法学部人気の低落は朗報
25日付け日本経済新聞夕刊によると、法学部を受験する高校生が減り、理工系や資格系の学部の人気が高まっている。 理工系、資格系の方が就職で有利だからで、法科大学院の不振、官僚批判が続く中、かつての花形学部も「今は昔」の状況という。 東京大学では法学部志望者が受ける文科1類の倍率が2・92倍と3倍を下回り、センター試験の成績で門前払いする「第1段階選抜」が13年ぶりになくなった。 これはいい傾向だと思う。成熟化した先進国である日本にとって役所の役割は小さくなっている。実質的な商品価値を生み出すのは民間企業であり、その中核は理工系や資格を持った技術者、実務者が担っている。健全な動きといえる。 大体、規制が多すぎるから、それにかかわる弁護士や司法書士がふえるのであって、やや乱暴な言い方になることを承知で言えば、規制を緩和すれば、法学部出身者など、減るのが自然なのである。 25日付け日経朝刊は、大衆薬を販売できる登録販売者制度で不正受験が発覚した問題を取り扱っている。<(西友、ダイエーといった)スーパーなどが従業員の受験に必要な証明書を不正発行していた問題が相次いで発覚。誤った使用方法につながりかねないほか、「イメージダウンで株主代表訴訟に発展する可能性がある」と指摘する声もある> ルールを守らない企業を擁護することはできないが、登録販売者の資格用件を見ると、首を傾げたくなる。 <薬剤師らが管理する職場で、1カ月80時間以上の医薬品販売業務を1年間以上にわたって経験する。そして勤務先から「実務経験証明書」を発行してもらい、試験に合格する必要がある> 今回、発覚したのは業務内容や勤務時間が条件を満たしていないのに、条件を満たした旨を記入して従業員に証明書を発行していたという不正だ。 80時間に数時間足りなくても証明書を発行したり、医薬品売り場に近い化粧品や日用品の売り場で勤務した時間も含めたり……。だが――。 <薬事法に詳しい山口伸人弁護士は「毎月80時間以上の実務を1年間以上継続するという条件が、参入する企業にとって大きな障壁ではないか」とみる> 値下げ競争の厳しい食料品や日用品に比べ、価格が安定している医薬品は利幅を確保しやすいが、人件費を抑えたい小売店にとって、従業員を医薬品売り場だけに一定期間、張り付けるのはコスト高になるきらいがある。 <山口弁護士は「勤務時間の条件を緩和し、内容の充実した短期的な研修など代替制度を考える時期にきている」と話す> 要するに、杓子定規の規制にも問題があるというわけだ。大体、医者の処方箋を要する調剤と違って、大衆薬は危険性が少ないということで承認されている。実際、胃腸薬や頭痛薬などの大衆薬を買う際、いちいち従業員に効能や使い方などを聞く消費者は少ないだろう。 それでも販売にあたって、一定の知識と経験が必要なことは確かだが、欧米での販売資格は日本より緩く、米国のスーパーでは資格のない店員がアスピリンなどを売っている。 国民の健康にとっては意味のない杓子定規の規制をしている厚生労働省などの魅力は衰え、それが法学部の人気低迷につながっているのである。