「高知県で漁師になる」は本当に成功だったのか?
高知県で漁師になることを目的に移住してから1年2カ月が経過した。1年間の漁業長期研修は肉体的にも精神的にも厳しいものだった。おまけに研修終了後に私の父親の年に近い一部の先輩漁師から、執拗ないじめも受けた。曳縄漁師だけでは食えないという現実も痛感した。もちろん優しく接してくれる先輩漁師も大勢いる。本当にこの移住は成功だったのか?なんだかんだ言って今は単独で操業できているし、2年目にしては漁業収支トントンはまずまずだろう。出身の関東方面からもクライミング仲間が頻繁にボルダリング遠征がてら泊りに来てくれるし、高知でも数多くのクライミング仲間ができた。なにより高知県は外岩ボルダリングの聖地だ。居住地として選んだ土佐市は、漁港にも程よく近くて津波被害も受けにくい。なにより普段の買い物が便利で、それなりに自然も残っている。私はIT業界出身なので、漁師で食えなければリモートでITの仕事ができる。そうすれば漁業は趣味的な位置づけとなり、十分に食っていける状況になる。そう考えるとじじい達からのイジメもあまり苦にならない。この先、私の所属漁港では独立漁師の絶滅は確定している。危険なシビ漁でもしない限り、独立漁師だけで生活するのは先ず無理だからだ。漁協の再編もあるかもしれない。ただ、漁師は趣味と割り切ればそれすらも気にならない。総じていえばこの移住はまずまず成功だと言えるかもしれない。