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January 30, 2007
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カテゴリ:開発・環境問題
今日は、Tom's of Mainehttp://www.tomsofmaine.com/)という会社のプレゼンテーションにいってきた。

こんなデザインの品々を見たことがありませんか?

Toms Maine


1970年にTom ChappellとKate Chappellという夫婦が作った天然素材のパーソナルケア用品(シャンプーや歯磨き粉など)を作っている会社です。
Body Shopみたいなノリのブランドで、アメリカの天然素材パーソナルケア市場では圧倒的なシェアを誇っているはずです。
原料はすべて植物性で、環境にやさしく人体に害を与えない商品を、リサイクル素材で作った容器に入れて販売するという徹底したポリシーを保っている会社です。

COOがハーバード出身の人で、彼が会社の理念やビジョンなんかを熱く語ってくれました。

基本は、「これからはLOHAS(注1)がアメリカを制覇するぜ!」、というメッセージで、日本じゃとっくにはやってるよ、というつっこみを入れたくなったものの、
すごいなあと思った点もいくつかあった。


そのひとつが、会社は税引前利益の10%を必ず、環境問題や貧困削減に携わるNGOに寄付をしていること
体に優しい商品を提供して消費者を幸せにする、ということ以外に、社会全体をよりよいものにしていくこともmissionのひとつとして考えたいとのこと。

でも、税引前利益の10%ってかなり大きくないか?


Tom's of Maine社は、ずっと未上場で、昨年コールゲート(アメリカの巨大歯磨き粉会社)に買収された。

でも、仮に上場していたら、どういう反応になっていたんだろうなあ。
いくら社会のためといっても、10%もマージンを犠牲にしていたら、投資家にぶったたかれるんだろうなあ。。。


で、僕がこの会社の経営者だったら、どうやって投資家を説得するか?
かなり屁理屈だが、ファイナンスの授業でやっているMM理論(注2)と負債のTax Shieldの考え方を用いて考えてみた。

もっていきたい結論は、「会社のステークホルダーが世の中全体とすると、NGOへの寄付は企業価値を増大させる」。(うさんくさ。。。)


今、A社とB社という二つの会社があったとします。
二社とも、営業利益が100ドル、金利費用が10ドルで、A社は毎年10ドルをNPOに寄付しており、B社は寄付はしていない。
実効税率は40%。

そうすると、二社のPLは次のようになる。

 

A社

B社

損益計算
営業利益100100
金利1010
NPOへの寄付100
税引前利益8090
法人税等3236
当期利益4854


で、二社のステークホルダーの取り分は次のとおり。
ここでは、ステークホルダーに債権者と株主に加えて、「社会」というのを加えるのがミソ。

 

A社

B社

ステークホルダーの取り分
債権者(=金利)1010
社会全体(=寄付)100
株主(=当期利益)4854
合計6864
   
   

おおーー、なんと、NPOに寄付しているA社のほうがステークホルダー全体の取り分が大きいではありませんか!
(単にTax shieldが効いてるだけですが。。。)

でも、債権者も株主もお金を会社に入れてるのに、これに加えて社会がステークホルダーというからには、何らかのCapitalを会社に入れてるんですか?という問いには、
「寄付によって保たれる環境のベネフィット(生態系が保たれることで、A社がよりよい天然材料を入手できるかもしれない)や、社会貢献することによるブランド価値の向上こそが、Social Capitalだぜ!」なんてことは言えないかしら?
一応こういう健康志向なパーソナルケアの会社にはプラスでしょ。


とはいえ、結局Tax shieldによる価値の増大分が、株主に流れないと、こんな施策は株主に認められないだろうなあ。
(負債を増やしてTax shieldを増やそうというのは、負債のアップサイドが限られていることと、負債調達による手取金で自社株買いをするから、合わせ技で一株当たり利益が上がるから受け入れられるんだよね)
じゃあ、「社会全体 = 株主」ということで、なるべく多くの人に株主になってもらえばいいのか?
でも、それは無理がある。

加えて、A社が社会に寄付することで良くなった世の中のベネフィットを、B社も享受できてしまったら(Free Ride)、意味ないか。。。

うーーん、だめだ(合掌)。
所詮は屁理屈です。。。

* * *

なんか、世の中のためになっている会社が最終的には企業価値が高いんだ、というのを誰か理論的に説明してくれないかなあ。
そういうのが証明できたら、かっこいいと思いませんか?

てなことをつらつら考えるうちに、眠くなったので、予習は早朝に回してとりあえず寝ます。


あ、ちなみにCOOの人が、学生一人につき、見本の歯磨き粉とシャンプーをダンボール一個分くれました!(なぜって気もするけど)
しばらく歯磨き粉とシャンプーは買わずにすみそうです。



1 Life Styles of Health and Sustainability

2 モジリアーニ=ミラーの理論ね。舌かみそう。。。






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Last updated  January 30, 2007 01:53:38 PM
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