遠方からの手紙

2010/01/09(土)21:36

正月早々風邪をひいてしまった

歴史その他(34)

 ここ数日は 「西高東低」 のみごとな冬型気圧配置で、北風がびゅーびゅー吹き付けている。北陸から山陰にかけては、連日大雪が降っているとか。昔はこちらも冬には軒先につららが下がったり、路傍に霜柱が立ったりもしたものだが、最近はそういう話はとんと聞かぬ。雪が積もることも年に数回あるかないかで、雪だるまとか雪合戦などのような遊びもほとんど見られない。  清少納言は冬は早朝がよいとおっしゃったが、『枕草子』 にも年末から正月にかけて大雪が降り(旧暦だから今とはずれるが)、仕えていた中宮の命で役人や侍までかりだして、庭に雪山を作ったという話がある。それによれば、とちゅう雨が降ったりもしたけれど、一月以上、残っていたそうだ(第74段 「職の御曹司におはします頃」)。 昔の知り合いに、島根から福岡教育大に来た人がいたのだが、九州だからあったかいはずと思って冬物は置いてきたところ、寒くて寒くて往生したという。そりゃそうだ。そもそも北部九州は地勢的に山陰とつながっているうえ、福教大は宗像の山のふもとにあるのだから、玄界灘からの北風がもろに吹きつける。九州だから暖かいというのは、ただの偏見というもの。山のほうに行けば雪だって積もる。なんであれ、先入観というものはまことにやっかいなものだ。 報道によれば、奈良は桜井市にある桜井茶臼山古墳なるところで、81枚もの銅鏡が見つかったとか。桜井茶臼山古墳というのは、ひょっとして卑弥呼の墓ではないかとも言われている箸墓古墳とも近いが、箸墓のほうは宮内庁の指定により、孝霊天皇の娘である倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)の墓ということになっていて、立入が禁止されているそう。 ところが、幸か不幸か、桜井茶臼山古墳のほうは昔はあまり目立たず、有名でもなかったため、誰の陵墓にも指定されることなく、放置されてきたらしい。おかげで発掘調査も可能だったということなのだろうが、これだけの副葬品が出てくれば、当然埋葬者は古代大王家につながる高貴なお方だと考えられる。規模だって、墳丘長が207mというからかなりでかいし。 しかし、宮内庁によれば、大王家の人々の墓は、すでにほとんど存在していることになっている。もし今後の調査で、茶臼山古墳の被葬者がその中の誰かということが明らかになると、いままでその人の墓ということになっていたところの指定を取り消さなければならなくなる。そもそも、古代の陵墓の指定はほとんどが江戸時代の尊皇ブームに始まるもので、当然ながら学問的な根拠などないに等しいものが非常に多い。 宮内庁が天皇やその一族の陵墓に指定しているもののなかには、怪しげなものが多いということは、以前から指摘されていることだが、そうやっていつまでも全然違う人の名前で祭祀を執り行っていたりしたら、いずれそのうちに 「おーい、おれはそこじゃないよ、ここにいるんだよ」 とか、「それは人違いだって、あたしゃその人とは違うよ」 みたいな声が、地の底から湧き出てくるのではあるまいか。 古来より、怨霊というものは恐ろしいものである。菅原道真は雷神となって恨みある藤原氏や天皇の一族に害をなしたし、保元の乱で弟の後白河天皇に負けて讃岐に流された崇徳上皇は、「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん」 という誓いをたてて、平安末期の争乱を引き起こしたという。日本古来の信仰に忠実たらんと欲するならば、名を取り違えたままで祭祀を行なうのは、御霊(みたま)を恐れぬもっとも不敬な行為と言わざるを得ない。 さて、御年77歳の藤井財務相が健康上の不安を理由に辞任し、後任が菅直人に決まった。高齢の大臣といえば、戦前に6回も大蔵大臣を務めた高橋是清の場合、最後の蔵相を務めたのが80歳、また先の小泉内閣での塩爺こと塩川正十郎の場合が79歳であった。是清さんは2.26事件で暗殺されてしまったのだが、高齢な方にいつまでも重責を担わせるわけにはいかないだろう。いっぽう菅直人としては、鳩山首相がいつこけてもいいように準備万端といったところだろうか。 地元では、先の総選挙で落選した山崎拓前衆院議員が、夏の参院選への出馬をめざしているとか。しかし、自民党の谷垣総裁は、山崎氏がすでに70歳を越えていることを理由にそれを拒否する意向だという。これはまあ当然のことだろう。野党に転落した自民党は、ここで若返りをはかるとともに、それを世間にアピールすることが勢力回復のための第一歩なのだから。 本人としては、まだまだ心残りのこともあるのかもしれない。おまけにたたき上げの政治家である彼としては、安倍や麻生をはじめとした若い連中ときたら、どうしようもない世間知らずのお坊ちゃんばかりという心配もあるのだろう。とはいえ、参院は衆院とちがって解散もない、そのうえ任期は6年もあるわけで、どう見ても最近の山崎氏の姿は、たとえ当選したとしても任期を無事にまっとうできるようには思えない。 先日、今年初めての仕事が入ったのだが、たった2時間の仕事で2000円にもならなかった。今年も先行きは暗そう。前途多難な予感がする。景気の回復はなかなかむずかしそう。おまけに、正月早々、人混みの中に出かけたために風邪までひいてしまった。 関連記事: 宮内庁もまだまだ了見が狭いと思う

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