フロリダより、愛を込めて! 全盲の娘の子育て日記。

3. 義眼を入れる為の、第一歩。


3. 義眼を入れる為の、第一歩。                               
(義眼をいれる為に、目のスペースを大きくする方法は様々あるようです。これからお話するのは、娘の受けた方法です。現在は殆どシリコンは使われておらず、アメリカでも透明なプラスチックのコンフォーマーを入れて、根気良くスペースの広がりを待つようです。私の知り合いの4歳の息子さんも、今でも義眼ではなく透明なコンフォーマーを入れています。娘は、10代後半に顔の発育が終わった時点で、細部の形成手術を受ける可能性もありますが、今は自然に成長するのを見守っています。 義眼の形ですが、小眼球の場合、大半は厚いコンタクトレンズのような形ですが、無眼球の子供の場合は、目の中が空洞ですから、フットボールのように裏側にも厚みがあるものもあります。幅が狭く奥行きが深くて最初から釣鐘のような形の義眼を入れ始めた子供もいます。ちなみにアメリカでは、眼科の先生方と義眼師の方々は対等の立場で意見を交換しあってチームを組んで働いている現場を良く見かけます。患者にとっても眼科の先生・義眼師・家族のチームワークは非常に大切だと切に感じます。無眼球・小眼球の子供たちの為に何が一番大切か!皆が心を通わせて子供たちの為によりよい治療が進むことを心から願います。)

 娘の場合、目の中はまるで口の中のように、ピンク色できれいでした。レントゲンには細い視神経が映っていましたが、ストロボを宛てての脳波の検査には、何の反応も示していませんでした。レンズの役目の眼球が全く無いのですから、映像も光も脳には伝わらないそうです。光を感じる機能がある場合は、義眼を入れることにより、光がさえぎられるので、義眼を入れることをその当時は勧めていないようでした。2000年にシカゴで行われたican(アイキャン)の勉強会では、義眼師の方が、義眼の表面に小さな穴をあけるなどいくつかの方法があり、そうすれば光が中に入るので、小眼球のお子さんも義眼をつけられると言ったことを説明していました。

 さて、光を感じていないので、方針は決まりました。自然な顔の形成の為に、義眼を入れるべく先ずは眼のスーペースを広げる治療が始まりました。先生の説明では、目があるから目の周りの骨も刺激されて発育するそうで、骨の発育を促進させる為にも、スペースに眼球の代わりになるものを入れておくことは必要だとのことでした。娘の場合、眼頭から目じりまでの長さが、生まれた時わずか6ミリ。主治医の先生はドイツで開発されたと言う、分銅を球状にしたような、マッシュルームのような形のものを見せてくれました。大きさも段階を経て、さまざまでした。そのセットはかなり高価なようで、費用の問題から、先生が毎回シリコンを娘の眼の大きさより少し大きめなマッシュルームのように削ってくださり、それを眼の中にいれ骨の発育を促し、義眼を入れるスペースをつくることになりました。このマッシュルームのようなものは、コンフォーマーと呼びますが、これを2週間に1度大きくしてもらい、24時間入れたままの生活が6ヶ月続きました。

 診察の時、最初は両親は外で待つようにと指示を受けましたが、診察室に親を入れない病院など無いアメリカですので、アメリカ人の主人は納得しません。 私が英語で説明しても、”外でなんか待っていられるか。僕の娘だよ。”と言って、娘を抱いて連れて行く看護婦さんのあとからスタスタと彼も診察室に入って行きます。そこで、先生に”自分の娘です。24時間、そしてこれから長い間育てていくのは親の仕事です。どんな治療がされるのか、一緒に見せてください。何でも話してください。”とお願いしました。先生も”そういうお考えでしたら、一緒にやって行きましょう。”と快く引き受けてくださり、毎回診察室へも一緒に行きました。”子供にとって眼をいじられることは、とても、怖いことです。それ程痛くなくても、特に小さい子供はおお泣きします。それを見るのがつらいご家族もいるので、あえて、外で待って頂いているんですよ。”と病院側の気の配り方も説明してくださいました。でも、自分の子供の治療です。24時間一緒にいるのは親の私たちです。やはり、どのようなことをするのか見ておくと、治療の経過も良く解るし、家に帰ってからの扱い方の勉強にもなりました。病院と家庭との信頼のあるチームワークはとても大切だと感じます。勇気をもって、解らないことは質問し、できる限り治療の場にも立ち会うことをお勧めします。

 最初に述べたように、目のスーペースの広げ方には他にも方法があるようです。子供によって、また、義眼師の方によって方法は様々あるようです。娘の使ったシリコンで広げる方法は、幅も広がったものの、かなり奥行きも広まっていきました。これが原因の一つかは解りませんが、後に義眼が回ってひっくり返り易いと言う問題が起きて来ました。その他義眼については、義眼のお話のページで説明します。




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