2009/11/02(月)01:35
だらだらと典型元素をおしまいにする
全く、20年ぶりに教科書を見てみれば、12族、亜鉛、カドミウム、水銀が典型元素ときたもんだ。私のときは遷移元素だったぞ。
遷移元素とは・・・電子が4s軌道ではなく内殻の3d軌道に入っていく元素
典型元素とは・・・電子が最外殻に入っていく元素
と定義するなら。間違いなく亜鉛は典型元素である。
価電子は2個。4s軌道に2個ある電子が離れて2価の陽イオンになる。間違いない。
亜鉛は典型元素だ。
うーん。高校生のときに「なぜ亜鉛は典型元素ではないのですか」
と先生に聞いた覚えがある。
答えは
「亜鉛は多様な錯体を作る。多様な錯体を作るのは遷移金属の性質だから」
と教わった覚えがある。
つまり、亜鉛は典型元素だが、12族で3-11族の遷移元素の性質に近いものも持っているということだね。手持ちの基礎無機化学のテキストには亜鉛は遷移元素のページ載っていて、「典型元素である」と書いてあった。なんじゃらほい。
テトラヒドロキソ亜鉛酸イオンはzincateだから”酸”
テトラアンミン亜鉛イオンは亜鉛だよ。
やっぱり錯体はそろそろやらないとまずいんじゃない?
典型元素は14族のスズと鉛で〆になる。
どちらもやや非金属性があるが、金属であるという典型元素なので、これも14族ごと縦に押さえる。でもエロゴロは封印。
同じ14族でも周期表の上にあるスズは非金属性が強く、+2、+4のどちらにもなりうるが、+4のイオンになる傾向が強い。
鉛は金属性が強く+2のイオンになりやすい。
これで、塩化スズ(II)が還元剤っていうこともできるかな。
あー、工業的製法! 調べなくちゃ。
一応ヤング率のデータとモース硬度のデータを揃えておいて、スズの特徴である「もろい」、鉛の特徴である「やわらかい」を数値で確認する。
あとは・・・スズといえばブリキ、亜鉛といえばトタンの復習。スズは鉄よりもイオン化傾向が小さいから、傷がつくと鉄が腐食される。亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きいから傷がつくと亜鉛が腐食される。局部電池と金属のイオン化傾向をもう一度ついでにやっておく。
鉛といえば鉛蓄電池。希硫酸中では不溶性の硫酸鉛を生じることは必須だな。不動態ももう一度やっておくか。
用途って用途は触媒と還元剤だよ。有機合成に塩化スズは便利な還元剤だ。鉛は錘とバッテリーくらいだよね。
遷移元素をやる際には、遷移元素の性質をおさえないといけない。
即ち
☆最外殻の電子は1個か2個。原子番号が増えるたびに第4周期ならN殻ではなくM殻の3d軌道に電子が入っていく。
これが遷移元素の性質を決める最も重要なポイントである。
だから、イオンになるときに、必ずしも最外殻の電子がとれるとは限らない。内殻の電子も取れることがある。
この性質があるからこそ
☆さまざまな価数のイオンになることがある。
☆元素の性質は族よりも横となりのほうが似ている。
また、d軌道からd軌道に電子が動くことがあるから
☆遷移元素のイオンは色がついていることが多い。
即ち、d-d遷移があるから可視光部分で見えるようなエネルギー遷移が起こるということ。
やわらかい酸、かたい酸、やわらかい塩基、かたい塩基は理解するのに時間がかからない割に錯体の傾向を知るのには便利な知識だ。一応周期表をいろぬりする程度にやってみるか。問題は塩基じゃなくて酸のほうなんだよなあ。まあ、ぶっちゃけやわらかい酸はヨウ化物イオンくらいか。これ、一覧表を作っておかないといざというときに書けないよな。
今気がついた。彼ら、電子軌道を去年習っているんだろうか?それってかなりの問題じゃない?d-d遷移なんていわれても軌道を知らなかったらお経だよ。
さらに。非共有電子対を知らずに錯体を教えるのはきついよなあ。つまり、未履修である電子式を教えないとまずいということ。電子式、知らないっていってたぞ。そして、こないだ軽く教えたらきつかったみたいだぞ。
最初のクラスは・・・大変なことになるぞ