2005/05/16(月)22:41
着物でリスナー・・・香道にチャレンジ その2
東京都庭園美術館のお茶室が遊香会(香教室)の会場です。 受付で「源氏香香之図」というプリントを渡されました。 NISHIURA STYLEで一度、香遊びをしたことのあるという同席した友人に尋ねる。
わたし「ねぇ、ねぇ、どういうルールなの?」
友人「えーっと・・・」
というわけで、一抹の不安を抱きつつ、お茶室に入ります。
参加者は22名。 お香を立てて下さる方は、色無地姿が美しい女性たち。 亭主が参加者の緊張をほぐすかの様に、ルールや香道の趣きや歴史を、親しみやすい雰囲気で説明して下さる。 香道が馴染みの薄い嗜みである理由の一つに、茶道以上に趣味・教養としてはお金がとってもかかるとのことのお話があったり。 ちょっと茶道をかじっているわたし。 それだけでも、いろいろ大変と思っている。 ましてや、母に関しては、それなりの年月とそれなりのモノが「準教授」のお免状を頂くまでかかっていたのを、傍目で見ていたわたし。 「茶道以上に、大変なんて…」と心の中で「はぁ~」とため息。 亭主が今まで見た中で、最も高価な香木は、ほんの数ミリで二億円だったとのこと。 正倉院香木の「蘭奢待」の記事は本で読んだことがあるけれど…。 それなんて、一体どうなちゃうんでしょうか?
香りを「かぐ」ことを香道の世界では「聞く」といいます。 香りを聞くにあたって、参加者は2グループに分かれました。 各グループの正客から順に香炉がまわされます。 5つの香を順番に聞きます。 香炉を左手で支え持ち、右手で蓋のように香炉に蓋をして、その間から香りを聞く。 1つの香りを3回聞く。 静かな気持ちで、精神を研ぎ澄ませて。 瞑想のように、気持ちがゆったりとします。 香炉は程よく暖かく、ほんわかした気持ちになります。
各香りを憶えていきます。 5つの香炉の中で同じ香りがあるか聞き分けます。 何番目と何番目であるか記録します。 2つ以上の複数個が同じ香りの場合もあれば、5つとも異なる香りの場合もあります。 自分の推察を源氏香之図の形で和紙の上に書き表します。 その形それぞれに源氏物語に因んだ名前がついています。
友人がわたしに
「どれだと思う?」と尋ねる。
初心者のくせして、妙に自信があって、尚且つ、こういう時は子供っぽく、負けん気の強いわたし。
「いやだ、教えたくないもん…」と。
友人は「幻(1番目と5番目が同じ香り)」自分の推察という。 わたしの推察は1番目と3番目が同じ香り、すなわち「花の宴」が答え。 うーむ。
全員が聞き終わると、一枚の和紙に各人の推察が記されて、回覧されます。 皆さんの推察は、ばらばらです。 そして亭主から、お答えが発表。
「乙女(3番目と5番目が同じ香り)です。」
笑っちゃうぐらい、大ハズレ。 なんだか、お遊びだからこそ、愉快な気持ち。 正解された方へは、賞賛の気持ち。 「難しいね」という会話が聞こえます。 けれど、皆さん、悔しがっているとか、むきになってとか、そんな気持ちはさらさらなくて、不思議な一体感がお部屋に、広がっています。 香道という世界を通じて、心静かに、香りと対話、また、自分自身とも対話したもの同士が、時間と空間を共有した和みのようなもの。
着物を着て楽しめる、素敵な和の嗜み。 そのほんのほんの少しだけれど、触れることのできた、心晴れやかな五月の一日でした。