テーマ:カウンセリングあれこれ(48)
カテゴリ:親子
親子で面接をしているとき、親が話し始めると背中をキューっと丸める子がいます。
つつかれた団子虫がくるっと丸くなるようにです。 「この子が学校に行かなくなったのは、上手に子育てをできなかった親のせいです。 学校へ行かなくてももう一切期待しないから心配するな、と親せきにも言われました。 気が楽です」 親の言葉は一見優しく聞こえますが、胸に突き刺さります。黙ってこれを聞いている 子どもの気持ちはいかばかりでしょうか。 期待されないふがいない自分、かやの外へはじき出されたような心もとなさ。見限られ そうな不安定な存在。情けない、悔しい、腹立たしいなどうっ積した思いが憎しみに変わ ることも十分考えられます。 自分のことに精いっぱいな親には子どもは見えません。物言わぬ子どもの何気ない目つ きや立ち居振舞いの中に、葛藤を繰り返した心の苦しさを推し量ることができません。 子どもには聞いてほしいことがいっぱいありますが、事もなげに聞き流します。とき には、親の心のざわめきを少し沈め、子どもの心に触れてもいいのではないでしょうか。 目の前にいるのは、心ある人なのですから。 もうひとつ、 中学生のA子さんが、最近めっきりふさぎがちというので、きっと何かおもしろくない ことがあるのだろうと彼女の話を聞いてみました。 すると「祖母と母が気に入らない」といいます。A子さんの祖母は一代で財を成した人 で、家の中では大変な権力を持っています。母親は祖母に従うことで家族関係のトラブル を避けてきました。何が嫌といっても祖母の機嫌が悪いと家の中がピリピリすることです。 「おばあちゃんの機嫌が悪いから静かにしていなさい」とよく母親から言われました。 時には「うるさいから」と見ているテレビを切られたこともあります。祖母を喜ばせる ために、したくもない成績の話をしたこともあります。 「祖母は不快な思いを母の気遣いで晴らそうとします。母は祖母の機嫌が悪いと不安に なるようですが、それをなくすために私を使います。祖母も母も、自分の感情くらい人に 何とかしてもらうのではなくて、自分でなんとかできないんでしょうか」 なるほど!祖母や母親は自分の感情に責任を取らないということでしょうか。確かに 不快な感情は自分の気の持ちようで快に変えることもできます。それならだれにも迷惑を かけません。心理的にタフで自立しているというのはそういうことなのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.31 18:02:00
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