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遠方からの手紙

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カテゴリ:国際

 新型インフルエンザの感染者は、まだまだ増えつつあるが、弱毒性ということもはっきりし、一頃の騒動はどうやら山を越えたようだ。しかし、テレビをつけていると、1日に何度も、「冷静な対応をお願いします」 という首相のあのだみ声を聞かされるのはたまらない。「冷静な対応」 だなんて、今頃になってなにを言ってんだとしか言いようがない。

 かつてエンゲルスは、『イギリスにおける労働者階級の状態』 の中で、世界でもっとも豊かな国の労働者らがいかに悲惨で惨めな暮らしを強いられているかを、克明に描いた。国家が豊かであるということと、国民の貧しさとは必ずしも矛盾しない。それが、当時まだわずか25歳だったエンゲルスの指摘したことだ(それは、むろん今でも多かれ少なかれあてはまる)。

 それと同様に、国家とその軍隊の装備や戦力は、国民の貧しさとも必ずしも矛盾しない。世界には、スラム街でその日暮らしの生活をしている多くの貧困者がいる一方で、核兵器や遠くまで飛ばせるミサイル、高速で空を飛びまわる戦闘機をそろえて得意になっている国もある。インドもパキスタンも、またもちろん先日、晴れて 「核保有国」 の仲間入りをしたかの国でも、それは同じことだ。

 しかし、言うまでもなく、そのようなものは煮ても焼いても食えはしない。人間にとって必要なものは、まずは食べるものであり、次に雨露と暑さ寒さをしのぐ場所である。先日、インドでは、アカデミー賞を取った映画に出演した子供らの住んでいた家が 「不法建築」 ということで取り壊され、路上生活を余儀なくされたというニュースがあったが、ようやくその二人の子役には、州から約束のアパートが 「ご褒美」 として与えられたそうだ。むろんそれは二人にとっては喜ばしいことだが、家を失った子供はその二人だけではあるまい。

 当該の問題に直接の関係を持たない者が 「安全地帯」 から声を上げることは、非難されることではない。声を上げることが 「安全地帯」 からでしか可能でないのであれば、まずは 「安全地帯」 にいる者が声をあげればいい。それは、今はまだ声を上げられない当事者らに対する励ましとなることもある。また、そのような 「われわれは見ているぞ!」 という声には、現状を今すぐ変えることは不可能だとしても、少なくとも現状のこれ以上の悪化を防ぐぐらいの力はあるかもしれない。

 誰も声を上げられないならば、誰かがまず、「王様は裸だ!」 と叫ばなければならない。チャウシェスクの独裁も、誰かがあの広場で、「お前は裸だ!」 と叫んだことをきっかけにして崩壊したのではなかったのか。誰かの声がきっかけとなって、それまでのタブーが破られるのなら、誰が口火を切ろうとそんなことはどうでもよい。王様の行列を前にして、「王様は裸だ!」 と叫んだ少年に対して、いったい誰がその資格や権利を問うただろうか。

 たしかに、日本にはかつて朝鮮を植民地として支配した責任がある。だが、相対立するかに見える二つの問題があるときに、一方の問題を持ち出して、他方の問題に対する批判を封じようとするのは、ただの相殺論法に過ぎない。「王様は裸だ!」 と叫んだものが、自分もまた裸であることに気付いてなかったとしたら、笑いものにはなるだろう。しかし、だからといって、実際に王様が裸であるのなら、それを指摘した言葉の正しさまでが損なわれるわけではない。他者への批判が倫理的な非難に値するのは、それが自己の責任を隠蔽し、自己への批判をかわすことを目的にしている場合のみである。

 他国への侵略や、自国内の少数民族への抑圧が 「悪」 であるなら、自民族である自国の民衆に対する抑圧もまた 「悪」 である。そこに違いなどありはしない。たしかに、それはその国の 「国内問題」 ではある。だが、どんな国の支配者にも、自国の民衆をほしいままに支配し抑圧する権利などないのは、いまさら言うまでもないことだろう。

 北朝鮮が行った実験は、マグニチュード4.5から4.7程度の地震を引き起こしたそうだ。実験は、日本海に面した咸鏡北道というところで行われたそうだが、実験場から200 km離れた中国では、そのために学校が休校になったという(参照)。その地域が、もともとどのようなところであったのかは知らない。当然のことながら、実験場の周辺の住民は、とうに立ち退かされているだろう。だが、いかに地下実験とはいえ、砂漠の真中とかではないのだから、周辺に対して被害がまったく発生しないとは考えにくい。

 北の 「指導部」 にしてみれば、核を持つことで、世界とりわけアメリカに対する発言権を高めると同時に、現在の 「体制」 への保証を取り付けたいという思惑があるのだろう。しかしながら、国家の体制なるものを保証するのは、ほかのどこの国でもなく、なによりその国の国民自身である。国民の支持を失った 「体制」 など、他国によっていかに保証されようが、いずれ崩壊せざるをえない。

 豊かとはとうていいえない国において、そのような実験を繰り返し行うことは、その国の国民にとってなにを意味するのか。それは、不作と借金に苦しみ、白い飯も食えず、娘も売り飛ばさざるを得ないというような貧しい農民らがいた一方で、大和だ、武蔵だなどという、「世界に冠たる」 無敵の巨大戦艦を建造して悦にいっていた国と、いったいどこが違うのか。

 理想を掲げたソビエトはなぜ崩壊したのか。東欧における優等生とまで言われた東ドイツは、なぜライバルであった西ドイツに完全に後れを取り、吸収合併されるという憂き目に会ったのか。かの国の人々のことが心配だという人がいるのなら、まずはそのような過重な軍備や、あのような狭小な国土で核実験を繰り返すことが、彼らの生活とその行く末になにをもたらすかをこそ、心配すべきではないか。

 仏領赤道アフリカを旅行したとき、誰かに 「案内されて」 いる間は、すべてがほとんど素晴らしく目に映った、といったことを私はすでに書いたことがある。私がはっきり事物の姿を見はじめたのは、総督が回してくれる自動車におさらばして、単身徒歩で、この国を歩き回り、半年の時日をかけて、原住民たちに直接接触しようと思ったそのときからである。......

 なぜか? プロレタリアは、すでに侵害された彼らの権益を防いでくれる代表者を、たとえ一人でも選出する可能性すらもっていない。人民投票は、公開で行われるにせよ秘密裡に行われるにせよ、これは人を馬鹿にしたものであり、見せかけであることは間違いない。すべての任命は、上から下に対して決定される。人民は前もって選ばれたものしか選挙する権利はない。プロレタリアはなぶりものにされている。猿轡をかまされ、がんじがらめに縛られ、抵抗などほとんど思いもよらなくなっている。じつに競技はうまくはこばれ、スターリンは見事に勝った。


 これは、今から70年近く前、スターリンによる粛清開始のきっかけとなった 「キーロフ暗殺事件」 の直後にソビエトを訪問した、フランスの作家 アンドレ・ジッドが帰国後に書いた 『ソヴェト旅行記修正』 の一節である。その前に 『ソヴェト旅行記』 を書いて、革命への共感と同時に、しだいに官僚化を強めていくソビエト社会への不満と懸念をも表明したジッドは、スターリンを支持するロマン・ロランに非難されたそうだが、ジッドはロランに対してこの 「修正」 の中で、こう反論している。

 私は今日まで、彼の作品に対して感心したことはないが、それでも、彼の精神的人格だけは少なくとも高く評価してきた。私の悲しみは、そこからきている。つまり、世には、彼らの偉大さをすっかり出し切らないうちに、人生を終わってゆく人たちがあまりにも少なくないと言うことをあらためて考えさせられるからである。おそらく 「争いの上にあれ」 を書いたロランは、今日の老ロランを手厳しく裁いているのではないか、と私には思われる。かつての日の鷲も、巣づくりを終えて、そこで憩いをとっている。





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Last updated  2009.06.02 03:23:36
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