こばぴょん1969のブログ

2009/11/02(月)01:30

女流阿房列車 酒井順子著

読書感想文(143)

鉄道紀行文の嚆矢と言っていいでしょう。 内田百けん(けん…門構えに「月」)く著「阿房列車」シリーズ。 第一阿房列車 一般人=用事があるから鉄道に乗る 内田百けん=用事がないけど鉄道に乗る というより「鉄道に乗ること自体が旅(用事)」とした百けん。 当時は変わった目で見られたのではないでしょうかね…? しかし、百けん先生の努力(?)による現代では 鉄道を利用して旅をする鉄道ファン=乗り鉄 と呼ばれるまで社会に認知される存在となりました(言い過ぎか?・笑) 「特段用事は無いけど、他人の言うとおりに『乗り鉄』をする」ことを 実践したのが酒井順子さん。 酒井さんは、「穏やかな乗り鉄」でしょうか? ただ鉄道に乗っているのが好きな方のようで 『ここは見逃せない風景』と言った場所でも寝ていたりする(笑) そんな酒井さんが新潮社のTさんが作成した『基本』プラン通りに 鉄道に乗ってきた紀行文集です。 まずタイトルからしてクスリと笑ってしまいます。 メトロな女 鈍行列車の女 秘境駅の女 膝栗毛な女 トロッコ列車の女 9 to 5の女 廃線跡の女 こだま号の女 スイッチバックの女 旧国名駅の女 (おまけ)鉄と油の二泊三日 タイトルだけで想像できる旅もありますが(読むと想像を超えるとは思います) タイトルだけでは分からない旅もありますね。 全部にサブタイトルが付いているのですが 膝栗毛の女 東海道五十三乗りつぎ 9 to 5の女 根室本線 宮脇俊三さんに捧げる寝ずの旅 「膝栗毛」は、東京・日本橋から京都まで「53回乗り継いで」行った旅。 「9 to 5」は、根室本線起点の滝川駅)9:38発)から釧路駅(17:38着)まで 各駅停車に乗って旅をします。普段は車内で寝てしまう酒井さん。 尊敬する宮脇俊三さんが好きだった根室本線に敬意を表して 「寝ない」ことを課して旅をしています。 全編、ほんわかとした感じにしてくれる紀行文です。 鉄道好きは、もちろん、旅が好きな男女ともに楽しく読める本だと思います。 鉄道紀行文の第一人者だった宮脇俊三さん。 私の知っている作家さんの中では、酒井順子さんが一番引き継いでいる気がします。 今後の作品にも期待したいです

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