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週末ランナーのとっとこ歳時記

週末ランナーのとっとこ歳時記

2008/7/19-21 劔立山(工事中)

5年前から毎夏続けてきた北アルプス山行、今年は最後の未踏エリアである劔立山に出かけた。

ご存知のとおり、劔立山は標高2,450メートルもありながら黒部立山アルペンルートによって一般観光客も容易にアクセスできる室堂周辺と、特別な技術や用具を必要としない一般登山道としては屈指の難コースである劔岳へのルートがほとんど隣接と言っていいくらいに近くに存在するエリアである。

【7/18 大阪→富山、7/19 富山→室堂】
大阪から室堂へ行くにはJRや高速バスなど方法は色々あるが、コスト的にトータルでは大差がないため、体力温存のため富山に前泊することとして、金曜日仕事が終わった後、19時台のサンダーバードに乗る。3連休で帰省または旅行に行く人で列車は満員、でも山へ行くスタイルの人はあまり見かけなかった。

翌朝は6時半の直行バスで室堂へ。3連休の混雑を予想していたが、乗客は20人そこそこと空いていた。市街を抜けるとさっそく劔立山の山並みが前方に広がりはじめる。台風が近づいているようだが、まだ遠いこともあり天気は上々、少なくとも今日明日はもってほしいところである。

バスは有料道路に入ると一気に高度を稼ぎ、美女平から始まる立山の山裾のゆったりとした高原を標高2,450メートルの室堂めざして進んでゆく。このあたり室堂までのトレッキング・ルートも整備されているようだ。

室堂には9時前に到着、バスターミナルを出ると立山(雄山・大汝山・富士ノ折立)はもとより、反対側の大日岳・奥大日岳もしっかり見渡すことができ、目標の劔岳が、別山の稜線の先に黒々とした山頂付近の岩肌をのぞかせて、そこだけに少し異質な感じが漂う。

初めて訪れた室堂平は、よく紹介される写真のイメージから広々とした平坦な土地をイメージしていたが、山際のせいかさほど広い感じはせず、アップダウンのある地形の中にみくりが池やら硫黄臭い地獄谷の噴煙やらが箱庭のように詰め込まれて変化があった。そして観光客が行き交う辺りでもまだ結構雪が残っていた。

みくりが池
<みくりが池>

【室堂~雷鳥沢~別山乗越(劔御前小舎)~劔沢~剣山荘】

室堂から雷鳥沢まで1時間もかからない道のりであるが、雷鳥沢から先は登山の領域となる。称名川を渡るとすぐに雷鳥坂にかかるが、ほとんどが雪渓の急な登りであり、雪の反射光がまぶしい。今回うっかりしてサングラスを忘れたので、この先残雪が多いと雪目にならないか少し心配。

11時過ぎ劔御前小舎に到着。地図では雷鳥沢から1時間50分の登りとされていたが、雪渓の直登が多かったせいか1時間ほどしかかからなかった。ここからは劔御前の雪の斜面越しに劔岳の東の稜線を望むことができる。多くの人が休息中、私も軽く食事をした後劔沢への道を下り始める。

劔御前小舎からの風景
<劔御前越しの劔岳>

雪渓の下りは表面の雪が溶けて滑りやすくなっており何度か無様に転ぶが、いくら雪の上とはいえ谷底まで行ってしまうと大変なことになりそうなのでちょっと冷や冷やしながら進んでゆく。この辺りチングルマやハクサンイチゲなどの白色系の花がよく咲いており、青空の下で涼しげなお花畑が広がっている。

お花畑

道を進むにつれて劔岳の全貌が見えてくるが、山頂付近の急峻な岩場を見ているとやはり簡単には登れそうな気がしない。これまで登った北アルプスの山々と比べるとやはり異質な感じである。

12時に劔沢に着き、さて劔沢小屋か剣山荘のどちらに今宵の宿を求めるか。混雑は覚悟の上なので、どうせ混むのであれば、劔岳により近く、また新築されたばかりの剣山荘の方がよかろうと劔沢を後に先に進む。

劔沢を望む

剣山荘で混雑具合を聞いてみると、ふとん1枚に2人になるかもしれませんね、とのことで、そうならないことを祈りながら割り当てられた部屋へ入ると、すでにふとんが敷き詰められ、お休み中の先客が数人。とりあえず自分の場所を確保して、ちょっと早いかと思ったがシャワーへ行く。山小屋にシャワーがあると聞いて半信半疑であったが、きれいなシャワールームで、お湯もしっかり出て気持ちがよかった。そしてシャワーの後は早々とビールを飲み、まだ大した仕事もしないうちに、すっかりリゾート気分になる。

長い午後については特に書くべきことはない。時間が経つにつれ人が増えてきて部屋も混み始めたが、最終的にふとん2枚に3人の線で落ち着きやれやれ。ただ、明日の劔岳への道のりは大渋滞になりそうなので、とにかく早く出ないと。

【7/20 剣山荘~劔岳~剣山荘~別山乗越(劔御前小舎)~雷鳥沢】

3時頃から人が動き始めたが、当然まだ暗いので、4時に起き出す。朝食弁当を食べた後、うっすら明るくなった4時半過ぎに山荘を後に別山尾根の登山道を登り始める。天気は曇りだが、向かいの別山の尾根が見えていたのでこの時点ではやがて良くなるだろうと考えていた。トレラン用のグレゴリー・ルーファスをサブザックとして持ってきていたが、フィット感は抜群によいものの、あまり荷物は入らないため、雨具は上のみとして、あとは地図、水そして行動食の最低限の装備とした。

剣山荘のすぐ裏にいやな感じの雪渓があり、それを超えると一服劔まで急登が続く。天気は回復する気配もなく、ついに小雨が降り始め、雨具を身に着ける。下半身はマラソンのときと同じCW-Xのロングタイプの上にポリエステルの厚めランニングパンツであるが、大きめの雨具のパンツをはくよりも足が動かしやすいうえ、速乾性があるのでさほど不快感はないが、スパッツを着けなかったので、靴の中に雨水が入り始める。

一服劔に着いても眺望は全く開けない。本来なら前劔が目の前にどんとそびえるはずであるが、ガスで何も見えない。ガレ場を通って前劔の直下、大岩のところで最初の鎖場となるが、支点の岩に亀裂が生じているので鎖を使わないように、との注意書き。岩を掴みながら何とか登れたのでやれやれであったが、ここからが気を抜けない難所の始まりとなる。浮石の多いガレ場は自分の足元に神経を使うと同時に、上からの落石にも注意が必要で、特に今日は人が多いため、全く気を抜けない。

前劔の頂上の先に金属製の幅30センチほどの一本橋があり、渡り始めたとたんに谷から冷たく強い風が吹き上げてきてヒヤっとする。その先、一部に安定した稜線はあるものの、鎖場の連続となる。鎖場毎にステンレスのナンバー・プレートが埋め込まれ、それは登山路がよく整備がされている証左ともいえなくはないが、切れ落ちた谷が真下の登下降やトラバース(回り込み)に当然ながら安全ネットなどはなく、おまけに岩や鎖、ピンは雨で滑りやすくなっており、三点確保を強く意識して慎重すぎるくらいに慎重に進む。

この天候の下では、たぶんもっと空いていればあるいは引き返すことを考えたかもしれないと思うが、人が多いせいというか、そのおかげで引き返すに引き返せず(登山路と下山路が一部分かれており、一方通行になっている)、また先の人の動き方で足掛かりのヒントも得られるので、さほど不安を感じることはなかった。ただ、ペースと性格の違う見知らぬ人たちと接近して難所を進むのは結構ストレスがあり、すぐ前のおやじがまだその前の人が次の支点の先へ進んでいない鎖を平気で掴んだり(これはNG)、後ろのおやじが後向きで下るべきところを平気で前向きで下ってきたりして(早く行けとプレッシャーをかけてきているようだが前はつかえている)、アンタ滑ってもオレは確保せえへんよ、と怒鳴りたい気持ちを抑える場面も少なからずあった。

天気が良ければ、山頂に連なる岩稜が一望できるのかもしれないが、辺りは深いガスに包まれ、風、雨ともに吹き付けて、目の前の難所しか見えない。ガスの向こうから次々現れる難所をひとつずつクリアして、ついに山頂直下の有名なカニのタテバイにたどり着く。ここで大渋滞となり、取り付くまで20分近く待つことになったが、雪渓の上であることに加え、風もあったので、寒さに震えが出てくる。

人出が多いのは確かだが、ここでの渋滞の原因はペースの違い。夫婦連れの奥さんの方がピンや足掛かりの間隔をうまくつかめず、しばしば立ち往生し、だんなが、お前の短い足でも十分とどく!、と大声で足掛かりを教えており、それはそれで微笑ましい光景と言えなくもないのだが、寒さに震える身にとっては、はよせいや、とついイラついてしまう。自分の番がようやくきて、確かにこれはきびしいかもね、と思いながら、最後はやっとのことでよじ登る。

ここからスメアゴル状態で(でもそれほどすばやくなく)、ヘロヘロの四つんばいで頂上までのガレ場を登り、出発から3時間かかって7時45分ようやく山頂に到着。

劔山頂
<劔岳往復で写真はこれ1枚きり...>

山頂は雨、風ともひときわで、荒れ狂うというほどではないものの、長く留まる気持ちを失わせるには十分な状況で、写真を撮ってもらった後はすぐに下山にかかる。何しろ下りのこわい劔岳であり、まだカニのヨコバイをはじめ、難所がいくつも残っている。

カニのヨコバイ最初の一歩、これは本当にこわかった。しっかりした鎖はついているものの、左足でおそるおそる足掛かりを探ってもはじめは何もない。濡れた岩のわずかな足掛かりに右足をかけ、両手で鎖をしっかり握り締め、思い切って体を断崖に沿って降下させると、何とか岩の窪みに左足のつま先が掛かる。この先は平行移動するだけで、最後に長いハシゴを下りてカニのヨコバイ無事通過。

この先も登りと同様に鎖場が続いて気が抜けず、また浮石の多いガレ場の下りは結構堪え、一度派手に滑って背中を打ちつけたりしたが、それ以外は大きなトラブルなく下山に成功。往路でいやな感じがした剣山荘裏の雪渓を見たときにはやれやれ無事戻ってくることができたと安心さえした。剣山荘に着いたのは11時前で、ほぼ6時間を要したことになる。

剣山荘に戻って荷物を整理し、昼食の後、室堂へ向けて出発。劔沢を通らず直接別山乗越へ出るルートを通るが、雪渓の登りが続き、あまり夏山という気がしない。

雪の階段
<雪の階段>

13時、剣山荘から1時間ほどで劔御前小舎の前に出て、ここから先は雷鳥坂ではなくお花畑が期待できそうな大日岳方面への登山道を通り、新室堂乗越から雷鳥沢へ下るルートを選択。予想通りこちらの道は白色系の花を中心に美しいお花畑となっている。昨日のような好天よりも、ガスが出ている今日の天気の方が高山植物らしいというか色鮮やかでより美しい。

新室乗越方面のお花畑

写真を撮りながらお花畑の中のつづれ折りの下りをゆっくり歩き、新室堂乗越の手前で踏み跡がない広い雪渓を少し不安を感じながら渡る。そして新室堂乗越を左に曲がって雷鳥沢へ下り、最後は斜度のきつい雪渓と出会い、ちょっとコワい感じがしたが、ズルズルと滑りながらも谷底の雷鳥沢に無事到着。

雷鳥
<雷鳥:よほど近づかないかぎり逃げない>









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