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カテゴリ:独立型漁師
去年の8月1日、ウルメ漁と曳縄漁を中心とした漁業長期研修が高知県土佐市宇佐漁港にて始まった。
しかしウルメが獲れない時期が延々と続き、曳縄漁もカツオの回遊があるため通年できるわけではない。 そんな中、ひたすらウルメ仕掛けを毎日作り続ける日々もあった。 海にウルメがいないのにその仕掛けを作り続けることの虚しさ、分かります? これから漁業研修に進みたいと考えている人が特によく理解しておく必要があるのは、指導者である漁師はインストラクターではないということだ。 つまり教え方をしらない。 自分たちが子供の頃から見て学んできたことを、同じように見て学べということだ。 いちばん良くないのは「いつ頃何の魚をどう獲るか」を1年という短期間で計画的に教えなければならないことを、指導者自身が正確に認識していないことだ。 いつどんな魚が獲れるかすら知らない研修生に「分からんことは聞け」などということ自体言語道断だ。分からないから聞けないのだ。「質問が来ないからこいつはやる気がない」などという私への評価を、指導者によって港全体に広められた時はさすがにもう続けられないと諦めかけた。 そんなやり方でど素人に漁業技術を習得するのは無理だ。 理解してないがゆえに様々な失敗をする。 失敗すると容赦ない怒号を指導者から浴びせられる事になる。このような制度では、折角漁師をやってみようと意欲を持って来てくれた研修生も途中で漁業研修をやめてしまうのではなかろうか? 思えば私の長期研修1年は長く辛いものだった。 一時期指導者不在となった時は最低だった。1年しか研修期間がないのに指導者なしで無駄に時間だけが過ぎていくのだ。県も漁協も新しい指導者を真面目に探してくれない。 結局は自分で漁師のコミュニティから指導者を探し、相変わらず怒鳴られながらも歯を食いしばって必死で漁業技術を学んだ時期もあった。 そんな辛い漁業長期研修も昨日終わった。 今日から1年間自立支援のための補助をもらいながら収益を上げられるように一人で腕を磨かねばならない。特に新子が良く釣れるこの時期は漁場が近くて非常に楽だが、魚を正確に見分ける能力を養わなければ収益は上げられない。特に分かりにくいのがマルソウダガツオとヒラソウダガツオだ。 最近は新子も大きくなってきたので特徴がはっきりしてきたため見分けがつくようになったが、ローソクと呼ばれるサイズでの見極めは困難を極めた。 10月以降はまた曳縄漁が始まり、春必死で学んだ曳縄漁とは異なる魚種が釣れることになる。 春はカツオ、ビンタ、ダルマが釣れ、ビンタとダルマの区別がつくようになるまでに時間を要した。 ある程度区別がつくようになったとは言え、未だに完全には分からない。 秋はおそらくカツオとヨコが釣れる。当然これ以外も釣れると思うが、指導者がいる長期研修中に経験できなかったため正確に魚種を判別する自信がない。長期研修期間中、指導者はそんな問題を研修生が抱えている事すら気付いてないない。ちゃんと必要な季節ごとの研修を受けて課題を解消して来ないと、不安だらけの自立支援期間を迎えることになるのだ。私は見事にその状況に陥った。 とにかく向こう2年は漁師をやめられない。途中でやめたらこれまで貰った補助金を返還せねばならない。もう漁師として自立することから逃げられないのだ。 これから始まる自立支援期間で経験する様々な課題を書き続けていくことにしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022年08月05日 05時14分05秒
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