000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【ログイン】

読書のスるメ

2012年07月09日
XML
カテゴリ:連載小説

第十一話、唾棄すべき存在(かみ)。



「おほほほ。皆さま方、ご機嫌麗(うるわ)しゅう」

唐突。
ヒーロー制作研究所のインターホンが、けたたましく鳴らされる。
この声、この台詞。これは、あのアホ……、しかいない。
ミン・ミンだ!

「よう。元気か。こころの友よ」

インターホン越しに、沈んだ声が、聞こえる。
ナオっちだ。俺は、お前だけは許せる。
確かにこころの友だ。

「わたくしたちの信じるマンは、三人揃いましたわ」

なんと! あっちも三人になったのか!?
一体、どんなメンバー構成なんだ? ほんのちょっと気になる。
だって、こっちは、赤ちゃんに動物のネコなんだからな。
赤ちゃんなのにブルーだし。
余談だけど。

「そちらはどうですの。相変わらず御一人さまだけですか。おほほほ」

「ミン! ミン! 今は、お前に構っているヒマはないアル」

「やはり、図星ですの」

「うるさいアルよ。私たちも三人になったアル。だから、なにアルか?」

「おほほほ。強がりは、およしになって」

「死ねアル」

キム・キムは、そう言うとインターホンを、ダーン! と荒々しく切った。
再び鳴るインターホン。キンコンカンコンと耳をつんざくように。
キム・キムは、切れた。いや、万年切れているか。
このキレキレ女は。

キム・キムからキレ・キレに改名しろ。

「しつこいアル。死ぬヨロシ」

キム・キムが、ズバッと、ミン・ミンに言う。
キム・キムのズッバッと言うわよだ。
なんなんだ。この二人は。

「僕が、殺してきましゅ。信じるマンの力を使えば、簡単に殺れるでちゅ」

27号が、凶悪な目つきになり、殺意をバリバリと全面に出した。
いや、それはやりすぎ。……というか信じるマンは正義の味方じゃないの?
それだけが、俺の最後の砦(プライド)なんだ。
頼むから、悪っぽくしないで。
悪で、変態って最悪。
悪だけに。

「でちゅぅぅう!」

27号は、ほ、本気で殺るきだ。
27号は完全体になった。
やめてぇ~。

「ボンジュール(※訳、いくでちゅよ)」

というか、嫌なんだよ。俺は信じるマンになるのが。
でも、俺自身、生真面目なんだろうな。
俺は、信じるマンに変態した。

いや、もう変身したというより変態したと言った方がしっくりくるだろう。

俺も信じるマンになり、暴走する27号を止めようと思ったのだ。
本当に俺は、“ど”が、つくほどのアホかもしれない。
27号なんて、暴走させておけばいいのに。

「マドモアゼル? (※訳、邪魔するのでちゅうか?)」

「ボンジュール! (※訳、当たり前だろ。殺すのはやり過ぎだ!)」

というかボンジュールとマドモアゼルで、会話が成り立つのが腹立たしい。
すごく嫌だ。死にたい。もう死にたいです。はい。
それでも、俺は、27号の前に立ち続けた。
やっぱり生真面目だわ。
俺って。

「アンデュ、マドモアゼル! (※訳、じゃ、レッドから倒すでちゅ!)」

27号の殺意は、俺に向けられた。
ちょっと待ってよ。
ありなの?

モハメドじゃないよ。って、そんな事、言ってる場合じゃない。

27号は、完全体で俺に牙をむいたのだから。
ここは、俺も完全体になって、倒すしか道が残っていない。
幸い、ここには人もいない事だし。
俺は本気になった。

「止めるアル。ミン・ミンみたいなアホの為に喧嘩はよすヨロシ」

俺と27号が、にらみ合っていたのを見かねて、キム・キムが制してきた。
今回だけ、今だけは、超絶ナイスだ。キム・キム。
27号は、納得したようだ。

でも27号は、キム・キムに甘いな。

なんで、こんなにこの自己中キレキレ女のいう事を聞くのだろう。
俺には、そこが、不思議でしょうがなかった。
なにか弱みでも握られて……。

「フッ。じゃ、俺が話をつけてきてやろう。こういうのは得意だ」

毛のないネコ。ジョーが、格好をつけて言う。
でもお前、変身したら独楽だから。そこんとこ大丈夫か?
ちゃんと計算してるか?

「マドモアゼル。アンデュ! (※訳、うるさいでちゅ。邪魔でちゅ!)」

27号は、ジョーの言葉で、完全に本気になってしまったようだ。
というか、お前、赤ん坊のくせにやけに好戦的だな。
そんな27号を尻目にジョーも変態した。
そして、ふらふらと独楽になり。

「ボ。ボンジュール(※訳。フッ。俺に捨てるモノはもうない)」

というか、三人揃って、変身してしまった。
と、突然光り出す、俺の体。
な、なんだ!?

「説明するアル。戦隊ヒーロー信じるマンの心が一つになった、その時!」

いや、一つになってないから。ただ三人揃って、変身しただけだから。
むしろ今は、ばらばらだから。皆が、皆の思惑があってだな。
本当にばらばらだから。そうなんだから。
分かってよ。頼むからさ。
それこそ信じてよ。

「信じるマンは、スーパー信じるマンになるアル。そのパワーは千倍アル」

今度は、千倍ときたか。
そのスーパー信じるマンとは、どれだけのパワーなんだ?
というか、昔、見た戦隊ヒーローモノでもあったな。
亜空空間が、なんとかとか。そんな感じ。

というか五人揃ってないのに、そんなところだけは、充実してるんだな。

「イライラさせますわね。客人をいつまで待たせるつもりですの」

インターホン越しに、ミン・ミンが、怒りつつ、無理矢理、優雅に言った。
隣には、きっとナオっちが、いるんだろう。その他、二人と。
ナオっちの泣き顔が、容易に想像できる。

だって、コイツら本当にあり得ないもんな。
嗚呼(ああ)、こころの友よ。
これが、本音だ。

「ボンジュール。ボ、ボ、(※訳、今、行ってやるでちゅ。殺す。殺す)」

「マドモアゼル(※訳、だから待ってって)」

俺は、27号の前に立ちはだかる。
その前をジョーが横切り、玄関へと向かって行った。
なんとかフランスパンを落ち着かせ、己の四肢で、地面に立ったようだ。

独楽は、克服したようだ。

……そうだな。
今は、ジョーに任せよう。
それが一番平和的に、この状況を乗り切れるパターンだろう。
そして、ジョーは、ゆっくりと玄関を開けた。

「ボン! ジュール!(※訳、お前! 僕の邪魔をするのでちゅか!)」

完全体になっているのも、お構いなしに俺は必死で27号を制止している。
というか、フリチンの男二人が、相撲をとっている姿って。
しかも相手は、赤ん坊。

俺は、一体、ここで何をしているんだ。

死のう。……もう死のう。俺には、それしかない。
それしか残されていないんだ。
もう、悟ったよ。

「ボンジュール。皆の衆」

と、ジョーが言う。
というか……あれ? 皆の衆?
なんで、ジョーは、普通の言葉をしゃべっているんだ。
信じるマンって、ボンジュールとマドモアゼルくらいしか話せないんじゃ?

「フッ。俺は、真実を知っていたのさ」

……って、なにを?
真実って?
なに?

「信じる事で、普通にしゃべれるようになる事を」

そうなの?
いや、というかジョーは、普通にしゃべっているからそうなんだろう。
ていうか、今までの苦労は!?

というかキム・キム!

超信じるマンとか、そんな説明はまったく全然いいから!
なんでそんな大切な事を、黙っていたんだ!!

騙された!

試しに、俺は、しゃべれると信じてみた。
言葉は、……そうだな。
これしかない!!

「キム・キム! さっさとこの変態体質、信じるマンを治せ」

あ。出た。本当だ。あっけないぞ。
でも一番、新参者のジョーが、なんで、そんな事を知っているんだ。
お前、キム・キムから話せるって、聞いていたのか?

「フッ。俺は見ていたのさ。ある事実を」

なにをさ? ……なにを?
なにを見てたのさ?
……?

「ナオっちとマコっちが、普通にしゃべっているところをだ」

え?
俺たち、普通にしゃべっていた?
本当に? 俺は、自分の記憶を必死で、思い出してみた。

> 「お前もか」
>
> ナオっちが、言った。
> そして、俺は、シクシクと泣きながら、ナオっちに答える。
> だって、変態、確定だもの。なんで、俺が、と。
>
> 「ああ。でも鹿の角の方が羨ましいよ。直接的じゃない」
>
> すると、ナオっちは、俺に答える。
> こっちも変態確定だと。
> お手上げ。
>
> 「俺は、フランスパンの方が、羨ましい。だって、たくましいもの」
>
> 「確かに鹿の角は、貧相だな。どうせ変態だったら……」

あ。本当だ。自分でも気づかなかった。でもこれでしゃべるようになった。
信じるマン体質が、一つ治ったような気がする。
良かった。良かった。
と、唐突!

キム・キムが誰かを見下した。

「ペッ。物忘れが激しい適当人間アル。誰の事をとは言わないアルが」

と唾棄(だき)しつつ。
多分、彼女が見下したのは、作者(四草めぐる)だろう。
って、この世に作者って、いるのか?

「キム・キム!? 誰になにを言ってんだ!?」

俺は、大体の目星はついていた。
だけど、それを言っちゃ、このお話も終わりじゃないのかな?
間違っている? 俺、なにか間違っている?

「こっちの話アル。忘れるヨロシ」

「ああ。そうか」

俺は、なぜだか強く、素直に、納得しなくては、ならない気分になった。
世の中、そんな事柄もあろうと。そっとしておいてやろうと。
彼を。そう作者の彼を。

その間も27号は、ボンジュール! ボンジュール! と繰り返していた。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

↑27号の事を言っていますw

http://www.woofoo.net/

↑で、ここで販売していますw






最終更新日  2012年07月28日 22時58分47秒
コメント(0) | コメントを書く

Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.