素浪人ブログ

2009/06/23(火)11:55

沖縄「慰霊の日」考

風の詩(447)

6月23日は沖縄にとっては特別の日である。沖縄の終戦の日でもあるが、公文書的というか、教科書的というか、よく耳にする文言に従えば、日本軍の組織的戦闘が終わった日である。少し詳しく戦争を検証するような事実から言うと、32軍牛島中将と長参謀長の自決によって、日本軍が敗北を宣言して壊滅した日である。しかし、沖縄の悲しさは、その後も戦闘は続いたことであり、多くの悲劇が起きた個々とである。  しかし、6月23日は、沖縄戦の終わった日には違いない。そして、今年もまた、終戦から64年後の今年もまた、6月23日がやってきた。その日は、一般的な日本社会では、普通の日であるが、沖縄では「慰霊の日」で、特別の日である。住民の4分の1が死んだ沖縄戦、「この世のあらゆる地獄を集めた地獄」と、アメリカ軍の記録員に記録させた沖縄戦の終結した日である。  沖縄県は県民が世界に向けて「平和の心」を発信する日だと位置づける。そして、牛島中将と長参謀長の自決した最後の激戦地糸満市摩文仁で、麻生首相、河野衆議院議長、江田参議院議長が参列しての沖縄全戦没者追悼式が行われる。沖縄各地で、多くの慰霊碑の前で、遺族や同窓生などによる慰霊祭が開かれる。  6月23日は沖縄戦の「慰霊の日」だが、沖縄出身の友はいつでも冷ややかだ。反骨精神の権化のくせに、時には日和見的な処世術を発揮し、複雑怪奇名、最大の褒め言葉で自由奔放な生き方をする、沖縄の友人は、お祭りなったと吐き捨てる。日本政府要人は参加すべきではないと彼は言う。政府要人が参加すべき記念日は他にあるという。その日がいつかは、明確に言わないが、日本軍の代表がアメリカ軍の代表と終戦調印を交わしたという、9月7日が念頭になるようだ。しかし、その日は、歴史上、それほど意味を持たないようだ。  彼が認めるのは、小学生の詩である。明らかに構成したであろう大人の意思、先生の意思が感じられる詩もあったが、子供たちの詩は、素晴らしいと言う。滅多に他人を褒めることのない男だけに、価値もありそうだが、彼には迂闊に賛同しないのが、彼との付き合いで得た対処法であるから、私は時に意見は言わない。    他のイベントもあった。   22日南城市で、平和への願いを込めた「世界一大きな絵」をつくろうというイベントがあった。製作者は幼稚園児である。縦1メートルに幅5メートルの布12枚に参加した430人の園児が自由に絵を描いた。それを保護者が縫い合わせ、縦6メートル幅10メートルの絵が完成した。  宗教や人種を超え、1枚の絵を完成させることで、共通の喜びを分かち合い、平和への意識を育てようとNPO法人アース・アイデンティティ・プロジェクトが、96年から、広島、長崎のほか、タイや中国など各国で開催してきたという。沖縄でははじめてだが、園児が描くには重過ぎる議題だ。そんなことは、兎に角、重すぎる議題を園児たちは自由な発想でクリアした。さらに、2012年には、それまで世界の各地で描かれた絵を一つに縫い合わせ、「世界一大きな絵」を完成させる予定だという。  もう直ぐ、6月23日12時になる。  12時からテレビで沖縄の慰霊祭の模様が中継される。

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