2021/03/26(金)06:13
「こうぎん」へ行ってくる・・・・
今から50年ほど前の出来事です。秋の夜長になるこの頃になると、毎年、母の「今からこうぎんへ行ってくる」という言葉をなぜか思い出すのです。こうぎんは多分、講銀と書くのではないかと思うのですが、近所の奥さんたち10人くらいが集まり、毎月、数千円のお金を拠出してまとまったお金を受取りたい月を申し出て、その月に受け取るというシステムでは
なかったかと思います。座元は10軒の家で持ち回る(講銀参加者が10人の場合)ことになっており、お菓子とお茶を出します。
(ひょっとしたらお菓子代は掛け金から出ていたかも知れません)
講銀はまとまったお金を手にするということだけが目的ではなく、両親、義父母、夫、子供たちのこと、地域のこと、日常の出来事のことなどの情報交換の場、また、時には悩みや愚痴を聞いて貰えるという奥さんたちの大切な社交場でもあったようです。母達の講銀はいつの頃から始まり、いつ最後を迎えたのかわかりませんが、「今から、こうぎんへ行ってくる」と言って出かける母の顔はどこか嬉しそうで、その声も弾んでいたことを記憶しています。昨年、亡くなった母、生きているときに「こうぎん」があの時代に果たしていた役割というものは何だったのか訊いておけばよかったなと、今、悔やんでいます。
※「こうぎん」は講銀と思っていましたが「講金」が正しいようです。