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・イソミタール 23包(0.3グラム)
・ラボナ 1シート(グラム数不明) 以下、錠数・グラム数ともに不明(ストック全部だったのでかなりの量ではあった) ・リタリン ・エリミン ・ハルシオン ・ロヒプノール ・マイスリー 他、名前すら忘れた処方薬全て。 飲んだ、飲んだよな? 胃洗浄は的確に行われ腸内の残留薬も別の薬で強制的に排出された。 便は砂利のように黒く一粒が小さく固型だった。 右腕には点滴数本(目的は不明だけどきっと栄養剤やら解毒?剤) あと、バルーンカテーテル。 バルーンカテーテルとは、尿道から膀胱付近まで長い管を入れて尿を外に排出する器具。 大量の点滴により排出される尿もバケツ単位。 視界の入るモノは歪んでいた。 時間軸も壊れていた。 催涙ガスが撒かれててそれを吸った。(それはすべて幻覚だった) ずっと心臓の音と奇声やナースコール(これは全て現実だったと思う)が鼓膜を震わせていた。 悔しかった。 死ねなかった。 準備は完璧だった。 ~~~~~ 「致死量以上の薬だから飲んだら死ねる、持っていて損は無いよ」 その言葉は僕と元カノを死への壁を越えさせた。 薬の売人、ケンちゃん。 ケンちゃんは上野のキャッチだった。 キャバクラや風俗で働く女性を街角で勧誘する仕事をしていた。 詐病で精神32条(現在の自立支援制度)で薬を多種、多量に… 複数の医者から翳め取っていた。 精神32条で処方される薬だけでは飽き足らず、ネットを通じて知り合った人間から比較的簡単に薬を処方(融通と言っても良いだろう)してくれる精神科医を紹介してもらっていた… 薬に浸かったケンちゃん。 元カノはケンちゃんと知り合った。 肉体関係は無かった。 二人で会ったりもしなかった。 常に僕が隣に居た。 ケンちゃんは30歳で、僕たちは20歳だった。 でもケンちゃんは「俺は26歳。」と言っていた。 ケンちゃんは執拗に「今度チョコパーティするから絶対来いよ、たのしいぜ」 と、僕と元カノを誘った。 チョコとは大麻、マリファナ。 僕と元カノの憶測だが、そのパーティーはきっと乱交も兼ねていたのだろう。 最低だって二人でケンちゃんが帰ると二人で笑っていた。 でもケンちゃんを切ることはしなかった。 「薬をくれるから」 単純だけど、重要だ。 きっとチョコパーティーをしたら「これからはお金を取るよ」と言うつもりだったのだろう… クズ野郎なケンちゃん。 だけど僕たちはそんなパーティに行くつもりは無かった。 「致死量分の薬を手に入れる」 それが目的だった。 僕と元カノはケンちゃんに定期的に会っては薬を貰っていた。 ~~~~~ 気がつけば薬は致死量を既に超えていた。 僕はイソミタールを一袋飲んでからケンちゃんに電話をした。 「僕は今から死にますから。 ○○○も一緒に死にます。 遺書は書かないけれど、ケンちゃんのことはバレナイようにしますので。 …えぇ、もう飲み始めたので。 …○○○はもう飲んで眠りました。 アナタは死なないんですか? 怖いんですか? 僕たちを哀れだと思うんでしょうね。 でもこれが僕たちの愛の形なんですよ。 アナタみたいに無意味に生きて「死にたい、俺はいつでも死ねる、致死量分の薬を俺は持っている」って… そんな人間になりたくないんですよ。 アナタの責任でもあるんですけど、でも誰もアナタを責めません。 悪いのは僕たちです。 僕たちの問題です。 とりあえず、ありがとうは言いますよ。 そしてさようならも。 もう死ぬから会えませんもんネ。 アナタのお陰で死ねるんです。 二人の人間の自殺を手助けした心境はどんなですか?」 ~~~~~ 僕はバカだった。 パック詰めされた粉薬を一袋ずつ飲んでいる間に椅子ごと倒れた。 その音に驚いた弟くんが僕のその倒れた姿を見て119番を迷わずプッシュした。 大量の薬の空き袋の上で硬直しながら大きないびきをかく僕はきっと常軌を逸していただろう。 むしろ滑稽だったかもしれない。 僕は後遺症も無かった。 元カノは大学のキャンパスノートに薬を全て盛った。 写メールでその画像が僕に送られてきた。 「粉雪みたい、綺麗だね。 じゃあ、バイバイ。」 僕は泣いていた。 ~~~~~ 僕が先に薬を開封した。 死を選んだのは僕だった。 それにつられて元カノを死に追い込んだ。 僕は大切な人を殺した。 「○○○ひとりで死なせられないでしょう?」 元カノの声は優しかった。 元カノの発見は服薬の1日以上後。 正直その頃の記憶はもう曖昧だ。 …助かった。 元カノは助かった。 僕の方が先に死のうとして、死から先に助かった。 元カノは後遺症が… 右の太もも部分の大部分が麻痺し横隔膜が破壊されたそうだ。 でもそれはほぼ日常生活に支障をきたさないまで回復した。 良かった。 生きていてくれて。 僕だけでよかったんだ。 キミは死んだらダメなんだ。 僕はキミを殺したくないよ。 でも僕はキミを愛する方法が分からなくなる時があるんだ。 キミは人形になりたいって言っていた。 「年老いてしまうなら、このまま人形になってしまいたい」 それを叶えることは僕には出来なかった。 いや、誰にも出来やしない。 でもその考えを変えることなら僕に出来たのかもしれない。 でも、だって、だけど… キミは美しかった。 僕はキミに人形になって欲しかった。 …僕はキミになってしまいたかった。 狂ってる。 腐ってる。 キミが僕の全てだった。 今だってそうだよ。 思い出に溺れてひたすらにもがいている。 もがくのをやめたら、僕は死んじゃうんだろうな。 少しでも前に進めるように。 キミが幸せであるように。 いつだって僕の書くラブレターはキミへの懺悔。 自己満足でしかない。 そんな僕を愛してくれたから、キミ以外に本気で好きになれる人間がこの宇宙にいるなんて思えないんだよ。 だから恋愛を放棄しているんだ。 別れてから2年が過ぎた。 未来永劫、会わないと誓った。 メアドを変更して、キミはミクシーを退会した。 でも別れてから1年くらいはキミの活躍を聞いたりしていたよ。 それからまた1年… キミを思いながら歳を重ねていく。 積み重なってキミの思い出が潰れて消えてしまわぬよう… 壊れぬように、潰さぬようにこの手に優しく包んでいるよ。 …いつもみたいに女々しいって笑ってよネ。 この日記を読んだ人へ。 笑って欲しい。 僕みたいにならないように。 僕みたいな残念なクズをこれ以上増やさないように。 諸君、絶望するな。 失敬。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
ただ、なんとなく感じます。
(2012年04月08日 04時37分52秒)
クズじゃないよ。
(2013年07月02日 23時51分54秒)
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