魔法の真矛ちゃん(16)実夏
好きです春の雨。こんな日は心静かに過ごせそう。 (この上に目次がないときはこちらから)今回は実夏ちゃんが久々の登場です。―16―実夏 えっ? 塔哉くん?……知ってるわよ。不良だった人でしょ? あんな鈍い人、滅多にいないわ。あたしを追いかけて階段で落ちそうになったから、しょうがない、魔法で助けてやったのに、その事にぜーんぜん気がつかなくって。まるで自分がオリンピック選手になったみたいにあたしの前で威張っちゃって。その後もしばらくの間、みんなに自慢してたって聞いたわ。まるで馬鹿みたい。あとで真矛に相談して、あたし達を怖がらせてくれたお返しに、幻影でも見せてやろうって言ったんだけど、でも真矛、そういうのは良くないって。あたしもそうかなって思ったから、やめておいてあげたわ。あんな人にいつまでも、かまっていられないもの。中学に入ったばかりで、あたし達いろいろ忙しかったしね。でもね、本当に馬鹿なんだから、その塔哉ってひと。真矛にメールで告白したり、屋上に呼び出したりしたくせして、今度はあたしに、付き合ってくれって言いにきたのよ、信じられる?んもう、失礼しちゃうわッ。そりゃあ顔は悪くなかったけど、不良だってことより何よりそもそも魔法のセンスが無い人って、あたし駄目なの。え? 魔法のセンス?それは要するにね、魔法を見たときにそれが魔法だってことが直感できるかどうかってことよ。それってあたし達にとっては重要な問題なの。(つづく)この、春色ジュレパフェたのんでいいですか?