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カテゴリ:開発・環境問題
1999年夏、僕は、インドネシア・ジャワ島のソロからスマランに向かうバスの中にいました。
見知らぬ国の農業NGOでの2ヶ月間のインターンを終えた満足感と、自分のスキル不足によりインパクトのある貢献ができなかった無念という、二つの相反する気持ちが心の中に渦巻いていたことを今でも鮮明に覚えています。 当時、僕は大学4年生で、卒業後は何らかの形で途上国開発に関わる仕事がしたいと思っていて、「やっぱり現場を経験してみないと」ということで、インドネシアでの経験が積めるNGOインターンに応募したのでした。 インドネシアでは、ジャワ島中部のボヨラリという人口200人くらいの小さな村にホームステイをして、ひたすらアスパラガスの栽培と出荷の手伝いをしていました。 なんで、アスパラかというと、アスパラは、インドネシアでものすごく高く売れるのです。 インドネシアの都市部には華僑の中国人がたくさん住んでいて、彼らは中華料理にアスパラを使います。 しかし、アスパラは本来インドネシアのような熱帯地方では栽培が難しく、中国人たちは輸入品のアスパラを買うのが通常でした。 そういう状況の中で、僕が働いたNGOは、台湾の農業団体と提携をして、台湾から熱帯でも育つアスパラを導入しました。 そのアスパラの栽培を村の農民に教え、栽培したアスパラを都市部に高い値段で売ることで、お金を儲けて、その儲けたお金で村を開発していこうという試みをしていました。 インターンはとても楽しい経験でした。 インドネシア語は文法がとても単純で、習得がとても簡単な言語です。 1ヶ月弱で基本会話が話せるようになり、言葉が話せるようになると、地元の人たちも自然と心を開いてくれ、村で結婚式があるたびに呼ばれてカラオケを歌ったり、祭りなどのイベントでは村人たちと一緒に伝統の踊りを踊ったり、地元の子供たちに空手や日本語を教えたりして、交流を深めることができました。 また、もともと農家出身の僕は、農作業は全く苦にならず、壮大な火山群やジャングルなどの美しい景色に囲まれて畑仕事をするのは、なんだかバケーションみたいなものでした。 ただし、プロジェクトへの貢献度は、とても限られたものでした。 理系ではなかったので技術系のアドバイスは何もできないし、商売の経験もまったくなかったので、アスパラを販売する際のバリュー・アッドな知恵も特に提供できないわけです。 やれることといったら、肉体労働だけでした。 日本に帰ったら、国際協力で役に立つ知識と経験を絶対に身に着けてやろうと強く思いました。 それでも、問題意識はいくつか持って帰ることができました。 ひとつは、ビジネスを学ぶ必要性。 マージンの厚い商品作物を育てて、儲けたお金で開発をする、というのは、まさに商売の発想です。 文系の僕にまずできることは、金儲けのできるビジネスパーソンになることかもしれない、と思いました。 もうひとつは、金融を理解する必要性。 僕が働いたNGOは、いいアイディアを持っていたのですが、使えるお金が限られていて、プロジェクトをボヨラリ村以外に広げることができませんでした。 もし、銀行や投資家や財団などからうまく資金を調達できれば、もしかしたらジャワ島全土にアスパラ栽培を広めることができたかもしれません。 なので、いいアイディアを持った人が、事業を拡大するために、どうやってお金を調達するのか学びたいなあ、と思ったわけです。 これらの二つの理由で、卒業後は、いつかはビジネスと金融の知識を国際協力に生かしたいという思いで、銀行か証券会社にいこうと思ったわけです。 いろいろなご縁があって、またセクシーなお給料にも相当目がくらんで、当時「えげつなく」お金をもうけているという評判だった外資系の証券会社にいくことにしました。 あれから、8年。 5年間の証券会社での金融道場生活と、ハーバードで学びつつあるコア・カリキュラムとSocial Entrepreneurshipの知識をあわせれば、ちょっとは「戦える」スキルが身についているはずだと思っています。 だから、この夏は、僕にとってはリベンジの夏です。 8年前の夏は自分の無力さを噛み締めることしかできなかったけれど、今、国際協力の仕事でどこまで意味のある仕事ができるか。 この夏は二つのプロジェクトを渡り歩くことになりました。 一つ目は、IFC(世界銀行・国際金融公社)での6週間のインターン。 IFCは、途上国の企業にリスク・マネーを提供することで、その企業の成長を加速させ、ひいてはその国の民間セクター全体の振興に貢献し、経済成長と貧困の削減を目指す、という使命をもった組織です。 まさに、ビジネスマンならではの国際協力のやり方だと思います。 どんなプロジェクトが待ち受けているか、超楽しみ。 二つ目は、アフリカ・モザンビークの農家向けのマイクロファイナンス団体立ち上げプロジェクトを手伝う5週間。(ただし、このプロジェクトはUSAIDからのファンディングで運営される予定で、まだ正式にファンディングがつくかわからず、もしファンディングが出なければ中止になってしまいますが。。。) もしプロジェクトが実行されれば、現場での経験がつめるので、貴重な経験になりそうです。 二つとも、自分にとっては最高の舞台を得ることができたので、思いっきりチャレンジしてこようと思います。 インターン開始まで、あと、2ヶ月半。 しっかり準備をして臨もうという自分への気合入れの意味で、この文章を書きました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 31, 2007 06:01:11 AM
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