示し、仏独伊の首脳から「対話そのものはいいだろう」と「お墨付き」を得た。

米国のオバマ大統領も、日本がウクライナ問題でロシアに課している制裁の解除をしたり、大規模な経済協力をしたりすることには反対で、対話にも警戒しているが、強く反対してはいない。安倍首相がオバマ大統領に働きかけ、そう了承を得たようだ。

安倍首相はG7に先立って、ウクライナを訪問、ポロシェンコ大統領との会談で親ロシア派武装組織との停戦合意が守られていないことに触れ「大変遺憾だ。力による現状変更を決して認めない」とロシアをけん制している。

この発言が心憎いのは、ポロシェンコ氏から「ウクライナと日本には共通の隣国がある。ウクライナとの間ではクリミア半島併合の問題があり、日本には北方領土問題が生じている」という言葉を引き出したことだ。

安倍首相はG7でポロシェンコ発言を紹介しながら、日本は対ロシアでウクライナと連携しつつ、北方領土問題ではロシアとの対話が必要なのだと各国首脳に伝えることができた。

同時に「力による現状の変更を認めない」原則を、岩礁の埋め立てを強引に進める中国の南シナ海での行動にも当てはめ、「中国の行動に反対する」というG7首脳の一致した認識を引き出すことに成功している。

日ロ平和条約交渉は日本にとって北方領土を取り戻す不可欠の課題だが、ロシアにとっては極東開発を進めるために日本の経済・技術力を活用する重要なテーマである。

日本にとって、ロシアとの関係改善は中ロの接近を防ぎ、日本の安全保障力を高めるテコともなる。

ロシアがすんなりと北方領土を返還するとは考えられず、加えて対ロ交渉は対米関係、対中関係、そしてウクライナ問題をにらみながら進めねばならず、その複雑な連立方程式を解くのは容易ではない。

これからも難題を突きつけながら、狭い難路を歩む苦労が待っていよう。失敗して足を滑らす危険と隣り合わせの行脚である。

外交交渉は国益のぶつかり合い。少しでも有利に事を運ぼうと虚虚実実の駆け引きを伴う。ロシアとの交渉では日本は何度も苦渋を味わってきた。

ただ、原油価格の下落と経済制裁でロシア経済が疲弊する中で、ロシアは日本の力を借りたいという状況にある。加えて安倍―プーチンの関係は「ウラジーミル」「シンゾウ」とファーストネームで呼び合う信頼関係を築いている。昨年11月20日付けの日本経済新聞は両首脳の関係をドキュメントタッチで、次のように描いている。

<「もちろんだ」。11月9日深夜、北京の釣魚台迎賓館の会議室で開いた日ロ首脳会談がいったんお開きになった後、近づいてきた首相の安倍晋三(60)から急きょ一対一の会談を打診されたロシア大統領のプーチン(62)は快諾した。日ロ双方の高官が退く中、最後まで席を立つまいと粘った外相のラブロフ(64)にプーチンは厳しく言い放った。「私のシンゾウが二人きりで話したいと言っているんだ。おまえも外せ」
 2人は約10分間、部屋の隅で通訳だけを介して「相当突っ込んだ話し合いをした」(日ロ外交筋)。その後、部屋の外で待つ側近らの前にそろって姿を現し、満面の笑みを浮かべた。安倍はその後の記者会見で「来年のベストなタイミングで準備を進めていく」とプーチンの訪日に前向きな考えを表明した>

重ねて言えば、外交に友情は存在しない。国益を巡る駆け引きが主体だ。だが、それでも首脳同士のウマが合うかどうかは、会談を有意義に進展させる大きなカギとなる。

どう実行して行くか。安部首相の知恵と戦略と行動力に期待したい。







Last updated  2015.06.09 17:03:39
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2015.05.09
カテゴリ:外交
戦略的互恵関係」は、第一次安倍政権時代に安倍首相が中国の胡錦濤国家主席との会談で主張し、合意に達した外交用語だ。「双方の違い」を認め合い、その上でお互い共通利益を追求しようという考えが基本にある。

だが、別に対中国に限らない、外交とはもともと少しでも自国に有利になるよう虚虚実実の駆け引きを繰り返す行為であり、その中からギリギリの妥協点を探り、お互いの共通利益を追求する活動にほかならない。

以前、このブログで取り上げたように、国家同士に友情はない。あるのは国益の追求とそれに基づく双方の合意のみであり、冷静で乾いた関係である。

その点で見ると、現在の日本と米国は共通利益が拡大し、相互の協力を深める必要が高まっている時期にあると見られる。

国際情勢は今、中東、ウクライナ、そして東アジアで不穏な動きが拡大しているが、米国は軍事予算を削減し、国民の意識は内向きになりつつある。もはや米国には「世界の警察官」として一国でそれらを解決する意思も力も失せつつある。

だから、政治、経済体制の良く似た民主国家と連携し、一緒に国際秩序を守って行きたいと考えている。中国や北朝鮮との緊張が高まる中で、アジアで最大の味方と言えば、日本をおいてほかにない。

もちろん米国は韓国も大事だと考えており、日韓関係は良好であってほしい。だから、国務省などを中心に日本は「慰安婦問題」で日本に謝罪を要求し続ける韓国の要求を聞き、関係を改善すべきだと、事あるごとに日本に圧力をかけてきた。

しかし、韓国の反日発言は歴史的事実に基づかない誇張と捏造が含まれていることに、最近気付きだした。また、日本は過去、何度も謝罪してきたことも理解し始めた。

それなのに、しつこく反日行動をとる一方、中国になびきつつある様子に、韓国はおかしいと思い出した。駐韓米大使襲撃事件以降、それは決定的になり、韓国と距離を置きだしている。

その分、日本との関係を大事にし出した。安倍首相が米議会で日米関係の重要性を再確認する演説をしたことなどが、これに拍車をかけた。

第2次安倍政権誕生時のオバマ政権の冷たい態度と比べると、わずか2年余で様変わりの感がある。

当時は安倍首相が訪米しても短時間の応対しかせず、晩餐会などなかった。昨年4月のオバマ大統領の来日もしぶしぶという感じで、ミシェル夫人も同伴せず、慣例となっている迎賓館にも宿泊しなかった。

当時のオバマ政権は中国や韓国の方を重視していた感がある。しかし、その後の中国の、東シナ海、南シナ海でのあからさまな浸出、それについていく韓国の事大主義に中韓との関係が冷却化した。そしてロシアのウクライナ問題などもあって、日本への接近を強めたわけだ。

時代の風が日米同盟を強めたのであり、安倍政権は運がいいとも言える。
だが、それだけ米国が日本への要求を強めているとも言えるわけで、集団的自衛権、TPPなどでかなりの負担、責任を求められることは確実である。

リベラル系の平和論者はそれを、日本が米国に従属する形で危険な道に入ることだとして批判しよう。「米国の戦争に巻き込まれる」「日本の富を奪われる」といった昔からの属国論である。

だが、米国との関係がより対等になる中で、日本の安全保障を維持しながら、日本の相対的独立の道が開かれる機会だと、前向きに捉えることもできよう。安倍首相に言わせれば、「戦後レジームからの脱却」である。

むろん対米関係の緊密化に喜んでいるとすれば甘いだろう。わずか2年で米国の態度が様変わりになったように、また何かのきっかけで日米関係が冷却化することは十分にありうる。中国や韓国はそうなるように、様々なくさびを打ち込んで来るに違いない。

国家関係に「友情の演出」はあっても(安部首相の米議会での演説はその典型だ)、友情はないのである。利害関係の調整による摩擦緩和と、共通利益--戦略的互恵関係の追求があるのみである。

だから、冷却化したら(しそうになったら)、それを改善するように努力するだけの話だ。言うまでもなく日本にとって、米国との関係が特に大事だから。米国にとっても日本が大事だと思わせるだけの体制を築くことが肝要である。

安倍首相は戦後の日本の宰相の中で、そのことを熟知している数少ないリーダーではないだろうか。






Last updated  2015.05.10 02:29:16
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2015.05.06
カテゴリ:外交
5日付けの日本経済新聞に、興味深い記事が載った。

<韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は4日、青瓦台(大統領府)の首席秘書官会議で、歴史問題で日本政府を引き続き追及するとしながらも「我々の外交は歴史問題に埋没せず、別の次元の目標と方向を持って進めている。目標達成のために努力してほしい」と指示した>

これは大きな変化だろう。朴政権はこれまでは「歴史問題で日本が誠意ある態度を示さなければ、首脳会談はおろか日本との政治交流はできない」と突っぱねてきた。

「反日」が常態の韓国では、日本に強い態度を示さなければ政権維持が困難になるからだ。しかし、いくら強硬姿勢をしても「賠償問題などは日韓基本条約で解決済み」という態度を崩さない安倍政権には通じないということがわかったのだ。「ぬかに釘」「のれんに腕押し」だと。

政治外交、経済面で韓国が強く、日本が弱ければ、日韓関係が冷却したままでも構わない。だが、韓国の政治外交、経済基盤は劣化の道をたどっており、そんな余裕はなくなっている。

日本との関係を改善しなければやっていけなくなりつつある。ウォン高で貿易収支が悪化し、国内経済も厳しく、若者の失業が広がっている。最大の輸出先として頼みにしている中国経済も不動産バブルの崩壊が迫り、成長率が鈍化、先行き不安が増している。

外交面でも、4月22日にインドネシアで日中首脳会談が開かれ、日中両首脳は「両国関係改善に向け対話・交流を進める」ことで一致した。安倍首相はその後訪米し、米国との関係を強化、米議会演説では「慰安婦問題での謝罪」などはしなかったのに、「日米同盟を希望の同盟にしていきたい」と発言、多くの米議員に歓迎された。

中国、米国との関係を強める日本に対し、日本を批判してきた韓国は外交的に孤立する懸念が高まっている。これまで日本批判を続けていた韓国メディアも対日関係を改善すべきだという方向に動き出している。

そこで、朴大統領は「従軍慰安婦問題」と切り離す形で、経済や安全保障などの分野では対日協力関係を強める意向を示したのだろう。

上記の首席秘書官会議で、朴大統領が「日本が歴史を直視できないとしても、我々が解決できる問題ではない」とも語ったことがそれを如実に示している。いくら強硬姿勢を示してものれんに腕押し、安倍政権には「お手上げ」という格好である。

中国も同様だ。習近平政権はこれまで、世界中で「日本は歴史を直視しない」と批判を繰り返してきた。だが今や、インドネシアでの首脳会談を実現し、関係改善に動き出した。

理不尽な要求に応じない一方で「対話のドアはいつでも開いている」と中韓に呼びかけ続けた安倍首相の勝利と言えよう。

6日付けの日経1面を見ると、「中国の自動車工場は2500万台分過剰、稼働率5割、値引き競争が広がる」という記事が出ている。

不動産バブルの崩壊が始まり、それが製造業の生産萎縮につながり、中国経済は本格的な後退期に入る予感がある。大気汚染、水質汚染も深刻化しつつある。

中国がアジアインフラ銀行(AIIB)を設立に動いているのも、過剰になった生産力のはけ口をアジア、中東に求めているとの見方がある。欧州やアジア各国が参加し、日本は米国とともにAIIBという新しい国際金融の枠組みから取り残されつつある、などという批判が出ているが、中国の金融面での国際的影響力はそんなに大きいのだろうか。

日中友好議員連盟の高村正彦会長(自民党副総裁)は5日、北京で中国共産党序列3位の張徳江・全国人民代表大会委員長と会談したが、張氏はAIIBについて「日本にも協力してほしい」と要請している。

中国はAIIBの信用力強化のため、日本が必要なのだ、と考える方が自然ではないか。

これまで日本や米国のメディアや識者、政治家の間では中韓と対立する安倍首相を「歴史修正主義者」「危険な国際的孤立を招く」と批判する声が多かった。中韓はそれを利用する形で、日本を批判し、日本の外交的立場を貶めようと画策してきた。

だが、外交は駆け引きである。国際法の遵守、礼儀と正義を重んずる行動から見て、日本の方が正しいということを示していけば、良識ある国々は納得する。安倍首相は様々な国際会議や各国訪問の中で、それを実践し、各国の賛同を得た。そして、今回の米国訪問で最大の同盟国にして最強の軍事外交国である米国をも味方につけることに成功した。

一時的に日中関係、日韓関係が冷却化しようとも、相手の理不尽な要求、恫喝には屈しない。それを貫けば、結局は自国の国益に資する形で外交は改善する。安倍政権はそのことを示しつつある、と言えよう。

世界の動静を見ようとしない「ガラパゴス」化したメディアや評論家はそのことをわかっていない。






Last updated  2015.05.10 19:38:12
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2015.04.30
カテゴリ:外交
安倍首相の米議会での演説は素晴らしかった。率直にそう思う。米議員もそう感じたのではないか。スピーチの節目で、多くの議員が立ち上がって拍手を送る場面が10回以上あったことがそれを示している。

もちろん、外交辞令としてのスタンディング・オベーションもあっただろう。だが、それだけで10回以上も立ち上がるとは考えにくい。やはり多くの共感、称賛があったと見るのが自然だろう。演説終了後、何人もの議員が首相に握手を求めたことも、演説への拍手がおギリではなかったことを物語っていよう。

何が彼らをそうさせたのか。そう思って、新聞に記載された演説全文を読んだ。前夜にテレビで英語による演説を同時通訳付きで聴いているので、内容は大体、知っていたが、日本語に翻訳された文章で改めて読むと、確かに良くできている。

明治の日本はアメリカ民主主義に学んだとし、アメリカの民主主義と自由の歴史を随所で取り上げて称賛、よりくだけた表現で言えば、存分にアメリカを持ち上げている。

続いて、第2次大戦では敵味方をなって争ったことに話題を転換。多くの若い米兵を死なせたことに深い悔悟の念を抱き、第2次大戦メモリアルの場で黙祷をささげたと表明した。

「かつての敵は今日の友」。戦争直後、米国は日本に様々な経済支援をしてくれた。それが日本を経済大国に押し上げるテコとなり、両国は強い同盟関係を結び、今日に至っていると日米の結束を再確認する。

今後もアジアと世界の繁栄、平和のために両国が協力し合うことが不可欠である。そのためにはTPP(環太平洋経済連携協定)を実現し、日米同盟を基軸に
アジアを平和の海にして行かねばならないとして、安保法制を今夏までに必ず実現すると事実上公約。米議会の日本への信頼を高めた。

簡単に言えば以上だが、話の運び方がうまい。自身の名字である「Abe」を、時たま米国人から「エイブ」と呼ばれるが、「悪い気はしない」と言う。なぜか、と聞き耳を立てる議員に、民主主義を高らかに宣言した有名なゲッティズバーグ演説をしたエイブラハム・リンカーン大統領の愛称「エイブ」と同じだからだと語る。民主主義への信念に生きる米議員の誇りを、品良くくすぐるのだ。

東日本大震災の時、暗い気持ちになった自分たちを「トモダチ作戦」によって全面的に支援してくれたのも米軍だった。米軍は我々日本人に希望を与えてくれた。そこから今後の日米同盟を「希望の同盟」と呼ぼうとして、話を締めくくっている。

単に、米国の援助に頼るだけでなく、集団的自衛権やTPPによって相互援助して行く。その精神が日本への信頼感を高めた。だから、何度も立ち上がって拍手したのである。

日本の新聞もアメリカの新聞も相変わらず、第2次大戦時の「侵略」「植民地化」などについて謝罪の言葉がなかったと批判の手を緩めない。

しかし、議員をはじめとして米国人の間にはそうした批判以上に、大きな共感と信頼感をはぐくむ演説ではなかったかと思う。

日本人の間でも、評価の方が高いだろう。保守派の間では「先の大戦に対し痛切な反省」を述べていることについて異論もあるだろう。

米国からの経済封鎖その他の攻勢が戦争の遠因であり、原爆投下などを考えれば、米国の大統領や議会も少しは反省の言葉を述べたらどうか。というのが、私を含む保守派の率直な気持ちだからだ。

だが、政治のリーダーは今日と近未来において、日本の安全・経済的繁栄の維持を図って行かねばならない。現在の米国議会で、そんな露骨な気持ちを表したら、日米関係を危うくしてしまう。

米国には日本に対し中国、韓国への配慮を求める気持ちも根強い。その点までにらんでバランスの良い演説を、と考えれば、現状では最適解に近い内容だった。 

それでいながら、実は演説は米国人にも反省を迫る仕掛けをそっと入れ込んでいる。例えば――。

<焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も2036頭、やってきました>

推測の域を出ないが、安倍首相は米国の経済支援に感謝しながらも、「老人、婦女子など無辜の市民が住む都市に焼夷弾の雨を降らせて焦土と化す軍事攻撃は国際法違反ではなかったか」と暗に批判しているように聞こえる。多くの議員は気づかないかも知れないが、歴史をわかっている議員は感ずるところがあるはずだ。

小学生時代、学校給食で米国からの脱脂粉乳を毎日飲まされた身としては、「家畜のエサ並みの食料支援だったのでは」という感慨もないではない。それでも、すきっ腹にまずいものなし。支援に感謝はしているが。


閑話休題。安倍首相への期待が、米国議会に静かに広がることは間違いないだろう。反権力を重視する向きは、批判精神が足りないと言うかも知れないが、私の見るところ、演説は成功だったと思う。






Last updated  2015.04.30 16:56:13
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2015.04.26
カテゴリ:外交
前回のブログで取り上げた西尾幹二氏は産經新聞4月16日付け「正論」欄で、こう書いている。

<戦後一貫して日本が気兼ねし、頭が上がらなかったのはどの国だったろうか。 中国・韓国ではない。アメリカである。ドイツにとってのフランスは日本にとっては戦勝国アメリカである。日本にとっての中国・韓国はドイツにとってはロシアとポーランドである。……日米の隣国関係は独仏関係以上に成功を収めているので、日本にとって隣国との和解問題はもはや存在しないといってよいのである>

単に地理的に隣国だからと言って、無条件に重視する必要はない。とりわけ隣国重視を外交方針にしている日本の姿勢を見て、何かと日本に理不尽な要求を突きつけてくる中国や韓国などは無視すれば良い、といっているのである。

同感である。しかし、日本人の多く、特にマスコミはそう考えられない。「外国、特に隣国とは友好第一」を基本にしている。「国際的に孤立してはならない」が国是のようになっている。

これには戦前、国際連盟を脱退した苦い経験がある。国際連盟脱退の後、次第に英米との関係が悪化して世界から孤立し、ABCD包囲陣による経済封鎖から第2次大戦に突入、無残な敗戦の憂き目を見たことがトラウマのようになっている。

友好第一はそこから来るが、戦後米国に押し付けられた憲法の前文も利いている。

<日本国民は……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した>

国際関係は複雑な利害衝突が絡み、各国は少しでも自国に有利な環境を築くべく、様々な策略、陰謀をめぐらす。諸外国が何を企んでいるか、つねに疑い、発言や行動の裏を読んで自らの言動を考える。

それが世界の常識だが、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼しなければならない」という憲法前文の精神を子供のころから叩き込まれている戦後の日本人は、「相手を疑ってはならない。信頼し、友好関係を保たなくてはならない」とナイーブに思い込んでいる。

戦後憲法だけでは、これほど強固に友好精神が根付くことはなかっただろう。大元には聖徳太子以来の「和を以て貴しとなす」の精神がある。それは日本人の文化的DNAとなって、脳裏に刻み込まれている。逆に言えば、そのDNAがあったからこそ、米国押し付けの憲法前文も、それほど反発することなく、受け入れたのかも知れない。

和を尊重する心は日本人の美質でもある。しかし、世界は利害で動いている。こちらが友好第一で行くと、相手はそれに付けこんで、自分の要求を押し付けてくる。重ねて言えば、それが世界の常識で、中国と韓国は典型的だ。
 
だから、我々も世界の常識に従い、ギブ&テイクの精神で行く方が国益維持の点で望ましい。中国との関係もそうで、第一次安倍政権時代に安倍首相が中国の胡錦濤国家主席との会談で一致した「戦略的互恵関係」の考え方もそうした含意があった。

日中両国間で立場の違う歴史問題を事実上棚上げして地域の安全保障や経済、人的交流など双方が「果実」を得られる分野で共通利益の構築をめざし、2国間関係を強化・発展させていく考え方だ。

その後の福田政権以降、友好路線が前面に出てくるが、安倍首相には「双方の違い」を認め合い、その上でお互い共通利益を追求しようという考えが基本にあったはずだ。

中国側は「友好」「戦時中の謝罪」という殺し文句を前面に押し出し、それをテコに日本から様々な譲歩、有利な経済支援を確保しようと思っていた。だが、いくら要求を強めても安倍首相は譲歩しない。ならば、安倍の言うギブ&テイクの「戦略的互恵関係」で行くか--。バンドン会議での習近平国家主席との会談実現を見ると、そういう方向に戦略を変えてきた趣がある。

これでいいのである。「慰安婦問題での謝罪、賠償」で詰め寄る韓国に対しても同様の方針を貫くべきである。隣国だからといって甘い態度に出るべきではなく、逆説的だが、ギブ&テイク路線が最も、隣国との和を保ち、国益に資すると思える。

日本にとって一番重要な隣国は米国で、西尾氏の指摘するように「日米の隣国関係は独仏関係以上に成功を収めている」。だが、その西尾氏が最も警戒しているのがまた、米国である。

日本を永遠に自国の支配下に置こうという米国の意志は強く、その戦略の一環として日本に第2次大戦時の「贖罪意識」を植え付け続けようとしている。

米国が慰安婦問題で韓国側に付き、しばしば韓国への譲歩を日本に迫るのもそのためで、とりわけ現オバマ政権など民主党政権にその傾向が強い。

安倍首相としては、韓国側につくことは結果として米国のためにもならないことを粘り強く説得するしかない。慰安婦問題や竹島問題で歴史資料はすべて日本の主張が正しいこと。アジアにおいては日本との同盟を持続させることが最も米国の国益にかなっていること。それこそ戦略的互恵関係に立って、日本との共通利益を図ることが得策であることを、米国に諄々と説くことが大切だ。

むろん安倍首相もそれは承知していよう。すでに安倍首相は4月26日からの米国訪問に当たって、水面下でその説得を試みていると思う。29日の米議会演説でも、不毛な「歴史認識」問題の深みにはまることなく、日米の戦略的互恵関係の重要性を確認するする形でまとめることを期待したい。










Last updated  2015.04.28 03:02:59
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2015.03.05
カテゴリ:外交
 宮崎正弘氏と大竹慎一氏の対談「中国崩壊で日本はこうなる」(構成=加藤鉱氏、徳間書店)を読んだ。中で最も頭に印象に残ったのは、宮崎氏の次の言葉である。

 <彼(安倍晋三首相--引用者注、以下同じ)の目標は戦後レジームからの脱却だ。戦後レジームとは完全にGHQ(連合国総司令部)がつくったもので、憲法、諸々の法律、農業政策等々すべての体制に絡んでくるけれど、安倍首相の最大の政治目標は憲法改正を行うことによっての主権回復である。これはアメリカにとってウェルカムとは言えないものだ>

 アメリカはつねに日本を支配下に置いておきたい。戦後、そこから離脱する日本政府の動きには神経を尖らせ、この「掟」を破る動きをつぶしてきた。ロシアとの国交樹立、日本独自の戦闘機開発、核兵器につながる技術開発や投資の動き、円経済圏を広げる動き、日本の過去の歴史を正当化する動き……。

 共和党政権と民主党政権では濃淡があり、共和党は日本の部分的な独立を認める姿勢だが、民主党は日本完全制圧の方針のようだ。特に、現オバマ政権はそうで、安倍首相の靖国参拝にも「失望した」と表明する。

 今回の戦後七十年談話についても、安倍首相が談話を述べる前から、「ああだ、こうだ」と注文をつけてくる。

 この米国の言動を十二分に活用しようとしているのが中国と韓国だ。「安倍政権は歴史修正主義者だ。彼を黙らせるために共闘しよう」としきりに米国に働きかけている。
 
 宮崎氏は今の安倍首相へのオバマ政権の懐疑心をこう表現する。

 <安倍首相はだんだんアメリカから離れていったことから、アメリカにとり四大悪人の一人になってしまった。四大悪人とはすべてナショナリストで、その面々とはロシアのプーチン(大統領)、トルコのエルドアン(同)、インドのモディ(首相)、そして日本の安倍首相である>

 アメリカが強硬になると、中韓のみならず、他の国も日本の「独立」の動きに対し、批判的になる。それを見て、日本のマスコミも尻込みし、「あまりナショナリスティックになってはいけない」との論陣を強める。

 朝日新聞や毎日新聞だけではない。中道的といわれる日本経済新聞は典型的だ。2日付けの「グローバルオピニオン」欄で、元シンガポール外務次官のカウシカン氏にインタビューし、次の発言を取り上げている。

 <南京大虐殺の被害者数や、従軍慰安婦の強制性の有無について歴史を否定する行為は支持を得られない。日本の首相が靖国神社に参拝すれば、不要な障害を自ら設けることになる。東南アジアはこうした論争に巻き込まれたくない>

 「中国や韓国を、何よりもアメリカを刺激するな」と言っているのだ。それは日経の姿勢でもある。

 安倍政権の、そして日本の「独立」への道筋は狭く、隘路を行かねばならない。宮崎氏もこう言っている。

 <こうした客観状況をみて、日本経済が独自の歩みを進められるかというと、私は時間はかかるけれども、徐々に進めていく以外にないと思う>

 同感である。米国や中国、韓国の圧力に対し「穏便に、友好的に行こう」などというのは敗北主義である。「論争に巻き込まれたくない」と等距離を決め込む諸外国を徐々に日本の味方につけ、米国を納得させ、日本の独立への自由度を高めて行く。これが外交のあるべき姿だ。

 安倍首相は価値観外交、積極的平和主義のキャッチフレーズで何とか活路を開こうとしているように見える。その外交戦略を評価したい。四大悪人の一人に数え上げられるというのは、それだけ安倍首相の力量が評価されているということだ。米国に完全従属するイエスマン政治家など、最初から見向きもされない。






Last updated  2015.03.07 16:31:12
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