カテゴリ:読んでみました
さて,尿路結石は食生活の西欧化に伴って我が国でも増え続けているというのですが,このたびはからずもその生きた実例となってしまいました.石のほとんどはシュウ酸カルシウムを主成分とするものだとのこと.シュウ酸(蓚酸)はホウレンソウ,バナナ,ココア,コーヒー,紅茶,大根,なす,ビールなどに特にたくさん含まれている.やっぱりというか,ぼくの好きなものばかり.
それでも食生活に注意することで再発防止はできるという.カルシウムをしっかりとるとか脂肪は少なめにとか,詳しいことは千葉大学医学部泌尿器科の伊藤晴夫教授監修の「尿路結石」ページなどを見ていただくとして,まず肝心なのは,水分をたっぷりとること.とくに夕食後の水分補給が重要.汗をかく夏は特に気をつけること.酒類はワイン以外は酸性食品なので逆効果.ビールはシュウ酸,また尿酸のもとになるプリン体が多量に含まれているのでちょっと,ということらしい.たしか昔,利尿作用のあるビールをたくさん飲むと結石の予防にいいみたいな話をきいたことがあるのだけれど,とんだところに伏兵が居ました. 宮下志朗教授(フランス文学)のルネサンスの旅エッセイ集「エラスムスはブルゴーニュワインがお好き」.そのタイトルは巻頭のエッセイ「温泉でアペリティフを」に描かれたロッテルダムの賢人エラスムスと腎臓結石の知られざる関係を反映しています.現在は食前酒という意味になっているアペリティフはその昔,利尿剤,下剤,発汗剤など身体の排出口を開く薬餌を意味していたそうな.本の虫で美食とはほど遠かったエラスムス先生,ブルゴーニュのワインにご執心だったのは,その結石除去効果によるものだったとか.このエッセイにはドイツで腎臓結石になった日本人留学生が医者に「ビールを飲んで階段からぴょんぴょん跳び下りれば治る」とアドバイスされた話なども紹介されているのですが,毒をもって毒を制す? ===================================== 楽天ブックスで: エラスムスはブルゴーニュワインがお好き http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/023c78e5.dc887f26/?url=http://item.rakuten.co.jp/book/813598/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読んでみました] カテゴリの最新記事
|
|