素浪人ブログ

2009/05/28(木)10:52

死刑囚の訴えに和解金

事件簿(273)

 死刑囚が国を訴えた裁判のニュース。     不思議な思いのする裁判があった。死刑囚が訴えた裁判だった。名古屋拘置所収容中の死刑囚が、拘置所の、収容者に対する健康管理の不手際で失明したとして、拘置所を、いわゆる国を訴え、損害賠償を求めた裁判だ。  糖尿病の合併症で失明したと死刑囚は訴えるが、その裁判の問題は別にして、死刑囚の権利が気になる裁判である。死刑囚でも死刑執行までは生きる権利があり、法の下の権利を主張する。  死刑囚の権利を承知するが、気になるのは、死刑囚と言う身分になった時点で、その命は国のものになったという錯覚があるかも知れないという事だ。どうせ死刑になる思いが、死刑囚の健康管理を疎かにすると思われかねない。  死刑囚と一般の受刑者には、管理する側にとって同じはずだが、管理する側の死刑囚に対する感情的な問題は如何ともし難いものももあるだろう。死刑囚は国のお客さんと、面白い表現をした刑務官がいたが、一般の受刑者と同じには扱い難いものがあるだろう。  国に対する1100万円の損害賠償訴訟は和解協議で、国が解決金400万円を支払うことで決着したと言う。死刑囚代理人は、「国が落ち度を認めた勝訴だ」とコメントしている。  考えるのは、解決金の意味である。死刑囚に支払われても使う機会もなく、意味もないような気もするし、死刑執行後は家族に渡されるかもしれないが、それでも、何か違和感のある損害賠償、いや和解金だ。    事件は、フィリピンで起きた、二件の殺人事件だと言う。保険金目的で男性二人が殺害された事件だと言う。そして、死刑が確定した。    その死刑囚が右目の異常を訴え、委託眼科医の診察を受け、「糖尿病網膜症」と診断されたが、拘置所は適切な治療処置をしなかった。その結果、右目は失明し、左目の視力も0・1程度となった。  収容者の健康管理は当然である。死刑囚も死刑執行までは全ての権利が認められる。死刑囚の人権である。殺された二人の人間の人権と殺した死刑囚の人権などと話は飛躍するが、死刑囚の問題では、いつでも付いて回る被害者の人権だ。    死刑囚への損害賠償の意味は、どんなものだろう。損害賠償でも和解金でも関係なく、死刑囚に支払われる国の責任に対する支払金の意味はどんなものだろう。死刑囚に賠償金を支払う意味である。

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