人間が人工知能に支配される恐怖の近未来レポート
昨年の5月8日、本ブログでコンピューターがプロ棋士に勝ったニュースについて書いた。 <人間のやるスポーツや将棋はただ、素人同士が楽しむだけのものになり、人間同士のプロの試合は観戦市場が減少して行く。でも、それだと素人が自分でやるのもつまらなくなるかも知れない。そうしたら、人間は何をして楽しむのだろう。こう悲観的になる反面、遠い将来、そういう世界が実現したら、必ず何か別の楽しみを見い出すようになると、楽観できるようにも思える> しかし、趣味やスポーツの世界なら、まだいい。近い将来、人工知能ははるかに進歩して、人間の能力を越え、人間を支配するかも知れない。 よくあるSF映画の話ではない。「その現実はすぐそこに迫っている」と言う特別読み物が、16日号の週刊新潮に載っている。科学作家の竹内薫氏が公立はこだて未来大学教授で人工知能学会会長をしている松原仁氏にインタビューしたものだ。 それによると、いずれ人工知能そのものが人工知能を作るようになり、人類は科学技術の進歩から完全に取り残されてしまう、という。 すでに人工知能は昨年11月に日本の私立大学の約半分の学部で合格できる実力を身につけている。今は2022年3月までに東京大学入試に合格する人工知能の研究が進んでいる。 いずれは公務員試験を突破する人工知能も出現、役所のあらゆる事務を人間の代わりに人工知能がやる世界も夢ではない。 現に米国では性能の良い会計ソフトが登場し、米国の研究者の調べでは、すでに数万人の会計士が失業しているそうだ。 松原氏によると、人口知能が人類を支配するのは2045年、いやもっと早く2029年にもやってくる可能性があるという。それは次のような過程をたどる。 <赤ちゃんロボットを世の中に出して、人間が見聞きして学ぶように学習して行く。でも、育て方がうまくないと人間を支配する方向に向かってしまう> <人工知能が地球の存続を人間の存続より上の価値と考えた瞬間、70億人の人間が邪魔になり、人類滅亡を実行するかもしれない> 過激な環境主義者が育てるとそうなるかも知れない。 そうならないようにするには、今の段階で頭の良すぎる人口知能の開発を中止するのが一つの考え方だ。が、人口知能はパソコンが1台あれば研究できてしまう。すべての研究をとめるのはきわめて困難だ。 「絶対に人類を傷つけない仕組み」を人工知能に組み込む技術開発と法整備を進めるしかない。でも、そんな技術を果たして開発できるのか。それは誰にもわかっていない。 はたして15年後にやってくるのは、人工知能にすべての仕事をまかせて人類は遊んで優雅に暮らす天国か、それとも人工知能に人類が支配される地獄か。竹内氏はレポートを、次のように結んでいる。 <これはSFではなく、現実である。そして、人類に残された時間は、もう、あまり多くはない……> 膨張するイスラム過激派集団「イスラム国」、軍事大国化し、日本を含む周辺を侵略しようとする中国……などに重なる脅威がそこにある。 イスラム国や中国の脅威はこちらが防衛力を強化し、米国はじめ周辺諸国と連携することで防げるだろう。 しかし、人工知能の脅威は人類が自分で産み落とした子供に支配され、殺戮される恐怖である。子供の出産をやめられないように、その脅威を封じ込めることは難しい。 「人工知能に支配されるなんてバカなことが起こるはずないじゃないか」と楽観しつつ、現実味を帯びたレポートに不気味な戦慄を覚える。