鳥はるの贅沢
久しぶりに「鳥はる」に行ってまいりました。かれこれ6,7年前から各季節ごとに通っているこのお店。都立大学駅前から歩いてすぐの小さなお店は、どうみても外見は焼鳥屋さんです。しかしながら、カウンターのみのこのお店に入ると、誰一人として焼鳥を食しているヒトはいません。どのお客さんもなにも注文していないのに、どんどんお料理が出てくる不思議なお店です。 もし焼き鳥を食べているヒトがいるとしたら、それは不幸な一見さんなのですね。毎回季節ごとに訪れますが、そのときどきの季節感たっぷりの魚介類や珍しいお野菜料理が楽しめます。お酒が進んでそりゃ大変です。ちなみに今回は、鱧の皮ときゅうりを刻んだ和え物、いちじくの煮浸し、酒盗ににんにくの花(花びらを噛むとニンニク臭がスゴイ)などを盛り合わせた一皿から始まり、夏野菜の煮物。これはフルーツ・ポンチ?と思うほど、色鮮やかな夏野菜がま~るく面取りされて柔らかく炊かれ、涼やかなガラス鉢に盛られておすまししています。北海道のナントカかぼちゃという夏だけ採れるかぼちゃにうに・貝柱を詰めて揚げ、あんかけをあわせた夏のお楽しみあんかけ揚げ団子。夏の太陽をふんだんに閉じ込めた夏野菜や北海道の魚介は甘みがあって、滋味深い有難い美味しさです。思わず合掌してしまいます。ハイ。次はナントカというこれまた期間限定で獲れるカレイのお刺身。そしてお料理は延々と続きます。ストップ!といわないと永遠にカウンターからお料理が出てきます。そのあとは大豆の風味が甘く柔らかいオヤジさん手作りのお豆腐。本当に柔らかくて味噌の風味が香ばしい鮑の田楽味噌焼き。お次は天草で獲れた鱧の梅肉添え。鱧って天草で獲れるのが本当の鱧なんですね~。京都の鱧って印象が強く、関西で獲れるお魚かと思っていました。しかも見せてもらった天然の鱧はうなぎ?と思うほどの大きさ。知らないことだらけです。それから天然鰻の白焼きと蒲焼。このあたりで、日本酒をしこたまのんでいる私は、ギブアップの白旗をあげそうになります。いかんいかん、この後のトロトロステーキと手打ちうどんだけは必ずいただかなければ。。。ということで、天然鰻の焼きは少しだけ頂き、あとはヤセの大食いのグルメ友人に託します。頼もしい彼女は、最近仕事で結構大変なことがあり、そのストレスを食にぶつけてくれて、有難い天然鰻はきれいに食されました。カウンターのみの小さいお店には、このオヤジさんと奥さんの創る、極めたお料理に惚れ込んだ常連さんでいつも満席。食の美味しさに感嘆しているうちに、いつの間にかカウンターのほかのお客さんと仲良しになってしまいます。口の中で溶けてしまいそうな、上等なステーキを「まつのは昆布」をつけながら頂き、もうだめ!といいながらも、最後の冷たい稲庭うどんだけは必ずいただいて、鳥はるでの夜は今日も更けていくのです。あっという間の3時間半。今日も大変美味しく楽しい今宵で大満足でした。